漫才論| ⁸⁴「フリートーク」と「フリートークのような漫才」って何が違うの❓
「ガキの使いやあらへんで!」という番組でのダウンタウンの「漫才のようなフリートーク」の影響を受けて,"ああいう漫才"を目指すコンビもいます。フリートークのような漫才,即興漫才,アドリブ漫才,呼び方はいろいろありますが,そんなかんじの漫才です
「ガキ使世代」ではなくても,「べしゃり暮らし」に刺激を受け,アドリブ漫才を自分たちのスタイルにしようとするコンビもいるかもしれません。それは別に悪いことではありませんが,「フリートーク」と「フリートークのような漫才」の違いが分からないままこれをやると,大抵痛い目を見ます
「これは漫才です」という形でみせれば漫才
何も準備せず,その場で思いついたことをしゃべって爆笑をとる姿はかっこよく見えるかもしれませんが,それは「フリートーク」という形だからこそ成立しているのであって,まったく同じものを「これは漫才です」という形でみせた途端,全然ウケないということもあり得ます。その理由についてはこちらの記事に書きました
「フリートーク」と「フリートークのような漫才」の一番大きな違いは,この「付加価値」があるかないかです
そこまでの"覚悟"があるのか
つまりこれは,仮に,ダウタウンと同じくらいおもしろいフリートークができたとしても,それを「漫才」という形でみせると,「ダウンタウンよりおもしろくない」という評価になるということです。この違いを知らないまま,フリートークの腕があるからといって自信満々で「アドリブ漫才」をやってしまうと,当然思っているほどはウケませんし,めちゃくちゃスベることさえあります
それでもあえて「アドリブ漫才を自分たちのスタイルにする」という選択肢ももちろんあります。実際,普通の漫才よりもアドリブ漫才のほうが向いているコンビもいるのかもしれませんし,そこまでの覚悟をもって取り組み,それを「漫才」という形でみせても十分に笑いをとれるところまでいけたら,それは本当にかっこいいことだと思います
このテーマに関する質問・意見・反論などは
「みんなで作る漫才の教科書」にお寄せください
「みんなで作る漫才の教科書」とは,テーマ別に分類した「漫才論」にみなさんから「質問」「意見」「反論」などをいただいて,それに答えるという形式で教科書を作っていこうというプロジェクトです
THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」
フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔 出演: おせつときょうた