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【エッセイ】「じいじ、よんで」を夢見て
今年、還暦になり定年退職しました。再雇用の道もありましたが、その選択肢は考えたこともありませんでした。
そんな私が、これからの人生でやっていきたいこと――それは童話創作です。こんな話をすると、幼いころから本好き文学少年だったと思われるかもしれません。
しかし、私は55歳になるまで童話の「ど」の字にも関わっていない、仕事に忙殺された普通の会社員でした。
むしろ小中学時代は本を読むことが大嫌いでしたし、作文は何を書いたらいいのかわからない子供でした。特に苦手だったのが読書感想文です。宿題で無理に課題図書を読んでも筆が進みませんでした。何もこみ上げてくる感情がなかったからです。ですから、原稿用紙は「楽しかった」や「悲しかった」といった感想にもならない稚拙な言葉で所定の枚数を埋め尽くしていたように思います。
そんな私が、なぜ55歳で突然童話を書いてみたのか、どんな心境の変化があったのか、自分でもよくわかりません。
もしかしたら、苦しいことや楽しいことなど、いろいろな経験を重ねてきたことで、知らず知らずのうちに感受性が豊かになり、いつの間にか自分の言葉で表現できる人間に成長できていたのかもしれません。そういう意味では、漫然と生きてきたと思えた半世紀も、それなりに "活きる” 意味があったかなと、ほんの少し自分の成長を誉めたくもなります。
55歳から続けた童話創作も、2年前には絵本にしていただく機会にも恵まれました。YOUTUBEにもしていただき、心から感謝しています。
できあがった絵本を娘に渡すと、当時0歳児だった孫は意味もわからず手に取って遊んでいました。そんな孫も2歳になりました。しかし、絵本の内容を理解するのはまだ先になりそうです。でも私には、童話創作と絵本化を通じて、数年前までは全く想像もしていなかったワクワクする未来が見えてきました。
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それは、自分の書いた絵本を孫に読み聞かせすることです。生後数か月の孫をだっこしたとき、心に決めました。私を見つめる孫の目が「うん」と言ってくれたので、れっきとした孫との約束です。そして2年が経ちました。
「じいじ、これよんで」と孫にせがまれ、「それじゃあ読むよ」と得意げに読んで聞かせる――そう遠くない未来に実現できそうなあの日の約束(ほぼ妄想)を頭のなかで思いめぐらせています。今のところ無事に育っているので、もう少ししたら、じいじとの約束守ってくれるかな。
とまあ、そんな妄想の日々を送っている私ですが、どんなにひいき目に見てもあと30年弱の人生です。これからも、好きな童話創作に興じ、絵本化や児童書の出版を夢見ていきます。そして、もしまた出版できたなら、その先にはさらに大きな大きな夢があります。それは、「教科書に掲載されること」「推薦図書や課題図書に選定されること」です。実力もないのに笑われそうですが、年を取っても夢だけは大きくてもいいでしょ?
いつかそんな大きな夢が現実になる日を夢みて、限られた時間(人生)のなかで、焦らず力まず自然体で、夢に向かって歩いていきたい――そんなことを日々思う、還暦の児童文学じいさんです。