『ILLUME』とはなんだったのか:第11回:ノーベル賞とILLUME
ILLUME38号の歴史の中では、ノーベル賞との関係も浅からぬものがありました。
さらに、毎号テーマが異なる本なので、過去の号を示す必要があると提案し、バックナンバー総目次一覧表を別刷で作成し、本誌に封入することにします。
バックナンバーに見るノーベル賞
バックナンバー総目次を入れて置いたのは、読者に過去の号にも興味を持ってもらい、多くの方に読んでもらえるようにとの工夫だったのですが、今となっては振り返るにも都合がいいです。
全部の企画など覚えてませんから。
私の手元には32号までしかないのですが、38号までの企画はわかっています。
その中で、ノーベル賞受賞者が登場した号を抜き出してみましょう。
第1号インタビュー:江崎玲於奈先生(物理学賞、1973年)
第3号インタビュー:福井謙一先生(化学賞、1981年)
第4号サイエンスシリーズ:白川英樹先生(化学賞、2000年)
第20号インタビュー:江崎玲於奈先生(2回目)
第24号特別寄稿:江崎玲於奈先生(3回目)
第25号インタビュー:利根川進先生(生理学・医学賞、1987年)
第26号インタビュー:白川英樹先生(2回目)
第30号インタビュー:野依良治先生(化学賞、2001年)
第32号インタビュー:小柴昌俊先生(物理学賞、2002年)
第32号サイエンスシリーズ:梶田隆章先生(物理学賞、2015年)
第35号インタビュー:江崎玲於奈先生(4回目)
計11回、10号なので、約4分の1ですか。でも江崎先生が4回だからなあ。
延べ7人です。江崎先生4回、白川先生2回がありますからね。
困った時の江崎玲於奈だのみと言われてしまうけど、その度に違うテーマでお話を伺って、その度に素晴らしいお話をいただいたのだから仕方がありません。
サイエンスシリーズとノーベル賞
ILLUMEとして誇らしく思っているのが、書いていただいた方が、書いていただいた内容で、のちにノーベル賞を受賞している例です。
白川先生と梶田先生が、その事例となります。
白川英樹先生には「電気を通すプラスチック」について、まだ草創期といえる第4号でご執筆いただきました。
このご執筆に至ったのは、福井謙一先生のご推薦でした。
宇宙物理、生物、物理とサイエンスシリーズが続く中で、化学分野を取り上げたいと考えたA氏が3号のインタビューで福井謙一先生にご登場いただいた際に、化学のトピックとして伺ったテーマが「導電製プラスチック」であり、書くならばその第一人者である白川英樹先生だとご指名されたのでした。
白川先生は当時筑波大学教授でしたが、福井先生のご推挙ということもありお忙しい中お引き受けくださったのでした。まだつくばエクスプレスもなく、筑波大学に行くには東京から高速バスを使っていた時代でした。
梶田隆章先生には「ニュートリノ振動」についてご執筆いただきました。この号は、インタビューが小柴先生、フロンティアレポートが「スーパーカミオカンデ」と、まさに「ニュートリノ」特集号だったのですが、中でも私にとっては、癌の闘病から一時復帰された戸塚洋二先生にお話を伺えたことが印象に残っています。ご存命ならば間違いなくノーベル賞を受賞されただろうと思います。
ノーベルローリエイトにインタビューに出ていただくというのは、企画として、ある意味では安易です。どう出ていただくかという交渉に手腕は必要ですが、出ていただければ評価されるのは間違いない。
それに比べて、書いていただいた方がノーベル賞を受賞するというのは、なんだか本誌が目利きみたいで嬉しいじゃないですか。目利きなのは、白川先生に関していえばご推挙いただいた福井先生であり、梶田先生のときは編集顧問の小林先生なのですが。
ノーベル賞以外の賞も
科学分野では、ノーベル賞がやはり1番の賞というイメージがありますが、その範囲は限られているともいえ、それ以外の分野における賞にも目を向けると、さらにいろいろな賞を受賞された方にご登場いただいてきました。
例えば、日本国際賞。
1981年、「国際社会への恩返しの意味で、日本に科学技術の分野で世界的な賞を作ってはどうか」との日本政府の構想に民間からの寄付を基に設立され、1983年に閣議了解を得て実現したものです。
この賞の受賞者ということになると、以下のようになります。
●グザヴィエ・ルピション先生:1990年受賞(地球科学):第13号インタビュー
●吉川弘之先生:1997年受賞(人工環境のためのシステム技術)第7号論文、編集顧問
●江崎玲於奈先生:1998年受賞(新材料の設計・創製と機能発現)前出
環境化学で言えば、ブループラネット賞。
旭硝子財団は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年(平成4年)に、地球環境問題の解決に向けて科学技術の面で著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞「ブループラネット賞」を創設いたしました。
●真鍋淑郎先生:1992年受賞(数値気候モデルによる気候変動予測の先駆的研究で、温室効果ガスの役割を定量的に解明):第31号インタビュー
数学で言えば、フィールズ賞。
ノーベル賞は(存命であれば)受賞者の年齢に関係なく贈られるのに対し、フィールズ賞はその時点でまさに活躍中の40歳以下の若手数学者に贈賞されている
●小平邦彦先生:1954年受賞:第4号インタビュー
●広中平祐先生:1970年受賞:第34号インタビュー
建築で言えば、プリツカー賞。
●安藤忠雄先生:1995年受賞:第10号インタビュー
●磯崎新先生:2019年受賞:第5号フロンティアレポート内インタビュー、第27号インタビュー、編集顧問
そのほかにも調べれば、まだまだいろんな賞を受賞しているだろう素晴らしい方々にご登場いただいていました。
発掘した方もいるのですが、それはまた別の回で。
サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。