#4 fujitacaが間取りを考えるときに、おさえているポイントとは
こんにちは。
fujitacaリノベーションスタッフです。
ふとお客さんから、「みなさんが設計するときに意識していることってなんですか?」という質問をもらいました。
確かに。
息を吸うように間取りを考えていますが、なんだろう。
ちょっと考えてみました。
fujitaca流「間取りづくり」の基本原則
わたしたちのなかでは、「基本原則」みたいなものがあります。
これはいろんな設計やキャリアを経て感じたことであって、いろんな正解やいろんなやり方があるので、一概にこれが正解とは言えませんし、fujitacaの考えが必ず正しいと思っているわけでもございませんので、なんとなく聞いてもらえたらと思います。
※弊社の基本原則と異なる考えがあったとしても、それらを否定するための記事ではないので、予めご了承いただければと思います(むしろ、リスペクト!)。
基本原則は4つ。
無理な設計はしない、水回りは大きく移動しない
通路幅や動線はしっかり確保する(減らす場合は必ずお客さまへ相談)
間取りは「直線的に」つくる
NOT「アグレッシブな間取り」
このようなかたちです。ひとつずつ解説します。
1.無理な設計はしない
例えば、お風呂の位置を真反対に持っていくなど。
構造上できないケースが多いのですが、なるべく既存の位置の範囲で工夫しています。
あれこれかき回せば回すほど、面白い間取りになっていきますが、お風呂の位置を大きく移動したところで、そこまで使い勝手が向上することはないと思っていて、水回り以外の配置を工夫することで暮らしやすい間取りがうまれるものだと思っています。
2.通路幅や動線はしっかり確保する
これも非常に大切です。
いわゆる、新築マンションなどで最低限確保しようと呼ばれている寸法があるので、その寸法に合わせて設計を行います。
マンションの場合、縦と横のサイズが決まっている中で間取りを配置するので、ときに寸法が微妙に足りなくなることもあります。
例えば、ベッドを何台も並べるために廊下を狭くする、など。
これは、あとあとの生活で響いたりします。
数センチ減らしたことで、ちょっと体が大きくなった時に通りづらくなったり、怪我をして思うように動けなくなって通りづらくなったり。
人生いろんなことがあると思うので、どうなるか分かりません。
お客さんの要望をつい入れたくなるんですが、そこは会社で踏ん張っています。もちろん、要望の意図を聞いて、うまく配置を変えて提案します。
3.間取りは直線的につくる
賃貸マンションに住んだことがある方は体験されているかもしれませんが、収納が変な位置にあることによって、家具が置きづらくなった…という経験はありませんか?
微妙にベッドが入らないなど。
リノベーションは自由なので、割とどんな間取りでもつくろうと思えばつくれるのですが、置くことを想定していたインテリアを買い替えたりすることだってあるはず。ピッタリでつくってしまうと置けない!なんてこともあります。
そうならないように、なるべくどんなサイズの家具でも入るように間取りをつくって、フレキシブルに対応できるようなプランを心掛けています。
4.NOT「アグレッシブな間取り」
打ち合わせが盛り上がっていくと、突飛なデザインの間取りが出てくるケースがあります。
本当に面白さを追求するのであれば良いのですが、場合によってはあとで使い方に苦慮する場合もあります。
他社でリノベーションをされたお客さまが、お風呂を部屋の真ん中に置いた間取りにして、使いづらくなって弊社に相談に来たことがあります。
特に子育て世代のファミリーなどは、なるべく間取りはシンプルにつくったほうが、長い目で見ると暮らしやすくなることも…
実際の事例に照らして見てみましょう
実際に、間取りづくりを工夫した事例を紹介します。
こちらのマンションは、もともとリビングが狭くて、リノベーションで広々としたリビングが欲しい!ということで、ご相談をいただきました。
リビングを2つに分けたり、洋室1を仕切ったり、いろんな案が出てきましたが、最終的にはこんな間取りが完成しました。
1と2.無理な設計をしない=キッチンの位置はそのまま
キッチンの位置は、既存と同じ位置で設定しました。
なぜかというと、キッチンを動かすとどんどんリビングが狭くなること。
そして、キッチン横の通路幅がどんどん狭くなってしまうからです。
キッチン横の通路幅、すなわち廊下へとつながる動線なのですが、ここは洗濯機や家具を搬入するときにも、とても大切な動線です。
お客さんは「キッチンのサイズを大きくしたい!」という要望がありましたが、リビングが狭くなること、通路幅の話などをさせてもらい、キッチンのサイズはそのままにさせてもらいました。
ただし、少しでもキッチンを大きく使ってもらえるように、シンク幅を狭くして、コンパクトな間取りでも快適に過ごせるようなつくりとしました。
3.間取りは直線的につくる=ウォークインを細長く・広く
ウォークインクローゼットや個室を設けるとき、ユニットバス側に寄せてつくる案もありましたが、そうすると、リビングがいびつな形になり、狭くなってしまいます。
今回は、ウォークインクローゼットを細長くつくることで、リビングの壁面を収納にするようなかたちとし、なるべく広いリビング空間が確保できるようなつくりとしました。
このかたちにすることで、ダイニングテーブルやソファなどの選択肢が一気に増えてくるので、インテリアを買い替えたり、生活スタイルが変わったりしても、快適に暮らすことができそうです。
※ちなみに、脱衣場が極端に狭かったので、洗面台の位置を少しリビング側にずらして広々とした設計にしています。
ウォークインクローゼットとの設計をうまく調整して、ストレートなラインの収納空間がうまれるように工夫しました。
4.NOT「アグレッシブな間取り」=「突飛・突然」がない
ウォークインクローゼットを細長くするのは、少しアグレッシブに感じるかもしれませんが、わたしたちが考える「アグレッシブさ」というのは「突然感」が強いように感じます。
例えば、「突然お風呂がある」とか。
「突然、フローリングの質感が変わる」とか。
「突然、段差がある」とか。
一風変わった間取りに見えたとしても、しっかりと生活に溶けこんでいたり、お客さんの要望を叶えつつ無理のない動線になっていれば、お客さんにピッタリの間取りを生み出すことができると思っています。
むしろ、細長いウォークインクローゼットを窓際に持ってくることで、洗濯物を取り込んだらすぐにしまえるし、通路が両端にあるので回遊性も高く、間取り上は使い勝手が良くなります。
ちょっとオシャレで暮らしやすい=間取りの在り方にも反映されている
意外と書いてみるとポイントがあるものですね。
そうすると「ちょっとオシャレで暮らしやすい」の理念をしっかり守った設計を行っているのだなぁ、と改めて感じます。
間取りが決まっていくと、設備や素材を選んでいくことになりますが、ここも「ちょっとオシャレで暮らしやすい」を、しっかり守ったプランを提案させてもらっています。
またの機会に、素材選びのときに注意していることなども紹介したいと思います。
(スタッフ阿部)