漫才論| ⁷⁷「どちらが進行役か」という視点での漫才スタイルの分類
みなさんは漫才をみるときに,「どちらが進行役か」という視点でみることがあるでしょうか?この視点でみてみると,それぞれのコンビがどんな漫才スタイルなのかがよく分かるようになります。それによって,自分たちがどんな漫才スタイルを目指すべきかも見えてくるかもしれません
そこで今回は,「進行役」という観点でコンビを分類してみました。ただ,すべてのネタをチェックすることは不可能ですし,漫才スタイルが変化することもあるので,「この分類はおかしいんじゃない?」というところがありましたらコメントお願いいたします
進行役が固定されているコンビ([]が進行役)
この中で特に「進行役」が分かりやすいのが,ナイツと爆笑問題です。ナイツの場合は,ボケの塙さんがひたすら話を進め,土屋さんがそれにひたすらツッコみます。逆に,爆笑問題の場合は,ツッコミの田中さんが話を進め,その話題に合わせて太田さんがボケまくるというスタイルです
進行役を固定すると,ネタは作りやすくなりますし,演じるのも比較的楽だと思いますが,「いつも同じパターン」で「単調」な漫才なる恐れがあります
進行役がネタによって入れ替わるコンビ
進行役を変えることができれば,いろんなパターンのネタができますが,どちらもしゃべりが達者でなければこのスタイルはできません
どちらが進行役をやるのかは,どうやって決めるのでしょうか?注目できるのは,ここに挙がっているコンビはみな「ボケとツッコミが分かれている」ということです。「『ボケ』と『ツッコミ』というのは真逆のもの」と思っている方もいるかもしれませんが,必ずしもそうではありません。同じセリフを,「ボケ」として言うこともできれば,少し変えて「ツッコミ」として言うこともできます。そして,その「ボケ」その「ツッコミ」をどちらが言ったほうがおもしろいのかは,それぞれのキャラクターなどによって決まります
こうした要素を踏まえてネタを作っていくと,今回のこのテーマだと「ボケ側が進行役のほうがおもしろい」とか,別のテーマの場合は「ツッコミ側が進行役のほうが自然でよりおもしろくなる」とか,そういう状況が生じるので,それに合わせて進行役を決定しているのではないかと思います
進行役がネタと途中で入れ替わるコンビ
これは,もっとも難易度の高い漫才スタイルです。息が合った掛け合いができないと,スムーズに進行役を入れ替えることはできません。途中で変な間があいてしまったり,セリフがかぶってしまったりするからです。これができるのは相当うまい漫才師です
「うまい漫才」を目指しているのであれば,こういう漫才を研究するといいと思います
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「みんなで作る漫才の教科書」とは,テーマ別に分類した「漫才論」にみなさんから「質問」「意見」「反論」などをいただいて,それに答えるという形式で教科書を作っていこうというプロジェクトです
THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」
フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔 出演: おせつときょうた
あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】