カード1枚60万円!? クリプトスペルズは大成功だったのか
~成功の要因と現状、今後の展望について~
7/24 15:00 記事内に誤った情報があった為、該当部分を訂正しました。ご指摘いただいたRayDarkさん、んぺーさんありがとうございました!
こんばんは、カードゲームおじさんこと、たれべあです。
今回の記事は、クリスペもブロックチェーンもあまりわからない人向けとなっております。クリスペをプレイされている方には冗長な部分もあるかと思いますので、適時読み飛ばしていただけると幸いです。
以前こんな記事を書きました。カード単体の評価としてはまあまあ当たっててよかったです。
カードゲーマーじゃなくてもわかる、クリスペの現環境と新カード解説
そのブロックチェーンゲーム、クリプトスペルズが6月25日に正式リリースとなり、クラウドセール初日に600イーサリアム(ETH、当時約2000万円程)を売り上げました。(*1)中でも、リミテッドレジェンドと呼ばれる最高レアリティのカードは30万円から一気に値段を上げ、時価60万円程での購入者も何人かいたようです。
ゲームアプリの投資回収に2年程度掛かるのが一般的と言われる中、この金額は2週間後のセール終了までに900ETHまで伸び、累積黒字となった事が発表されています。(*1)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000041264.html
去年の炎上がありつつも、かなりの成功を収めたように見えますね。
今回は、この成功の要因と現状、今後の展望についての自分の考えをお話したいと思います。
なるべく中立の観点から話を進めますが、批判的な内容も多く含まれます。でも、ぼくはブロックチェーン+カードゲームに大きな可能性を感じていて、クリスペに成功して欲しいのです。
「カードゲームやってる知り合いでクリスペやってるのたれべあさんくらいしか知らないよ」なんて言われてしまうくらい認知度が低いのが現状なので、興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
ちなみにETHは仮想通貨なので、日々値段が変わっています。執筆時(7/23)の時点では1ETH=2万2千円程度となっています。
成功の要因
同じくブロックチェーンゲームであるマイクリプトヒーローズ(マイクリ)の成功が大きいでしょう。クリスペは、マイクリの運営会社であるdouble jump.tokyo株式会社が提供するMCH+というプログラムを採用しており、協力的な関係にあるようです。(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000034671.html)
あまり詳しくはないのですが、同様のセールで500ETHの商品が売れる(*2)など、セール後の転売で利益を上げるプレイヤーも多く、ブロックチェーンゲームの可能性を世に知らしめる存在となりました。(*2 https://coinpost.jp/?p=69624)
ゲーム本体の内容はガラケー時代のグラブル、くらいの印象でクリック中心、現代風だとは言えません。ですが、ブロックチェーンゲームの特徴である資産が仮想通貨で取引できる点と、SNSなどの発達による他プレイヤーとの交流のしやすさがあり、無課金プレイヤーでもレアアイテムを入手する事が可能な為、こつこつ遊んで一攫千金!を夢見られるような内容になっています。
TwitterのTLを眺めていると、現在クリスペで高額のレアカード所持者や、情報発信されている方はマイクリのプレイヤーが多い印象です。資産を増やすことに成功したプレイヤーや、それを目の当たりにしたプレイヤーが、ゲームを遊びながら仮想通貨を増やせる、ブロックチェーンゲームが好きでもっと流行らせたい、そういった意見を多く見ました。中でも個人的に一番印象に残ったのは「先行者利益を享受しましょう!」です。
マイクリやクリスペはカード販売時に、「在庫連動型ダッチオークション(*3)」という聞き慣れない形式を採用しています。かんたんに言うと、高値から値段が下がっていき、買われると上がる。在庫枚数が少なくなるにつれて買われた時の上がり幅が大きくなります。
(*3 https://news.blockchaingame.jp/525)
クリスペの最高レアリティのカードはこんな感じでした。
(*4 https://nnppnpp.com/cs-when-buying-gold/)
初値の10万SPL(ゲーム内通貨。1ETH=1万SPL)から一気に買われて、大きく値段を上げています。その後は下がったところで買われて、在庫減少から値段の上がり幅が大きくなっているのがわかりますね。終値は158,392 SPLだったそうです。
では、最初に10万SPLで購入できた人はどうなるでしょうか。他に購入したい人がいれば、中間値をとっても3万SPLの儲けになります。なんて素晴らしい商売なんでしょう!すぐ仮想通貨買いに行かなきゃ!!
