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「サフラン」のマイクロノベル 他3篇 #21

 ここに七つの言葉がある。サフランとシナモンは、香辛料だ。カルダモンもそう。だがソフランは柔軟剤で、ヤダモンは怪獣だ。さらにシンランは聖人で、ヤエモンはきかんしゃなのだ。そして一番の問題は、これをどの順番に言えばこの門が開くかだ。教えてくれ。

 お目々ぱっちり咲いたサボテン、マミラリアのマミちゃん。その瞳は人をとりこにして、原産国メキシコの地から世界へと広がる。そのあざとい戦略に陰口たたく者もいるけれど、食欲で惑わす果物たちの世界制覇よりいいんじゃないかと鉢植えを手に取る。

 水栽培で咲いたあとのヒヤシンスを土に植える丘がある。そうすると翌年以降も咲いてくれる。そこは去年、一昨年、その向こうには十年前、百年前……さらに丘の向こうには、千年前、一万年前のヒヤシンスも咲いているというが、見に行った者は帰ってこない。

 山椒は小粒でピリリと辛いと申しますが、その山椒が大笑いしているのを目にしたら、翌年はいいことがあると古くからの言い伝えがございます。ほら、山椒の実が熟れて種がこぼれたあと、大きな口を開けて笑っておりましょう。いま思いついた言い伝えですけどね。

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