「ク」の字のマイクロノベル 他3篇 #74
ある日、道に落ちている「ク」が発見された。その翌日には「ア」、さらに「イ」と「ウ」が見つかった。しかし、その次に見つかったのは「エ」ではなく「ト」であった。「テ」は彼らが戻ってくるのを待ち望んでいた。ぼくらはテイクアウトの看板なのだから。
「き」と書いた紙を渡されて列に並ぶ。次に「し」の字、さらに「や」の字を渡される。順番が来て、「では、汽車になってください」というので、「は? 嫌だよ」と答えた。「仕方がないな」と、ぼくは屋敷にされていまも建っている。
うわ、まぶしい。久しぶりに地上の様子をみる。手前の大きいのはゴパキバの塚、奥にいくつもあるのがミナヘリスカの塚だ。みんな地下でがんばっている。われわれ、トトメファルの民も負けずに掘り進もうではないか!
やおよろずの神のなかに、切り干し大根の神あり。大地の恵みの大根を、天日と風の力で凝縮し、偉大なる切り干し大根は人々にうま味と健康の祝福をもたらす。切り干し大根の神はここにいまし、すべて世はことも無し。
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