……とはなりませんね。問題点がいくつかあって、
1 投資目的でない人はもう買っているんじゃないか
2 クリスペがカードゲームとしては他ゲームに負けているので新規がプレイヤー入ってきづらく、裾野が広がらないので新規購入者が増えづらい
3 ゲーム外に送信できるとはいえ、サービス終了後に価値を残すのは難しい
4 そもそもカードの単価が高すぎて敷居が高い。(リミテッドレジェンドは10ETH=約30万円、レジェンドは1ETH、ゴールドは0.1ETH)
うまく売り抜ければ大儲け、そうでなければ爆死の可能性。
当然買った人たちはそのことを解っています。なので、がんばってクリスペを応援し、なんとか流行らせて人口を増やそうとします。それがゲーム会社の利益になるだけでなく、自分の大きな得となるわけです。
そして、ここが一番大事なところなのですが、
「最初から熱心なファンがいる」
これがクリスペの今持っている一番大きな強みです。
普通はいいゲームを作り、宣伝して人口を増やし、運営方法もユーザーが喜ぶように考える、と口で言うのはかんたんですが、これらは非常に難しいです。それがうまくいった時にだけ、熱心なユーザーが強烈に応援してくれます。
最近ではオートチェスはこれに成功した例
しかし、クリスペはそうではありません。
一部ユーザーが高度なステークホルダーなので、外部に勝手に宣伝しつづけてくれるのです。もちろん、ネガティブな事を喧伝することはしづらいでしょう。
一部の一般ユーザーはすぐ文句を言います。やれバランスが悪い、イラストが悪い、運営の態度が気に食わない。
長年カードゲームを遊んできたぼくはもうそのへんの感覚が麻痺しているのもありますが、一日中自社ゲームのことを考えている開発者と、一般プレイヤーのどちらがそのゲームに真面目に取り組んでいるんでしょうか?
……少し話が逸れました。
ファンの力は大きいです。ただ楽しんでいるのを発信してくれるだけでなく、改善点やまったく新しいアイデアを出してくれたり、ネガティブな意見を追い出してくれたりします。クリスペでは、フレーバーテキストがユーザーコミュニティ発祥であったことが話題になりました。(*5 https://alis.to/elgoog0123/articles/KmQMDg0n1EP5)
これからもユーザー発祥の素晴らしいアイディアが取り入れられていくでしょう。この辺は小さい会社なだけに小回りが効く面がいい方向に表れていますよね。TwitterやDiscordのチャンネルで、運営側の方々は大変熱心に、ユーザーフレンドリーに活動されています。
ブロックチェーンゲームだからというだけではなく、運営会社CryptoGames代表の小澤氏(https://twitter.com/kotaozawa)の熱意とキャラクターも、ユーザーの支持を集める一因なのでしょう。
自分のトークンかなにかを売りに?出しているらしい
まとめると、クリスペ成功の要因は
・マイクリの成功による投資効果に対する信用
・熱心なユーザーを自然に獲得
・運営に熱意があり、ユーザーフレンドリー
これらが大きいと考えています。
もしかしたら、以前の炎上による知名度UPもあるかもしれませんが、マイナス要因でもあるので今回は省きました。
今後はこの強みを伸ばし、利用していく方向が、唯一クリスペが生き残る道だと思います。負けてる所を伸ばして追いつくには、先行者が遠くて強すぎるからです。
ではこれを踏まえ、クリスペの現状、ゲーム的な要素と、ゲーム外の要素、両方について考えていることをお話していきたいと思います。
……が、結構な長文になってしまったので今回はここまで。
反響があれば続きを書きます。
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