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熱帯果樹のマイクロノベル 他3篇 #40

 やっとたどり着いた。カカオの実のランタンを灯すと、チョコレートの香りが漂いはじめる。チヨコレイトと、サイコロの目の数六歩進む。しかし、そこに「ふりだしに戻る」の文字。気がつくと温室の入口に立っていた。

 丘の向こうから五斂子祭の囃子が聞こえる。夜も更けると、スターフルーツのランタンを手に帰ってくる人の灯りの行列が見える。祭りが終わっても一週間くらい、夜に灯りの行列が見えるのは、五斂子の名残といわれる。

 バナナの花をみる度に、あなたが作ってくれたバナナの花のサラダを思い出す。あの頃はバナナの花が珍しかったけれど、この半世紀の温暖化で、孫にバナナを食べさせるのに庭に植えるのが当たり前になってしまった。

 バニラの花言葉は「永久不滅」。甘い香りの印象からついたけど、実はバニラの花には香りがないんだ。あの香りは、熟れた実のバニラビーンズが放つんだから。と、何かある度に言っている人が食べているバニラアイス。

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