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[読む漫才] 鍋奉行 Ver.2(当て書き:ギャロップ)

#オチの直前まで無料

#オチを予想してお楽しみください (2文字)

しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる
●漫才における「相槌」はそのときの雰囲気で自然に入れるものなので通常漫才台本には書きませんが,本格的な掛け合いのしゃべくり漫才をイメージできるようあえて細かい「相槌」を書き込んでいます。それが「読む漫才」です。

毛利:「冬といえば?」と聞かれてね
林:はいはい
毛利:あなたなら何を思い浮かべますか?
林:僕やったら,「乾燥」ですね
毛:頭皮のね
林:「肌」でええやんそこは
毛:え?
林:なんで俺だけ頭皮限定で乾燥してんねん
毛:あなたの場合は
林:うん
毛:肌=頭皮やから
林:なんでやねん。なんで俺だけ全身頭皮やねん
毛:そういうイメージありますよねぇ?
林:ないやろ
毛:ありますよ
林:
あんの!? 僕ってそんなふうに思われてんの?
毛:みーんな思ってますよねぇ?
林:みんな!? いやええねん頭皮の話は。「『冬といえば?』と聞かれたら」という話やから
毛:「冬といえば」ね
林:あなたは?
毛:僕はやっぱりね
林:うん
毛:「鍋」ですね
林:あ〜鍋ね〜
毛:冬になって寒くなったら無性に食べたくなるでしょ?
林:あったかい鍋を家族や友人と囲んでね
毛:ほいで僕はね
林:はいはい
毛:「鍋奉行」というのをやりたい
林:鍋奉行
毛:そう
林:鍋を作って振る舞ってくれる人?
毛:「あ〜それまだまだ。こっち先やから。あっその肉もうええんちゃう?よそってあげよか?」みたいなね
林:君は鍋奉行向いてないて
毛:なんで
林:うざがられるやろ?

毛:あ〜それでなんかな〜
林:何が?
毛:僕は昔っから「鍋奉行やりたい。鍋奉行やりたい」言うてるんですけどね
林:うん
毛:だーれもやらせてくれないんですよ
林:あたりまえやそれは
毛:なんで?
林:こういう性格の人には鍋奉行やってほしくないですよねぇ
毛:僕は性格変えな鍋奉行なられへんの?
林:なられへん
毛:ほんなら一生鍋奉行ならへんやん
林:性格なんてそんな簡単に変えられるものではないですからね
毛:そうやねんほんまにこれは。申し訳ないけど
林:あるといえばあるんですけどね
毛:何が?
林:あなたのような性格でも鍋奉行になれる方法が
毛:あんの?
林:知りたい?
毛:それはぜひ教えていただきたい。僕もうほんまに鍋奉行なりたいんですよ
林:ほんなら,鍋奉行にとって一番大切なことは何か知ってますか?
毛:性格
林:そうや。そうやった
毛:それが原因で鍋奉行になれないんやから僕は
林:二番に大切なことは?
毛:鍋奉行にとって二番目に大切なこと?
林:なんやと思う?
毛:え〜料理の腕前?
林:あ〜違います
毛:ちゃうの
林:鍋奉行にとって二番目に大切なことは
毛:はい
林:"でし"の取り方
毛:それは料理の腕前に含まれるんちゃうの?
林:"でし"の取り方が?
毛:いやいやあの〜ダシのことやろ?
林:"でし"ですよ
毛:なまってんの?
林:何が?
毛:鍋のダシを取ることを,「"でし"を取る」言うてない?
林:なまってないよ。"でし"やろ?
毛:ちょっと一回「ダシ」って言うてみて?
林:ダシ?
毛:言えてるやん。なまってないやん
林:だから「なまってない」言うてるやん
毛:ほんでお前が言うてんのは?
林:鍋奉行にとって大切なのは,"でし"の取り方
毛:お弟子さんを取るってこと?
林:あなたがもし"でし"を取るとしたら
毛:僕が弟子を取るとしたら?
林:何がらで"でし"を取りますか?
毛:何がらで?僕が弟子を取る場合?
林:そうそう
毛:それはまぁ・・・人柄ちゃう?
林:鶏ガラやろ普通は
毛:だからダシやろ?
林:「"でし"や」言うてんねん
毛:なまってんねんお前は〜
林:なまってないよ
毛:さっきからダシのことを"でし"言うてんねん
林:ダシのことを"でし"なんて言うてないよ。弟子のことを"でし"言うてるだけや
毛:ほんならお前は,鶏ガラで弟子を取んの?
林:取りますよ
毛:「鶏ガラで弟子を取る」ってどういうことやねん
林:いやだから弟子を取る時には,ビシッと鶏柄のシャツを着てやなぁ…
毛:「鶏ガラ」ってそっち!?
林:「そっち」ってなんやねん
毛:鶏の柄がプリントされたシャツのことを「鶏ガラ」言うてたん?
林:そうよ。他にある?「鶏ガラ」なんて
毛:鶏ガラスープのことやろ。普通「鶏ガラ」言うたら
林:(笑)鶏ガラスープの「鶏ガラ」やったら,ダシは取れても弟子は取られへんやろ
毛:鶏柄のシャツでも弟子は取られへんねん
林:鶏柄のシャツ着てたら目立つやん
毛:目立つけど
林:ほんならそれ見て,「弟子にしてください」言う奴が来んねん
毛:来るかそんな奴。だいたいそれなんの弟子やねん
林:「どうやったらそんなふうに鶏柄のシャツを着こなせるのか教えてください」という人が来ますからね
毛:(笑)そんな奴います?
林:流行ってますからね。鶏柄のシャツ
毛:流行ってないわ!だいたいねぇ
林:何?
毛:僕は,「鍋奉行になる方法が知りたい」言うてんねん
林:そうよ
毛:鍋奉行と鶏柄のシャツ全然関係ないやん
林:関係あるやん〜
毛:何が関係あんの?
林:弟子というのは普通師匠の言うことを聞きますからね
毛:それは聞きますよ
林:弟子と一緒に鍋をしてやな
毛:うん
林:「今日は私が〜鍋奉行をやってみようかな」
毛:なんやねんその言い方
林:とかなんとか言うたら,確実に鍋奉行になれますからね
毛:嫌やわ〜そんなん
林:何が嫌やねん
毛:師匠としての権力使って鍋奉行なるなんて嫌やろ普通
林:しゃあないやん。お前は普通の方法では鍋奉行なられへんねん。権力使うしかないやん
毛:それに鶏柄のシャツ着るのも嫌やし
林:着たらええやん鶏柄のシャツくらい
毛:鶏柄のシャツ着こなせてる自分も嫌やし
林:鶏柄のシャツ着こなせるのはお前くらいや
毛:「鳥柄のシャツの着こなし方を教えてください」言うて弟子になった奴らと鍋囲むのも嫌やわ〜
林:わがままやな〜お前は〜
毛:もっと普通の方法ないの?
林:何が?
毛:鍋奉行になるための普通の方法や
林:あるよ
毛:あんの?
林:一番簡単な方法
毛:どうしたらええの?
林:◯◯で鍋をしたらいい
毛:もうええわ〜

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あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】