漫才論| ¹²漫才の「テンポ」と「スピード」はどう違うの❓
特に若手の頃はそうかもしれませんが,テンポのいい漫才をしようとして早口でしゃべり,聴きとりづらい漫才になってしまうことがあります。でも,「テンポ」と「スピード」というのは,重なる部分もありますが,基本的には別物です。どう違うのでしょうか?
漫才の「テンポ」とは?
漫才のテンポはおもに,「話す速さ」によって決まるのではなく,「一人が話し終えてもう一人が話しはじめる速さ」によって決まります。ゆっくり話していても,「一人が話し終えてもう一人が話しはじめる速さ」が速ければ,テンポのいい漫才になります
漫才ではなく一人でしゃべる場合も,話のテンポというのは「話す速さ」ではなく,「一つの文を話し終えて次の文を話しはじめる速さ」によって決まります
それで,一人一人のしゃべりもテンポがよく,「一人が話し終えてもう一人が話しはじめる速さ」も速い漫才が,テンポのいい漫才です
漫才の「スピード」で9つのタイプに分類できる
漫才のスピードは,「テンポの速さ」+「話す速さ」によって決まります。「テンポの速さ」と「話す速さ」の組み合わせでどんな漫才になるのかまとめてみました
この中で一番聴いていて心地いいのは❷の「テンポのいい漫才」だと思います。❶の「ハイスピード漫才」は,かなり滑舌がよくないと聴きとりづらくなる恐れがありますし,心地よさはあまり感じられない場合が多いです
どのタイプを目指すべき?
❷の「テンポのいい漫才」を目指すのが理想ではありますが,人によって,コンビによって,向き不向きがあります。元々早口な人もいれば,ゆっくりしゃべる人もいます。コンビの片方はテンポが速く,もう片方はゆっくりというパターンもあります
「テンポのいい漫才」を目指して訓練を重ね,話芸を磨いていくのはとてもいいことですが,あまりにも無理をして自分には合わないスタイルの漫才をしていると,漫才がだんだん嫌になってしまうこともあります。それで,コンビ同士で互いの能力や適正などを見極め,"二人にとってもっともよい漫才スタイル"を探すのが一番いいのではないかと思います。そうすれば結果的に,自分たちにしかできない漫才スタイルを見つけることができるはずです
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「みんなで作る漫才の教科書」とは,テーマ別に分類した「漫才論」にみなさんから「質問」「意見」「反論」などをいただいて,それに答えるという形式で教科書を作っていこうというプロジェクトです
THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」
フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔 出演: おせつときょうた