[漫才] いかのきもち(当て書き:夢路いとし・喜味こいし)
#オチを予想してお楽しみください (5文字)
イカの食べすぎで「イカになってしまったらどうしよう」と本気で心配するいとしさんと,呆れながらも相談に乗るこいしさんのやりとりをお楽しみください
オチの分類:地口落ち/考え落ち
夢路いとし:酒の肴といえば,僕はスルメ
喜味こいし:スルメは美味い。「アタリメ」とも言いますわな
い:僕はスルメが大好きなんですわ
こ:君より私のほうがもっと好きやけどね。スルメのことを「アタリメ」と呼ぶくらいやから
い:なんや君は。「アタリメ」と言うことで,「自分はイカの玄人である」とアピールしとんのか
こ:私は普段から「アタリメ」と言うてますよ。それくらい「好き」ということや
い:君ねぇ,僕のほうがイカ好きやで。最近イカ食いすぎて,「そろそろイカになるんやないか」と心配してますからね
こ:君はなんの心配をしてんねん
い:毎晩イカ食うとると,こうなるわけや
こ:なるか,そんなもん
い:僕は毎晩,「朝起きてイカになっとったらどないしよ」と心配しながら眠りにつくんですわ
こ:そんな心配せんでええ。「イカになる」なんてあり得んから
い:ほんなら君は,「明日僕が絶対にイカになることはない」と言い切れるんか
こ:絶対にないやろ。イカになることは
い:君あれやな?「どうせ災害なんて起きん」と思うタイプやろ
こ:なんや急に「災害」て
い:君のように「どうせ災害なんて起きん」と思うとる人間が,いざ災害起きたらなんの準備もしとらんから痛い目見るんやないか
こ:君はなんの話をしてんねん
い:何事も「備えあれば憂いなし」っちゅう話や
こ:「備え」て,イカの話をしとるんやで
い:心配なもんは心配なんやからしゃあないやないか
こ:だいたいなぁ,「イカになるかもしれん」て心配したところで,どんな備えすんねん
い:例えばやな,枕元に醤油とワサビを置いて寝るとか…
こ:なんで自ら食われる備えしとんねん
い:僕はイカを生姜で食べるタイプやけどね
こ:どっちゃでもええわ
い:イカはどう思っとるんやろね
こ:何が?
い:イカの立場やったら,ワサビと生姜「どっちで食うてほしい」思うとるやろね
こ:イカがか
い:イカがや
こ:それこそどっちゃでもええわ
い:ほうほう。イカとしては,「ワサビでも生姜でもどちらでもいい」というのが正式な見解ということやな?
こ:なんで私の答えが「イカとしての正式な見解」やねん
い:君はイカ代表やろ?
こ:イカ代表違うわ。人間代表や
い:人間代表でもないやろ
こ:人間代表でもないけど,イカ代表でもない。というか,私はイカではない
い:君は人間か?
こ:人間や
い:しょっちゅうイカを食う人間か?
こ:しょっちゅうイカを食う人間や
い:しょっちゅうイカを食う人間やったら,「明日朝起きてイカになっとったらどないしよ」思うんが人情っちゅうもんやないか
こ:君だけや,そないなこと思うんわ
い:朝起きてもしもイカになっとったら,当然僕は布団の中にいるわけやから,掛け布団が重くて外に出られなくて大変な思いすることになるやないか
こ:君は本気で心配しとんのか
い:あたりまえや。「防災」というもんはな,本気で想像して備える。これが基本や
こ:「朝起きたら急にイカになっとる」なんて災害ないから大丈夫や
い:まぁでも,イカになったらなったらで,「どんな風に料理してもらえるんかな」と心配になる
こ:君は「イカになった後」の心配もしとんのか
い:誰でも老後の心配くらいするやろ
こ:なんで君の老後「イカ」やねん
い:誰でも「イカになりたい」っちゅう夢があるからこそ,毎日つらくてもがんばれるんやないか
こ:誰もそんな夢持ってないわ
い:君は夢も持っとらんのか
こ:「夢」はあるけど,「イカになりたい」なんて思ってないわ
い:君はすでにイカやからな。夢叶えて羨ましい限りや
こ:イカやないて。そんな夢持ってるか
い:僕が察するにやな,イカにとっては「どう料理されるのか」というのは重要な問題やと思うんですわ
こ:重要かどうかは知らんけど,「どうせなら活きのいいうちに刺身にしてもらいたい」という思いはあるかもしらんな
い:君,「イカの気持ち」よう分かっとるやないか
こ:いやいやいや,これ「イカの気持ち」ちゃうやろ。「活きのいいうちに刺身にしたほうがええ」っちゅうんは誰もが思うとることや
い:「イカである」ということは何も恥ずかしいことやないねんで
こ:「恥ずかしい」から隠しとるわけやない。私はイカちゃう
い:ちなみにイカの立場からすると,「寿司にされる」ということについてはどう思うとるんやろね?
こ:寿司な。あれは「握られる」やろ?
い:握られる
こ:おじさんに
い:板前さんはだいたいおじさんや
こ:しかもそのおじさんがやで,微妙にソフトなかんじで握ってくる
い:嫌なんか?
こ:あれはあんまりええ気持ちはせんな。正直
い:やっと本音言うたな。イカの本音
こ:おじさんにソフトタッチで握られるくらいなら,いっそのこと煮るなり焼くなりしてもらいたい
い:「イカ焼きか煮付けにしてもらいたい」ということか?
こ:まぁまぁ,でも一番はやっぱり刺身やな。イカはみな「刺身になりたい」という夢を持っとる
い:ということはあれか?
こ:「あれ」というと?
い:「干されるのだけは絶対に嫌」っちゅうことか
こ:◯◯◯◯⚪︎だ
あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】