都市がまるごと舞台に!「都市XR」最前線 XRと空間デザイン #04
こんにちは。Fujitoです。
バーチャル空間デザイナーとしてVR空間やARコンテンツ等の制作をしつつ、複業で建築設計事務所を経営しています。
前回は、いわゆる「バーチャル〇〇」というメタバース都市に焦点を当て、俯瞰しつつ整理しました。今回は、都市XRという分野に焦点をあて、都市を舞台にしたXR活用の事例や可能性を見ていきたいと思います。
都市XRについて
都市XRとは、ここでは、現実の都市空間に様々なバーチャルなオブジェクトを重ねたXR体験としています。
デバイスを都市にかざすことで、現実の都市そのものをバーチャルな体験で拡張するというアプローチになります。
私自身も都市XRという分野には魅力を感じており、設計対象としています。いままでいくつかプロジェクトに取り組んできました。
最近ではARに関するデバイスが進化してきていて、都市空間で新しい表現が増えることがさらに期待されます。新しいビジネスやコミュニケーションが生まれるかもしれないと考えています。
ではどんな取り組みがあるのでしょうか。
都市空間を巻き込んだXR体験の事例
STYLYによるXRコンテンツ
代表的なものとして、XRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を使用したコンテンツがあげられます。街中にアートやキャラクターを出現させる企画や、実際の都市の中で観戦できる次世代モータースポーツ「AIR RACE X」等も話題です。
・都市型XRスポーツ「AirraceX」
・都市ARライブ
また最近STYLYの提供する都市XR機能が無償公開され、ますます都市XRコンテンツが加速しそうな予感がします。
都市XR実装コミュニティ「TNXR」
TNXRは「TOKYO NODE “XR HACKATHON” powered by PLATEAU」参加者を中心とした都市XR実装コミュニティです。
虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE」の研究開発チームである
TOKYO NODE LABと連携しながら様々な都市XRコンテンツを実装するチームになっており、私も参加しています。
実際に都市を開発している森ビルが主軸で関わっているのも特徴で、TOKYO NODEのオープン時に公開されたVPSを使用したコンテンツは度肝を抜かれました。
虎ノ門ヒルズ内外や新虎通りエリアの都市データや一部VPSマップを整備し、「デジタルツイン虎ノ門SDK」として提供されており、2024年の10月には、実際にTNXRによる展示イベントも行われました。
イルミネーションダイビング
大阪にもVPSを活用したXR体験ができるプロジェクトがあります。南海電鉄と株式会社U.が取り組んでいるイルミネーションダイビングです。
特徴としては、ARグラスを使用しており、ハンドトラッキング等の技術も採用されています。まさに都市空間を歩きながら体験できるXRプロジェクトです。
今後の動きで注目していること
直接的な都市XR体験とは異なりますが、AR関連で個人的に注目している動きがあるのでそちらも紹介しておきます。
Niantic PARK
Nianticは『Pokémon GO』で知られる位置情報ゲームの開発企業で、現実世界そのものをゲームボード化する設計思想です。
そんなNianticが都立明治公園にAR体験をもたらすことを目的に戦略的なパートナーシップを締結したというニュースがありました。具体的なことはこれからだと思いますが、こういった事例は今後さらに増えていくのはないでしょうか。
Orionの存在
今後関わってくるだろうと予想されるのは、去年明らかになったMetaが発表したOrionです。
視野角が広そうですし、先端技術を搭載し、日常的に使える軽量設計を目指しています。今後、コンシューマー向け展開へ向けて開発を加速させ、ARの未来を担うデバイスになってくるのではないでしょうか。
都市XRの今後の展望
現状の事例でも現実空間にバーチャルなレイヤーを融合させることで、都市体験を大きく拡張していることが分かります。
都市空間を巻き込んだXR体験は、非常に魅力的で都市を再編集する動きが加速すると考えられます。
今後はXR技術と共にAI・IoTなどが連動することも考えられるため目が離せません。特に現実の都市をそのまま拡張するARの活用は、都市そのものの魅力を高めたり、人々の過ごし方を変える大きな原動力になるとも感じます。
それではまた!
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