漫才論| ⁴¹「うまい漫才」ってどんな漫才❓
M-1グランプリのおかげで「漫才の人気」はかなり上がったと思いますが,M-1グランプリのせいで「うまい漫才」はかなり減ってしまったと感じています
原因は,M-1が「おもしろさ」を追求する大会だからだと思います。M-1の審査基準は,「とにかくおもしろい漫才」です。「おもしろければそれでいいじゃないか」と言われる方も多いかもしれませんが,うまい漫才が大好きな人からすると,うまい漫才師が減ってしまうのはかなり困ります
「うまい漫才」って何?
そもそも,「うまい漫才ってなんなの?」と思われる方もいると思います。M-1のせいでうまい漫才師が減ってしまっただけでなく,「うまい漫才」とはどんな漫才なのかを知らない世代が誕生してしまったような気もします
テンポがよくて相槌がうまく,スイッチングが絶妙で無駄がない掛け合いをするのが「うまい漫才」です。これは,普通の会話では絶対にあり得ない高度な掛け合いで,それでいて普通の会話をしているようにも見えるという「芸」で,これこそまさしく「話芸」です(この掛け合いのイメージが湧かない方は,「中田ダイマル・ラケット」「夢路いとし・喜味こいし」などの漫才をご覧ください)
「フリートークのような漫才」が主流に
現役の漫才師でもこのような「うまい漫才」ができるコンビももちろんいますが,最近は「フリートークのような漫才」が主流になっています。それはつまり,普通の会話の延長線上にある掛け合いです
「普通の会話では絶対にあり得ない高度な掛け合い」というのは誰にでもできるものではなく,素質とかなりの修行が必要ですが,「フリートークのような掛け合い」はそこまで難しいものではありません。M-1では「うまい」ということがそこまで評価されるわけでもないので,より簡単な「フリートークのような漫才」をするコンビが増えたとのではないかと思っています
そして,いつからかそのような漫才が主流になり,「うまい漫才」を知らない人もどんどん増えています
「うまい漫才」がしたい方はいますか?
このまま「うまい漫才」を知らない人が増えてしまうと,うまい漫才ができる人やそういうネタを書ける人が減ってしまいます
今はまだ,「中田ダイマル・ラケット」「夢路いとし・喜味こいし」などのうまい漫才師に対する一定の評価が保たれているので,今のうちに「うまい漫才」に取り組む漫才師を増やしたほうがいいと思います
「うまい漫才がしたい!」という方は,こちらの記事もご覧ください
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「みんなで作る漫才の教科書」とは,テーマ別に分類した「漫才論」にみなさんから「質問」「意見」「反論」などをいただいて,それに答えるという形式で教科書を作っていこうというプロジェクトです
THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」
フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔 出演: おせつときょうた
あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】