東京五輪開催か中止かIOCの動きが気になる
昨年、延期になった東京オリンピックですが、今年も暗雲が立ち込めています。
中止か再延期かチキンレースが始まった
つまり、どちらも「中止」を言い出せない我慢比べ。となると、IOC元副会長で名誉委員のケバン・ゴスパー氏(87)が指摘したように、国連に判断を委ねるしかなくなるが…。果たして、どうなるか。
引くに引けないIOCと五輪招致委員会のチキンレースなわけです。状況に飲まれて「ギブアップ」と言い出した方が負けです。
そこで様々な観測気球が上がって、世論誘導を行っています。
新型コロナウイルス感染症の再拡大で懐疑論が出ている今夏の東京五輪・パラリンピックについて「IOCに中止するつもりはない。開催できない理由はない」と述べた。世界的な感染状況が収束しない場合は、中止よりも無観客での開催が妥当との考えを示した。
エスタンゲ氏は「残念なことだが、現実問題としては(状況に)適応していかなければならない。組織委や当局がこの衛生上の危機に対応することが困難であることは理解している」と語った。
パリものほほんとはしていられない状況にあるようですけどね。
北京やパリは大丈夫なのか
コロナ対策問題は2022年の北京冬季五輪や2024年パリ夏季五輪にも影響が及ぶのは間違いありません。東京の中止理由がコロナ禍である以上、それに対する対策を行わなければ、この2大会も開催できない可能性があるでしょう。
北京郊外で起きた感染者発覚に、中国が全力を挙げて封じ込めているのは、北京五輪を見越していると考えられます。
首都北京で新型コロナウイルスの感染者が7人確認されたことを受け、160万人を対象にロックダウンを実施した。
パリはまだ時間があるように思いますが、決してそんなことはないと思います。すでに、感染症対策の影響で計画を見直したとか。
2024年のパリ大会の組織委員会は、新型コロナウイルスの影響でスポンサー収入の落ち込みや競技会場の建設費用の高騰が見込まれるとして、大会の基本計画の見直しを進めていました。
人口減は、第二次世界大戦以来だと言われるイギリスの例もあり、ドイツやフランスでも、経済の落ち込みも相当なものでしょう。
イギリスでは2020年、約69万7000人が死亡した。これは、過去5年間の平均をもとにした年間予測を8万5000人近く上回る。
そんな状況下で、各国は五輪に派遣する選手を選べるものでしょうか。日本のコロナ対策がどうこうというよりも、世界中で、アスリートが活躍できる状況になっているのかどうか。
テニスの全豪オープンの状況を見ると心配です。
中止は誰が決めるのか
五輪は、IOCが開催するものですが、中止してもIOCには害は及びません。
開催都市契約の第66条に「IOCが本大会の中止を決めた場合」として「すべての損害賠償およびその他の利用可能な権利や救済を請求するIOCの権利を害することなく、即時に本契約を解除する権利を有する」と明記されている。
誰も言い出せないから、国連に裁定してもらうという第三者の登場を期待する声が出るわけですよね。
IOC元副会長で名誉委員のケバン・ゴスパー氏(87)が指摘したように、国連に判断を委ねるしかなくなるが…。果たして、どうなるか。
それにしても、1944年のロンドン大会は、戦争で中止になり、4年後に開催されました。1940年の東京大会は日本が返上したためヘルシンキ開催が決まりましたが戦争で開催できませんでした。
この違いは何なのでしょう。イギリスが戦勝国だったからでしょうか。
日本が返上した時も、直前のIOC 総会で嘉納治五郎が演説したときは、やる気だったんですが、帰りの船で嘉納が亡くなると一気に中止に流れが傾きます。
この辺りは、「いだてん」でやってましたね。
「オリンピックの開催は、政治的な状況などの影響を受けるべきではない」
嘉納治五郎は、こう言ったわけですが、やはり五輪は国家の状況、政治の状況に巻き込まれやすいものです。
国際的に孤立する日本は、東京オリンピックが開催されるはずだった昭和15年(1940年)、ドイツとの関係を強化するため、イタリアも加えた日独伊三国同盟を結びます。
(略)
それにしても、東京オリンピック招致のために立候補取り下げを談判したムッソリーニと、東京オリンピック招致を後押しした(とされる)ヒトラーとここに来て手を結ぶに至るとは、やはり、オリンピック招致運動は政治だということですね。
最後は政治判断しかないのではないかと思います。
先例に学び、真剣な検討を
そういう時に、先例を学ぶことも重要なような。
こういう一級の資料もあることですし。
また、100年前のスペイン風邪の時はどうだったのかとか。
そんな中でIOCはあえて五輪開催を決断した。特に戦火のひどかったベルギーで五輪を開催することで、世界中で平和の喜びを分かち合おうと考えたのだ。アントワープの貴族たちも招致に動いた。しかし、国民の救済を優先するベルギー政府からの援助は乏しく、スタジアムは完成したものの、大会自体は深刻な経費不足、準備不足だった。
現実は準備期間はわずか1年、財政は困難を極め、競技場の多くは未完成。宣伝不足から観客も少なく盛り上がりに欠けた。ただ、IOCの思いだけが突出した大会ではあった。
すでに裏では、色々と蠢いているようです。
20日は菅首相と親しい日本維新の会の松井一郎代表までもが、ワクチン普及が間に合わないことを理由に、開催は困難だと言い出した。「2024年を目指して、4年ずつ後ろ倒しすべきだ」というのだ。
2025年の大阪万博を念頭においての発言でしょうか。
1940年は皇紀2600年で、それを祝うためにもと、夏季五輪、冬季五輪、万博と3つの国際行事が同時に予定されていました。全部できなかったわけですが。
このままでは、夏季五輪もそうですが、万博も危なくなる可能性もあります。そういう繰り返しの元にあるのかもしれませんね。
ロンドン組織委のミルズ氏は「今後1カ月ほどで最終的な判断が下る」と見通しを語っていた。今月27日にはIOC理事会が開かれる。早晩、菅政権がウイルスに負けた証しとして、中止が発表されそうだ。
ここでは中止まではいかないでしょう。
3月にギリシャ・アテネで開催されるIOC総会でどうするかを議論するのではないかと予想します。
そこで、1938年に嘉納治五郎が世界を説得したような演説ができるかどうかにかかっていると思いますが、誰がやるのか。山下さんかな。
いずれにしろ、それまでの間に、水面下ではなく、表立った議論がないと開催にはこぎ着けられないのではないかなあ。
誰が嘉納治五郎になるのか。森さんかなあ。