[漫才] 鳥類のストレス(当て書き:夢路いとし・喜味こいし)
#オチを予想してお楽しみください (2文字)
「人として生きていくのが大変だ」と感じたことがないいとしさんと,「それはいとしさんが人ではないからではないか」と疑うこいしさんのやりとりをお楽しみください
オチの分類:仕込み落ち
夢路いとし:今日はシラミに…
喜味こいし:シラミ?
い:シラミやない。ダニに…
こ:始まった
い:ゴミに,キミに,君に相談がありまして…
こ:「君」くらいスッと言え。ダニとかゴミとか人をなんやと思うてんねん
い:最近肌荒れがひどいんですわ
こ:ダニのせいやろ
い:君のせいか
こ:誰がダニやねん
い:病院で調べてもろうたんやけど,ダニのアレルギーはないんですわ
こ:ほんならストレスか
い:ストレスはあるな
こ:私も溜まっとるな。時々「人間として生きてくの大変やな」思うくらいストレス溜まってますわ
い:それは溜めすぎやろ
こ:「人間として生きてくの大変や」て思うことくらい誰でもあるやろ
い:僕は思うたことないな
こ:ないんかい
い:一度もない
こ:君は人間やないから「人間として生きてくの大変や」思うこともないかもしれんけど…
い:君は何言うてんねん。僕は人間や
こ:君は人間か?
い:あたりまえや。どっからどう見ても人間やろ
こ:(眺める)よ〜く見ると…,人間やな
い:「よ〜く見ると」て…,ぱっと見何に見えんねん
こ:あれや。鳥類
い:え?
こ:鳥類
い:「鳥類」て…鳥か?
こ:君は鳥やろ
い:あのね,君は僕が空飛んでるとこ見たことあるんか
こ:どうせ君は飛べない鳥やろ
い:それはそれで失礼やないか
こ:ほな飛べるんか?
い:飛べるか。僕は人間や
こ:ほんまに人間やったら,「人間として生きてくの大変や」思うこと,一度や二度はあるはずや
い:そない言われてもやなぁ,ないもんはないんやから仕方ないやろ
こ:例えばや,縁側でいつもゴロゴロしている猫を見て,「僕はこんなにストレスを抱えているのに猫はいつも気楽でええなぁ。僕も猫みたいになりたいなぁ」と思うたことはないか?
い:ない
こ:ないんかい
い:猫は苦手やから。「猫はええなぁ」なんて思うたことありまへん
こ:君,猫嫌いやったか?
い:襲ってくるやろ。油断してると
こ:誰がや
い:猫がや
こ:猫がか。襲われたことないな
い:僕はしょっちゅう襲われそうになるんですわ
こ:君,やっぱり鳥やろ
い:なんでやねん
こ:猫はよう小鳥とか襲うからや
い:「小鳥」て。僕はどう見ても小鳥やないやろ
こ:かなり大きい鳥やな
い:鳥やない。人間や
こ:君,好きな食い物は?
い:好きな食い物?なんや急に
こ:好きな食い物が何かで,君が鳥かどうかが判別できる
い:ステーキや
こ:君,鳥のくせして「ステーキが好き」てどういうことや
い:僕を「鳥」と決めつけて発言すな。「ステーキが好き」ということは,僕が「鳥」やないということの証拠やろ
こ:今日の朝食は?
い:朝食はやなぁ…,粟(あわ)やな
こ:「粟」というのは?
い:あのもさもさしたやつや
こ:「あの」て言われても,どのもさもさしたやつや?
い:よく鳥の餌として売っとるあのもさもさしたやつや
こ:君,鳥やな
い:あっ!?
こ:「あっ!?」やない。やっぱり鳥やろ
い:実は僕…,鳥なんですわ
こ:君なぁ,鳥やのになんで見栄張って「人間や」なんて言い張ったんや
い:見栄張った訳やない。僕が「鳥や」言うたら付き合いづらくなるやろ
こ:何を水臭いこと言うてんねん。たとえ君が鳥やったとして,僕は君と一生漫才やろう思うとる
い:ほんまか
こ:あたりまえや
い:それはほんまにありがたい言葉やけど,そうは言うてもやな,付き合いづらくなるんですわ
こ:なんでや
い:例えば,一緒に居酒屋に行ったとするわな
こ:たまに行くな
い:焼き鳥食べづらくなるやろ
こ:まぁそれはそや。鳥である君の目の前で,さすがに焼き鳥は食えんな
い:そやなくて,「僕が焼き鳥食べづらい」っちゅう話や
こ:君,焼き鳥食うんか
い:ほら見。そやって「鳥やのに焼き鳥食うんか」っちゅう目で見るやろ
こ:あたりまえや。まずいやろ
い:美味いで~焼き鳥は
こ:「美味いで~」やないわ。「鳥が焼き鳥食うんはまずいやろ」言うてんねん
い:鳥かて焼き鳥好きなんですわ。あの甘〜いタレつけてやなぁ…
こ:しかもタレ派か
い:それは自由やろ
こ:鳥やったらあのもさもさしたやつが好きなんちゃうんか
い:君は食うたことないから分からんやろけど,あれは見た目より美味くないねん
こ:見た目も美味そうやないけどな。今朝も食うてきたんやろ?
い:出されたからや。餌や
こ:鳥はみんな美味そうに食べとるけどなぁ
い:気使っとるんやないか,飼い主さんに。こっちは籠ん中に入れられとるわけやから,飼い主さんが餌くれんようなったら死活問題や
こ:飼い主の顔色うかがって美味そうに食うとんのかいな。鳥も大変やな
い:そうなんですわ
こ:一度鳥と話す機会あったら聞きたい思っとたんやけど…
い:なんですか?今日は鳥の僕がなんでもお答えいたします
こ:あのもさもさしたやつ,かなりもさもさしとるけどもやな,食うときのど詰まりせんのか思うて…
い:あれはのど詰まりしますわ
こ:するんかい
い:あんだけもさもさしてれば当然しますわ
こ:せやけど,あのもさもさしたやつをのどに詰まらせてむせとる鳥なんて一度も見たことないけどな…
い:あたりまえや。むせとるところを見られんように必死で我慢してるんやがな
こ:必死で我慢しとんのか
い:むせとるとこ見られたら疑われるやろ
こ:何に?
い:「鳥インフルエンザやないか」て
こ:疑うな。鳥が咳してたら「鳥インフルエンザやないか」て思うわ
い:そうなったら焼き鳥や
こ:違う意味でな
い:せやから我々鳥類は,鳥インフルエンザに間違われるような動きをせんように絶えず気を配って生活してまんねん
こ:そない気使って生活しとったら肌も荒れるわ
い:肌荒れの原因はやっぱりストレスか。最近は腕がひどんですわ
こ:どれや
い:これや
こ:あ~それやったら大丈夫や
い:なんでや
こ:それは◯◯や
あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】