「オジギソウ」のマイクロノベル 他3篇 #28
葉に触れると閉じるオジギソウ、こんな花が咲いて莢が成るんだ。種がぽろっと抜けて、莢の枠が残る。そこへ集まってくる羽虫がいる。何匹もきては、輪くぐりのように通り抜けて去って行く。自分もかすかにくぐった記憶がある。
冬になるとハスが語りだすと聞いて蓮田を訪ねた。そして、はっと気づいた。冬枯れたハスの茎が水面に描く蓮文字が、一瞬理解できたのだ。しかし、それはすぐにわからなくなってしまい、枯れた蓮をしばらく眺めていた。
日は射さなくて、ちょっと湿っていて、この静けさ、水の音、土の香り。ああ、なんて心地いいんだろう。全身の力が抜けて、大地に広がっていく。前世はキノコだったのかも知れない。きっと、そうだろう。うん。
メタセコイアは後期白亜紀から第三紀にかけて北半球に広く分布したという。トリケラトプスやプテラノドン、化石になった生物たちが連れだって紅葉狩りをしていたら、いまごろ地球の歴史は変わっていたかも知れぬ。
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