豚組後の飲食クラファンは返礼のデザインが肝になるのではないか
コロナ禍で、飲食店や農水産業関連でクラウドファンディングが盛んに行われています。
https://camp-fire.jp/channels/covid-19-support-food
それをサポートする動きもあります。
2020年7月1日正午以降にプログラムへ申請いただいた事業者を対象に、従来のサービス手数料12%→0%に加え、決済手数料5%→0%となり、集まった支援金に掛かる全ての手数料が無償で資金調達が可能となります。
特化型もあります。
いろいろな動きがあることは良いことだと思いますが、これだけ多くのクラファンがあると、支援する方も大変です。
全部を応援するほどお金もないので、セレクトすることになりますよね。
最初は、企画に目が行きますが、クラファンを見慣れてくると、当然、そのリターンの内容が気になってきます。
その結果、早晩、ふるさと納税と同じような状況になるのではないでしょうか。
そこで、金額に対するリターンの対価が多いとか少ないとかいうことになると、まさにふるさと納税化するわけですが、そこに、リターンの内容にいかに感動するか、という視点が出てくるように思います。
その端緒となっているのが、やはり豚組しゃぶ庵のクラファンです。
支援額も、そのスピードも圧倒的だったしゃぶ庵のクラファンは、さらに意外な展開をもたらしたことは、ご存知の方も多いと思います。その辺りは、全て、準備室のnoteで公開されています。
そして、リターンとなる豚しゃぶセットが届いたことが、SNSに報告される中で、そのパッケージの素晴らしさを讃える声が止みません。
六本木の、豚組しゃぶ庵に行ったことがある人はピンと来ますが、お店へと続くあの階段。お店に入る5秒前に誰もが見たことのあるあの階段の写真と、ようこその文字…!
おもてなし感というか、宅配なのにお店を感じさせるこの仕組み!すごい!
それについても、種明かしというかネタバラシをしてしまう余裕。
デザインすげー、優秀なデザイナーすげーという話なのですが、こうした体験をリターンできるかどうかという視点が、今後のクラファンのハードルを上げたのではないかと思います。
確かに、豚組のこのパッケージの場合、応援してくれる人の豚組体験率の高さが、感動につながっているのですが、それだけではなく、お店と同じ体験をしてもらうための工夫がタレや解説書などに満ち満ちているわけです。
そういうものを体験すると、確かにクラファンのお礼として美味しいお肉を送ってもらったとしても、お礼状とお肉だけでは、ちょっと物足りなくなるわけです。
それは贅沢な言い草だということはわかっていますが、クラファン体験が多くなればなるほど、このリターン品の設計は、中身と同時にデザインが重要になるのではないか。
さらにいえば、その体験のデザインという視点が、地方の商品を売る際のキーワードになるのではないか、という気がしています。
お肉は美味しくて、しゃぶしゃぶにしていただきました。
その時に、少しでも豚組っぽくしたくなる(お湯だけではなく出汁を入れるとか、レタスや白髪葱を入れるとか)のは、もう体験が染み付いているからなんですよね。
そして、今帰仁アグーは、油の融点が低いので、お湯はあまり沸騰させないようが良いとか、やっぱり岩塩がうまい、いや、沖縄のものだから海の塩がうまい、とか妻に向かって言いながら食べている自分が、あまりにも豚組に影響されていることを感じた次第です。
クラファンに、豚組前、豚組後を作ったように感じます。
美味しければそれで良い、とはいかない時代になるのではないでしょうか。