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中学生のアナログゲーム制作体験〜みんなゲーム化プロジェクト2〜

みんなゲーム化プロジェクトは、働き方改革で繁忙期に残業がなくなって、年間で時間が余るようになったときに、周りの様々なものをゲーム的により楽しくすることを目的に、個々のアイデアで対話し、課題をPLAYFULに解決していくプロジェクトです。

なぜアナログゲーム制作を中学生に体験してもらうのか?

今回取り組んだ課題は「地元中学生の職場体験学習」です。昨年同窓会で恩師からお声掛けいただき、ご協力させていただくことになりました。とはいえ、印刷業は機械を使う製造業です。中学生に出来る作業はとても限られています。

そこで今回取り組んでもらうことにしたのが、アナログゲーム制作体験でした。今年から会社でも取り組んで分かってきたことですが、紙とペンを使えば一人でも形になることや、協力してアイデアを出すことで一人では考えつかなかった製品が生み出せる経験は、直接仕事にならなくても創造性を高め、みんなを対話的にする効果があります

また同時に「自分の名刺を作る課題」をこなしてもらうことでDTPのスキルも少し体験してもらって、作ったゲームを売れるレベルの完成度にする過程を地続きで見渡す経験をしてほしいと思い、このプログラムを提案しました。

ゲーム制作が役立った受け入れ準備

とはいえ会社としても初めての経験で、そもそもミーティングルーム自体が狭すぎて全員で集まることも出来ません。また女の子2人が来るということで、トイレや更衣室を今のままにしていいのか?という問題も出てきました。

これらの問題を解決するにあたって、とても有効だったのは会社の個々人のアナログゲーム制作でした。

現在みんなゲーム化プロジェクトはシーズン2となり、個々人の好きなものをゲームにするというプロジェクトを開始しています。これによって誰がどんなことが好きかが分かってきました。そして、今回家の間取りや庭のレイアウトを考えるのが好きという女性と服や小物のコーディネートを考えるのが好きという女性が中心となり、ミーティングルームをリニューアルすることになりました。

まずスペースを確保するために一番に取り掛かったのが不要な本と事務机の廃棄です。事務机は引き出しが多く、不要なものの温床です。将来事務ゼロプロジェクトの一環として全て廃棄したいと思っているくらい、スペース確保の第一優先ターゲットとし、さらにカタログや用紙見本の古いものをどんどん捨てていきます。

また女の子が来てくれるということで、ペンキが剥がれかけたトイレの壁や流しの補修も女性陣の発案で行われることになりました。

スペースが確保できたミーティングルームに置く机や椅子も、件の女性陣がセレクトして限られたスペースに配置。見事に12人でパンパンだったレイアウトが16人収容のミーティングルームになりました。

こちらが以前のミーティングルーム

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リニューアルしたミーティングルーム(この他にスタッキングできるファッリックのスツールが脇にあります)

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ゲーム制作職場体験スタート

こうしてなんとか受け入れ体制が整い、4日間の中学生との日々がスタートしました。

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まずは印刷ことを覚えてもらうのに、紙や機械のこと説明。そしていよいよ今回4日間で「個人個人の名刺制作と、2人で好きなことをゲームにする」という大人でも厳しい課題に取り組んでもらいます。

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まずは名刺制作。手書きでラフを描いてもらったら、先輩デザイナーにサンプルを作ってもらいます。

そしてそれを参考に自分が好きなデザインをイメージして、専用ソフトで制作していきます。

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出来た名刺がこちら。名前を見えなくするとわかりにくいですが、素敵なデザインに仕上がりました!

そして、ゲーム制作。こちらもテーマが決まって日々形になっていきます。

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そして最終発表日

4日間の体験最後は、みんなの前で成果発表です。

「自分のどんな好きを名刺とゲームにしましたか?」

これが最終テーマです。

名刺はそれぞれ好きな配色やモチーフを使って作ったとのこと。そしてゲームのテーマは…

「恋愛」

詳しく聞くと、三角関係とかが面白いと思ったが生々しいので、ディズニー的な雰囲気にしたそう。これには驚かされました。

そして出来たゲームが「姫の結婚」です!

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いろんな特殊カードを使いつつ、姫役のプレイヤーから王子候補がより多くのポイントを獲得するゲームで、王子にも婚約者などランクがあるのが面白い。

取説もしっかりしています。

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発表を終えて〜ゲーム制作の可能性〜

発表の最後にみんなでテストプレイをしました。作ったゲームを遊んでもらうのは、改善点の発見や自分の作品に対するダイレクトな反応が見られるので、とても刺激になったようです。

また会社のみんなも、日頃取り組んでいるゲーム制作を中学生が4日で完成させたことに感動し、早速来年の受け入れのための準備を提案したり、翌日発表する自分たちのゲームのテストプレイをはじめたりと、多くの刺激を受けました。

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日本のアナログゲームの業界は徐々に拡大してきていて、今日からはじまるゲームマーケットは2日で2万人以上の来場者があるそうです。

ただコンピュータのゲームのように規模の大きいメーカーはなかなか生まれてきていません。これはコミックのイベントと同じように、グループで制作して販売するという過程そのものを楽しむ「同人的な」文化が起因しているように感じています。

しかしこの同人文化は、製造過程が複雑化し、日頃どうやって作られているかわからないものに囲まれて生活している現代人にとって、紙とペンで初めから最後まで制作して販売できる楽しみを、みんなで共有する素晴らしい体験ツールなのではないでしょうか?

アナログゲーム制作ツールゲームを作る

今回中学生に一からゲーム制作を体験してもらって、このゲーム制作をもっといろんな人に体験してもらいたいと考えるようになりました。

まだカタチは見えてきませんが、きっといろんな人がこの創造性と協同性に満ちた体験をし、ツクル楽しみ・アソビながら対話する喜びに気づいていく姿が徐々に見えてきた気がします。

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「みんなゲーム化プロジェクト」は道半ばですが、さらに面白い取り組みを進めていきたいです!



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藤井 聡📖発想力で紙モノづくり
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