見出し画像

都市XRの可能性 -Kawaii CyberPunk Future City-の話

こんにちは。fujitoです。
建築家・XR空間デザイナーとしてリアルとバーチャルの領域を横断し、空間にまつわる様々な事象に取り組んでいます。


今回はチームで開発した”Kawaii×cyberpunk”をコンセプトにしている都市XRのモバイルアプリ開発の話を書きたいと思います。

こんな感じのものを作りました↓


都市XRとは?

さて、ここでの都市XRとはGoogleのARCore Geospatial APIや、NianticのLightship ARDKなどのVPSと言われる技術を使い、現実の都市空間に様々なバーチャルなオブジェクトを配置したXR体験のことを指しています。

有名なものだと下記のようなSTYLYを使ったコンテンツが色々なところで取り上げられています。

このように現実の都市空間に重ねられたバーチャルのレイヤーを、ARデバイス(今はスマホやゴーグル等)を介して見ることができます。

それによりその場だけの都市体験の創出や買い物ができたり、そもそもの都市空間の作り方にも影響を与えることができるのではないかと
都市XRには、都市や建築をデザインする立場としても可能性を感じていました。


都市XRアプリ第一弾を開発(withARハッカソン)

新宿東口を敷地に開発

アプリの開発のきっかけは2022年の12/9~12/18に開催されたwith ARハッカソンに参加したことになります。未来都市というテーマで、1週間程度でARコンテンツを開発するというイベントで新宿東口の駅前広場を対象に、Kawaii cyberpunk Futurecity -Shinjuku-の第一弾を開発しました。

Kawaii×cyberpunkについて

未来都市の例としてよく題材に上がる”サイバーパンク”は、
ギラギラしたイメージや退廃的なイメージのものが多い
かと思います。
(それらもカッコよくて、個人的にはとても好きです)

しかしこの時はARを介して未来都市のイメージを感じられ、その体験をした時に未来に期待を持てるような、明るい感情になれるものを作りたいと考えておりました。

そこで親近感の持てる”Kawaii”要素と未来感のあるCyberPunk
新宿に掛け合わせることで、上記のような未来都市のイメージを作り出せるのではないかと考え、Kawaii×cyberpunkというテーマにしました。

また未来都市のイメージとして、ドローンが飛んでいたり、都市空間の中でメディアや広告、建物外装やサインなどが物理的な都市から自由になった様子をモデリングしてビジュアル化しています。

新宿東口で作った第一弾。
青空に似合うサイバーパンクを意識

アプリの仕組みと機能

アプリはPLATEAU SDK と ARCore GeospatialAPIを使って開発をしています。(PLATEAU SDKは、ハッカソンが始まる少し前にプロトタイプが公開されたことが話題になっていました。)エンジニアの開発記事はこちらです。

機能としては、スマホ画面を都市にかざして見るだけではなく、画面のUIから義手を出してビームが撃てたり、さらに自分のお気に入りの風景をtwitterで拡散できるようにして、都市と自分の身体の関係性が近づき、ARによって拡張されるものとしました。

開発の際のチームの役割的には、実装に関してはエンジニア班が行い、デザイナー班はモデリングやビジュアルを担当しましたが、それぞれの役割を超えてビジュアルや体験についてチームで意見を出し合って開発ができたこともあり、短い開発期間で良いものができたかなと感じています。


都市XRアプリ第二弾を開発(NEUU展示用)

都庁広場を敷地にアプリをバージョンアップ

ハッカソンが終わって、NEUUを運営されている小田急さんからwithAR出展作品の展示をやらないかというお誘いを受けました。
その際に対象敷地が新宿東口から都庁広場に変更することになり、1ヶ月程度制作時間をいただけたので、新宿東口バージョンから以下のようなARの演出を加えてバージョンアップをしてみることにしました。

・ハンドトラッキングの実装
・インタラクトして変化する空間演出
・未来要素のあるオブジェクトや巨大アバターを追加

特に事例で挙げたkznのXR Liveのように、都市の中でスケールを超越したアバターは体験として面白かったので、
今回は、都庁広場の形状を生かしながらとオクルージョンを効かせて、外側からアバターが体験者を見下ろしているようなものとしてみました。

巨大ならぷたんさんアバターが都庁広場を覗く。話題のmocopiでモーションをとってみたり。


リアルな都市と向き合う

実際に都市の中で演出や体験の確認をして、最後まで細かくブラッシュアップをしたりしています。建築設計の際の敷地調査でも言えるのですが、都市XRでも現地での体験により気づきや課題が多く見つかるので、
デザイナー・エンジニアともに現地に出向く必要があり、結構泥臭く調整したりしています。

現地を確認してオブジェクトの数や位置を調整しました。

2/1より展示がスタートします!!

先ほど、さらっと展示のことを書きましたが、2/1からWithARハッカソンの作品がNEUUにて展示されることになりました。

NEUUは小田急電鉄さんが運営するXR技術を体験できる常設施設で、2022年の11月にオープンしました。そのNEUUで端末を借りて、都庁広場に行くとkawaii cyberpunk Future cityが体験できます。他にも色々なコンテンツが体験できます。

kawaii cyberpunk Future city遊び方はこちら。

補足ドキュメントもデザイン

都市XRの可能性

今回、都市の中にどのようなコンテンツを配置するのかを検討した際に、
オブジェクトの位置や種類によって都市の印象が大きく変わるなと思いました。また都市の構造を読み解き、都市空間と合わせてデザインすることで、より効果的なものになるのではないかと思います。

XR技術を使うことで、都市のイメージを変化させたり、形成するのに時間がかかる都市機能のサポートや実験がしやすくなると思います。

またXR技術をインタラクティブな要素として都市の中に組み込むことで、
都市と人との距離を近づけてくれますし
多様なクリエイターさんとのコラボレーションすることで、屋外での展示や、キャンペーンなども可能だと考えています。

デバイスが進化し、より普及しやすい形になると、そういった都市や身体の拡張が加速すると思います。

都市XRは新たな空間を社会に実装していく手立てとして期待できるため、
建築家という立場でも模索していきたいと感じています。

またTwitterなどでも発信していきたいと思います!

kawaii cyberpunk Future City - shinjuku- 開発チームメンバー
41h0   fujito88   ナナキ   らぷたん    kenty


いいなと思ったら応援しよう!