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本当にGotoできますかね? withコロナの時代に。

昨日、Gotoキャンペーンについて書きましたが、その続編。

GOto委託費はどうなったの?

6月の段階で、経産省が全体を一括で取り仕切る形式だったのが、事務局費が高すぎるという難癖にあい、分割。各省庁で事業を運営することになったわけです。

ところが、分割しても事務局委託費が安くなったのかどうかわからないらしい。

 梶山氏によると各省の委託費は、観光を支援する国土交通省が2294億円、飲食店を支援する農林水産省が469億円、経産省のイベント支援が281億円、商店街支援が51億円。

しかも、昨日も書いたように、前倒しで始まるGotoトラベルと比べ、そのほかのGotoはまだまだこれから。

なかなか始まらないGoto

GOto EATはこれから公募するようです。

 公募では、飲食店支援の事業費計2003億円のうち、事務局委託費の上限は469億円とした。予約サイトの運営や食事券の発行をする事業者と、事務局を担う事業者は別々に募集し、実際の委託費は上限よりも圧縮したいという。

こういう分割は、普通は事務局経費を押し上げるんですよね。共通部分が共有されないから。会社だって、合併で圧縮する経費は事務経費でしょう?

バラバラにすれば、お金はかかるのが自明の理なのに、自営業をやったことがない議員さん達の反対で、お金はばらまかれます。

すでに公募された分はどうなったんでしょう。

経済産業省は1日、新型コロナウイルスで落ち込んだ需要を回復する「Go To キャンペーン」の一環で、イベントと商店街を支援する事務局の募集を始めた。専門家による委員会で審査して委託先を決め、コロナの感染状況をみながら8月末のキャンペーン開始をめざす。

こうみると、Gotoトラベルの前のめり具合が分かりますね。

今回、5団体が応募し、公認会計士を含む8人の審査委員が審査した。同コンソーシアムが提案した委託費用は1895億円。GoToトラベル事務局委託費の上限とされた2294億円から399億円下がった。

事務委託費は下がったようです。これで他も少しづつ下がって、全体で事務局費以外に使える金額が増えるのでしょうね。でも、本当に使えるのかどうか心配です。

反対されるばかりのGoto トラベル

 山形県の吉村美栄子知事は14日の記者会見で事業に苦言を呈した。前日には県内で、東京都と埼玉県から来ていた20代の男女2人の新型コロナウイルス感染を確認。山形県にとって、複数の感染確認は4月20日以来だった。

始まる前から、首都圏から移動してきた人で感染者が出ているようでは、旅行で多くの人が移動するキャンペーンに不安が出るのは必定でしょう。

 当の菅義偉官房長官は13日の記者会見で、延期は「全く考えていない」と断言。その翌日に会見した赤羽一嘉国土交通相は批判をかわすためか、参加する業者に感染対策を義務づけると明らかにした。

でも批判されてもやめる気はない。受け止めても謝らないは、安倍政権の基本ですからね。

そして、旅館に感染対策を押し付けるわけですが、それを国土交通省がチェックするというのがよく分かりません。それ保健所の仕事じゃないんでしょうか?

 国交省によると、受け付けに仕切り板をつける▽宿泊客全員に検温する▽風呂や食堂などの共用施設では人数制限や時間制限をする▽ビュッフェ形式の食事は個別提供するなどの感染防止策を義務づけ、国交省が確認して宿泊業者を認める。

しかも旅行補助を受けられないという罰則付きです。

 認定されていない施設に泊まっても、旅行補助は受けられない。17日に詳細を発表するという。

でも旅館にばかり押し付けられても困りますよね。対策する金を先にくれという感じがします。

どっちにGotoしても辛すぎる

どうも、このキャンペーンは、旅行業者のための施策の匂いが強く、宿泊業者には辛いものになりそうです。それは国土交通省と厚生労働省の綱引きという側面もありますし、どちらに転んでも大変な問題だからです。

つまり、『Go To トラベル』自体がトロッコ感の強いアクションで、究極の選択を安倍政権に突き付けている、とも言えます。

トロッコ問題というのは、どっちみち人が死ぬかもしれない問題に、どう関わるかという話です。

「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」という形で功利主義と義務論の対立を扱った倫理学上の問題・課題。

地方経済および観光産業を助けるのか、コロナ感染者を拡大するのか、どっちも人が死ぬかもしれないけど、どうするの? という問いですね。

しかし、1.7兆円のGOto予算を支援に回しても観光業は救えないという現実もあります。関連する業種が多くて大きすぎるのです。

国土交通省観光庁が毎年発行している『旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究報告書』(最新版は2017年度版) によれば、日帰り旅行を含めた日本人による国内旅行消費額(2017年)は約21.1兆円であり、訪日外国人客による国内観光消費は4.1兆円、そして日本人の海外旅行による国内分消費も含めれば、日本国内における内部観光消費は27.1兆円にものぼります。さらには、産業連関分析を用いた内部観光消費による生産波及効果55.2兆円にもおよび、日本経済にとって、観光は非常に重要かつ巨大な産業であることがわかります。

これ実は、飲食業も同様なのですが、飲食は全体ではでかいけど、個別の業者は小さいので、ある程度給付金が効くんだと思います。

でも、観光業は、会社もでかいし、ホテルなどは関わっている人の数も大きいので、給付とかでは太刀打ちできないのでしょう。

さらに、困ったことに、建設業・製造業に比べて、観光は非常に裾野の広い産業です。旅行業者やバス会社、ホテル旅館にとどまらず、各地域の飲食店や小売など、非常に多様な事業者が細かく連なっているものなのです。となると、一口にこの産業を直接支援するといっても、一体全体、どこからどこまでの事業者を支援するのか、という問題が生じてきます。たとえば、飲食店であっても、顧客に占める観光客比率は事業者によって様々でしょう。

GotoEat とか他のGotoが周りを見ながら始めているのに、Gotoトラベルが勇足気味に始めたのは、業界に焦りがあるからではないでしょうか。

この辺りを、旅行業者と宿泊業者という視点からうまく整理したツイートが話題になってました。

あまりこの視点で語られていないようなので、備忘までに投稿。Go To キャンペーンと省益争いのお話。今日の動きを見るに、今回のGo To キャンペーンは国土交通省が主導しており、宿泊業者救済というよりは旅行業者救済の側面がかなり強くなってきている。以下、その理由。

詳しくは、ツイートまとめを読んでいただきたいのですが、宿泊業者にきつい条件が続くようだと、結局、このキャンペーンはうまくいかないんじゃないかと思います。

一部の大型ホテルとJTBなどの旅行業者およびJRとかJAL・ANAの交通機関、つまり国土交通省所管の方々を利するような立て付けでは、地方は救えないよね、という話になりそうです。

新しい旅のエチケットで旅ができるのはいつのことやら。

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