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なんだか結局「小池都知事の勝ち」な都議選

7月4日のアメリカ独立記念日に投開票が行われた東京都議会選挙。

まるで三すくみな「自民」「都民ファ」「立民・共産」

結果は、すでにニュースになっていますが、都民ファーストが大きく減らし第1党から陥落したものの、自民公明を合わせても過半数が取れなかったという絶妙な数に落ち着きました。

党派別当選者は自民33人、公明23人、都民ファ31人、立民15人、共産19人など。日本維新の会と地域政党「東京・生活者ネットワーク」はそれぞれ1議席を獲得した。

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都民ファの当選者は31人で、告示前より14議席減らした。それでも党勢を象徴する1人区の7選挙区では3議席を都民ファが取り、自民党の2議席を上回った。劣勢が指摘された候補者も当選が相次いだ。
自民党は33議席を獲得し、第1党を奪還したものの、民主党(当時)への政権交代直前にあった2009年都議選の38議席を下回る結果となった。告示前の25議席からは伸ばしたが、60人の候補者の半数近くが落選。最低ラインの目標としていた自民、公明両党で過半数に届かなかった。

自民党が勝ったとも言えず、都民ファは減らしたとは言え、事前の予想を大きく上回り、まるで勝ったようにも思える数ですし、一人区では自民党よりも多いのは、勝った感じもします。

公明党は自前の候補が全員当選とは言え、これまで手を組んだ相手(二回前は自民、前回は都民ファ)を勝たせてきた実績でキャスティングボードを握ってきたのが、今回(自民)は微妙な結果になりました。選挙に強いイメージも薄れてしまいそうです。

立憲民主や共産党が増やしたと言っても、両党を合わせて自民党とほぼ同数。これで「勝った」とは言い切れないでしょう。よく頑張ったくらいなものです。まあ、敵失なんでしょうけど。

結局、3者3様の渋い顔で都議会の拮抗具合は「三すくみ」となりそうです。

争点もなく、静かだった選挙戦

今回は、コロナ禍でもあり、街頭演説が控えられていて、去年の都知事選以上に、静かだった印象があります。確かに、選挙カーは走り回っていてうるさいのですが、新宿駅前などで大勢の徴収を集めた街頭演説がないだけでも、ずいぶん静かです。

さらに、テレビや新聞でも記事が少なかったように感じました。

都知事選ほどではなくても、前回の都議会選挙の時は、「小池劇場」とやらでテレビでも新聞でも全国選挙並みの盛り上がりを見せたのに(テレビなんて、全国ネットで東京ローカルの選挙を大々的にやって地方から総スカンだったのに)、今回は、あまり見かけませんでしたよね。

オリンピックやワクチン騒ぎで、それどころじゃなかったのかもしれませんけど。

新宿区民にとって、そのオリンピックの中止や無観客という公約は、虚しさしか感じませんでした。都議会に何ができるのかという思いで見ていました。

そして、それ以外に「争点」も見当たらず、実に「静かな」選挙でした。

予想屋が大外ししたのは、プロだから

事前の選挙予想記事では、一桁とも言われた都民ファが自民党とほぼ同数を勝ち取ったのは何故なんでしょう。

「都ファは定数5人区以上の8選挙区に滑り込み当選がやっとという予想。対して、巻き返しを図る自民党は、現有の23議席から倍増の勢い。都民の期待値が高まっている立憲と共産党は、選挙協力が実って相応の議席増が見込まれます」
46議席を有する第1会派の地域政党「都民ファーストの会」(都民ファ)は“7議席”に大激減すると指摘。25議席の自民党は52議席と倍増が見込まれ、連携を復活させた公明党と過半数を占め都議会の勢力図が一変すると分析した。

それは結局、彼らが「選挙のプロ」として、事前の市場調査から読み取ろうとしたからではないかと思います。

三浦氏は「東京五輪・パラリンピック」と「新型コロナウイルスワクチン接種」を今後を占うキーワードに挙げる。「東京大会を大きな失敗なく終え、秋には国民の半分ほどがワクチン接種済みとなれば、社会活動も本格化する。実績と実感が伴えば自民党が(衆院選で)負けることはまずない」。

この予想した「選挙のプロ」の判断を踏まえれば、都議選で大外れだったのですから、秋の衆院選は、自民党の大敗もあり得るわけですが、これもそう簡単にはいかないでしょう。

都議選は、所詮、ローカル選挙なのです。

筆者の予測が外れた理由は、ひとえに小池劇場の想定外とその過小評価に尽きます。

こういう予想をしている人は、今後も外しまくるでしょう。

彼らが前提としている政治的背景とやらは、コロナ禍で崩れつつあることに気がついていないからです。

ローカルと中央の乖離を明らかにしたコロナ禍

今の政治の問題は、ローカルと中央が乖離しているところで起きており、それが顕在化したのが、ワクチン接種問題です。

自治体によって接種券の配布にも、接種の進展にも大きな差が出ました。その自治体で誰が活躍していたのかと言えば、これは都知事ではなく区長や市長などの自治体長であり、実は中間で都議や区議が地域の根回し役を買って出ている地域と、そうではない地域で大きな差が出ている様なのです。

そうした地道な活動が、今回の、コロナ禍で如実に差が現れている様に思います。

今回のワクチン接種から学んだ自治体が、次に「住みやすい」自治体になり、「選ばれる」自治体になるのではないかという予感です。

ローカルをいかにうまく動かすか。中央からの指示通りでは混乱を収めることはできないことを学んだ自治体が、21世紀に勝ち残るでしょう。

そして、そうした自治体と協力し、地方自治を全うする政治家が地方政治には必要であり、それが選挙結果につながるという健全な構図が、生まれつつあるのかもしれません。

東京は中央と一体ではない、ということも、このコロナ禍で都民にはわかってきました。それは、都知事と首相の相剋といったワイドショーネタではなく、結局、東京都でさえも、中央の写し絵ではあり得ない地方の一つであるという当然のことが明らかになっただけなのです。

そこが、政党政治ばかりを気にするプロの皆さんに見えていなかったのではないでしょうか。

どの党も決め手を持たない議会では、結局、小池都知事の一挙手一投足に振り回され、右往左往する議員の皆さんということになりそうです。

どこの政党が勝ったのでもなく、最後に1日だけ事務所を回って都民ファを勝たせた様なニュースを作った小池都知事の勝ちと言えそうな都議選でした。

サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。