日本の免疫研究の強さを考えると、コロナにはワクチンより治療薬に期待したい
まだまだ暑い中、ちょっと風に秋の気配を感じたらば、もう、冬の心配をしないといけないんですね。
インフルエンザワクチン今年は多め
加藤勝信厚生労働相は25日の閣議後記者会見で、今冬のインフルエンザワクチンの供給量が約6300万人分になるとの見通しを明らかにした。ここ数年で最大の供給量となる。接種は10月1日から始まる。
このワクチンは、インフルエンザのどの株に対するものか決めるのは、夏なんですね。
2020/21シーズン向けワクチンの製造株が決定し、ワクチンの製造が行われています。2020/21シーズン向けワクチンは、昨シーズンと同程度の量を製造することを目標にしています。具体的な製造予定量については、夏頃に改めてお知らせします。(2020/4/27更新)
4月にどの株にするか決めて、夏に製造量も決めているから、実際に流行する時に、外れたり、たらなかったりするわけです。
6300万人分というと日本人2人に一人くらいの量ですから、そりゃ製造にも時間がかかりますよね。
でも、流行の予測が外れると在庫が貯まったり、ワクチン打っても感染したりということも起きるわけで、企業の発注量の予測をするバイヤーさんも博打的要素がありますが、この厚労省の担当者も胃が痛いでしょうね。
それにしても、今年の6300万人分というのは、去年が約2900万本(一本=1mlなので、2回分)だったのに比べて多くないですか? 去年も最多だったそうですが、今年はさらに、多めに用意するようです。
コロナウイルスはこの冬どうなる
その背景には、当然、新型コロナウイルスも問題があります。
インフルエンザは新型コロナウイルス感染症と症状の見分けがつきにくく、感染を警戒して接種の希望者が増えると見込まれる。
新型コロナウイルスのワクチンが、この冬に間に合うかどうかわかりませんから、せめてインフルエンザにはかからないようにと思う人がワクチンを打つだろうという見込みで多めにしたようです。
開発が進められているワクチン候補は、どれも多種多様なワクチン技術のプラットフォームを用いている。これまでに十分なテストが実施されてきたものもあれば、最先端のものもある。
何にしても、まだ途中経過でしかないということです。
ただ言えるのは、ワクチン接種については、インフルエンザもコロナウイルスもまずは重症化しやすい高齢者ということになるでしょうね。
現時点の考えでは、高齢者と基礎疾患のある方、新型コロナウイルス感染症の診療を直接行う医療従事者が優先すべき対象と考えられています。また、救急隊員、積極的疫学調査に携わる保健所の職員、高齢者と基礎疾患のある方が集団で居住する施設の職員の方なども対象として検討されています。妊婦の方を含めるかどうかも、検討課題となっています。
専門家会議が有識者会議になって、公表される内容がさらに絞られることもあり、このコロナ専門家有志の会のnoteはコロナウイルスとの戦いに欠かせない情報源だといえます。
その記事の中でワクチンについて、気になることがありました。
ワクチンは大事だけど、コロナは狙っているかも
ワクチンについての説明をしている中で、ワクチンの効果について以下のように書いてあります。
ワクチンに、接種した人が「①発症するのを予防する効果があるかどうか」「②重症化を防ぐ効果があるかどうか」については、臨床試験で確認することが可能です。 しかしながら、「③接種した人が感染しない」という効果については、客観的に証明することが難しいうえ、新型コロナの場合にはそもそも無症状の方も多いため、さらに証明が困難です。
インフルエンザのように、症状が感染と結びついていて、しかも、感染させるのは症状が出てからという場合には、ワクチンでウイルスに感染しても発病しないワクチンのあり方は理にかなっていると思いますが、コロナウイルスはそうではないわけです。
感染しても症状がない人が多いコロナで、症状が出ないのはワクチンが効いているからとは言い切れないからです。
また、症状が出る前に感染を開始しているコロナの場合は、ワクチンを投与してもらいに病院に来ている人が感染していないとは言い切れません。
この点も、ワクチンを投与してもらう人は感染していないと言えるインフルエンザとは違うわけです。
つまり、ワクチン投与のために病院に人を集めると感染クラスターになる可能性が、インフルエンザに比べてコロナウイルスは高いのではないでしょうか。
インフルエンザでは、よく、病院に行って感染されたなどと言いますが、コロナウイルスは、ワクチン接種という名目でも病院に人を集めてはいけない病気だと言えると思います。
ワクチン接種で人が集まるのをコロナウイルスは狙っているかもしれません。
ワクチンは薬じゃない
また、ワクチンは薬ではありません。ワクチンがウイルスを殺すわけではないのですが、この辺りを誤解している方もいるようなので念を押しておきます。
ワクチンは、ある病原体やウイルス(あるいはその遺伝情報)を使ってつくられます。予防のためにワクチンを接種することによって、体内でその病原体やウイルスに対する抗体をつくりだし、感染に備えるのです。
さらにワクチンは万能でもありません。
しかしながら、現時点で、どのような性能をもったワクチンが、いつ頃に完成するかはわかっていません。
また、大切なことは、ワクチンの接種後に副反応が生じることがあり、副反応をなくすことは難しいという事実です。たとえば、比較的軽い副反応が多くの人に起きる場合や、深刻な健康被害がごく一部の人に起きる場合などが考えられます。ワクチンによって獲得できた抗体が、身体を守らずに、悪い作用を及ぼし、重症化をひきおこす現象(抗体依存性感染増強(ADE))が起きることもあります。
それでも、今このタイミングでなければ、完成時に日本の住民向けの供給数を確保できないと考えられるため、日本政府は複数の企業と交渉をしているところです。
ワクチンを打っておけば、抗体ができるので、かからないかもしれないけど、ワクチンの株が異なればかかることもあるし、さらにいえば、ワクチンそのものが体と合わない場合もあります。
ワクチンが悪さをすることもあることを殊更に強調するのが、ワクチン反対(コロナウイルスだけではなく、あらゆるワクチンに対して)の立場の人たちなのですが、私はワクチンを活用する場合は、副作用と効果を天秤にかけるしかないと思うんですね、そこは。
ワクチンを盲信してはいけない
私の場合、インフルエンザワクチンは体に合わないことが多いというか、そのままひどくなってしまった経験があるので、個人的に打たないことにしています。
ただ、インフルエンザワクチンに効果がないとは思いません。ワクチンを打っている人が一定数以上いることで、社会の中での感染防止には効果があると思います。ただ、全員が接種すべきかどうかと言うと体質もありますからね、と言うことです。
インフルエンザワクチンは、もしかしたらですが、新型コロナにも良い影響があるかもしれないという研究も出てきています。
JAMA(米国医師会誌)の記事によれば「65歳以上の高齢者では、インフルエンザワクチン接種をしていた方が、新型コロナによる死亡も減る」という研究が現在投稿され査読されているとのことです。
インフルエンザワクチンの効果も、よく見極めることが必要だと思います。
ただ、コロナウイルスのワクチンについてですが、これは別の理由で、私は接種しないと思います。
このウイルスの特性を考えると、ワクチンの効果が今ひとつ期待できていないように思うからです。
つまり、先ほど、ワクチンが狙っているかもと書いたように、ワクチンで感染を抑えられるかどうかよりも、ワクチン投与に人が集まる方が危険な気がするのです。
すでに感染している人が無症状のままワクチンを投与してもらいに病院に集まる可能性が捨て切れないからです。
それでも日本でのワクチン開発は必要
日本は、ワクチンよりも、対症療法になるかもしれないけども、重症化を抑える薬の開発に注力した方がいいのではないかと言うのが、個人的な見解なのですが、それでも、アメリカにお任せとはいかないと思います。
どこの開発が成功するかわからないですからね。
ワクチンを開発している会社の人もインフルエンザとコロナウイルスの違いを指摘して、難しいと言っています。
――なるほど。新型コロナは抗体が形成されにくいそうですね。
「確かにその傾向はありますね。おそらく、体内で活性化する際のウイルス量が少ないためでしょう。インフルエンザの場合は、ウイルスが急激に増え、熱が出て、抗体ができる。症状が出にくいと体が必死にならず、抗体を作ろうとしないのです。一度かかった人も中和抗体ができにくく集団免疫の可能性も低いので、ワクチンで対応するしかありません。ワクチンで抗体ができても短期間で消失するのではないかという説もありますが、これはあたりません。ワクチンは、抗体が持続できるように設計していますので、自然感染と同じではありません」
それでも日本製が必要な理由は、いざとなったら裏切られる可能性があるからです。
「アストラゼネカと日本の供給契約を見てもらうとわかるのですが、副作用が出ても会社は責任を負わず、日本国政府が責任を負うことになっています。臨床試験もパスさせろと言ってきたとも報道されています。効果は関係なくとにかく買え、そうでないなら売ってやらないということでしょう。これではまともな交渉にはなりません。自分で切れるカードを持っているかどうかが、大きく立場を変えます。ワクチンを自国で作れない国は悲惨ですよ」
アメリカやロシアが先行するワクチンに頼るのではなく、日本製も是非開発して欲しいと思います。
日本が強い免疫研究から治療薬を
それはそれとして、やはり日本のお家芸である免疫の研究を応用した治療薬の方がいいと思うんですね。
利根川先生や本庶佑先生などノーベル賞もそうですが、多くの世界的権威がいる分野です。
なぜ免疫かと言うと、新型コロナウイルス感染の症状を抑えるには、インフルエンザとは異なる機序に着目した方がいいと思うからなんです。
インフルエンザは、高熱や肺の炎症など症状がある程度わかっていますし、感染しても症状を抑える薬もあります。
でも、コロナウイルスの場合は、最初の頃言われた症状は重度の肺炎だったのが、のちに重症化の方向として、血管の炎症だったり、臭覚や味覚の減退が長く続いたり、神経への影響や心臓などの臓器への影響など、まだまだわからないことが多い病気です。
そうなると、RNAウイルスであることからエボラ出血熱などのレトロウイルス系の疾患の治療薬や、重症化するときに発生するサイトカインストーム(免疫の暴走)による血管での炎症を起こす仕組みが自己免疫性疾患に似ていることなどを鑑みると、リウマチなどの自己免疫性疾患や免疫以上に対応する治療薬が効果的なのではないかと言う気がしますし、実際、そう言う薬が注目されているようです。
また、最近では、免疫学の大家の岸本忠三先生のもとで、研究が進んでいるようです。
阪大免疫学フロンティア研究センターの岸本忠三特任教授によると、新型コロナの重症患者の血液では、免疫細胞から放出されるタンパク質「インターロイキン6」の濃度が上昇することで、血液凝固を促進するタンパク質「PAI―1」が多く産出されていた。
この辺の研究は、日本が得意とする分野だと思うので、そう言うところから突破するのがいいんじゃないかなあ。
台湾が「東洋のノーベル賞」をめざして始めた国際学術賞「唐奨(とうしょう)」の運営団体は19日、今年のバイオ・医薬分野の賞を、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの岸本忠三(ただみつ)特任教授(81)に贈ると発表した。阪大によると、英米の科学者2人との共同受賞で、日本人の唐奨受賞は、京都大の本庶佑(ほんじょたすく)・特別教授らに続き3人目になる。
サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。