革新的な発想力を鍛える紙のアプリ「むちゃぶりノート」誕生までの道のり
革新的な創造性がほしい
デジタル化で効率化した先は、創造的で革新的なプロジェクトを生み出さないとジリ貧になる。
でもどうすれば良いかわからない。
2015年から本格的な会社のデジタル化に取り組みはじめて、すぐにぶち当たった課題が「革新的な創造性」でした。
このnoteは、紆余曲折を経て2021年に革新的創造ツール「むちゃぶりノート」が生まれるまでの記録です。
はじまりはイノベーション理論から
2015年〜2016年に一番研究したのは、USBメモリの開発で有名な濱口秀司さんのイノベーション理論です。
バイアスブレイク理論とも言われる革新的な発想法は大まかに説明すると、課題からあらゆる要素を取り出し、その要素から専門家がハマりやすいバイアス(固定的な視点)を抽出します。
そしてそのバイアスを、4象限のマトリクスに落し込んでから観念的に破壊(バイアスブレイク)することで、新たな発想を生み出すという理論です。
2017年にはご本人から2日間直接講義を受けたり、連載されていたハーバード・ビジネス・レビューを定期購読したり、当時は相当研究していました。
最終的に独自にツール化して社内に導入しようと目論んでいましたが、ハーバード・ビジネス・レビュー1年分の連載内容の社内導入はハードルが高すぎて断念します。(導入していたら暴動が起こっていたかも。。。)
そんなとき出会ったのが、手軽にみんなで遊べるアナログゲームでした。
アナログゲームで創造性やチームワークを高めたい!
2017年〜2019年はアナログゲームに創造性を生み出すツールとしての可能性を感じて、製造方法も含めて社内でもいろいろ研究しました。(アナログゲーム社員旅行やらホテルでボドゲ新年会やらいろいろ挑戦。)
オリジナルのボードゲーム制作にも挑戦し、小ロットなら自社製造できる体制まで整えました。
アナログゲームの制作は、社内の創造性を高めるためには最適で、自社に印刷技術もあるため、みんなが次々と新しいゲームを生み出していくことに新鮮な驚きを感じていました。
また自分の好きなアナログゲームを作るためにお互いに協力することが必要なため、自然にチームとしての関係性も高める効果もありました。
そしてアナログゲーム制作が2年目に差し掛かったとき、ふと疑問が生まれます。
「アナログゲームって作ることのほうが面白い?」
そもそもアナログゲームの製造に目新しい技術は必要なく、そのためゲームマーケットに代表される同人ゲームも制作できるのが魅力のひとつです。
これは歴史のあるアナログゲームの様々なシステム(枯れた技術)と、自分が表現したいアイデアが掛け合わさることで、まるでテレビゲーム勃興期のような創造性が生まれているかのようです。
ならばこのアナログゲーム制作の手法を"社内の仕組み"として導入すれば、創造的な組織になるのではないか?
そう考えてゲーム制作の書籍を漁るなか出会ったのが
「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」でした。
この解説文を読んだとき「これだ!」と感じました。
そこで2019年からこの本の手法を会社に導入したのが「みんなゲーム化プロジェクト」です。
このプロジェクトは、「仕事を100倍〜」の内容から10か条のルールを作り、それをみんなで守りながら安全安心な協創集団を目指そう!という取り組みです。
このプロジェクトを実践してみると、1990年代のゲーム制作現場が"集団でのイノベーションのキモ"を肌感覚で掴んでいたことを実感せざるを得ませんでした。
しかし10人ほどの社員全員に「仕事を100倍〜」を配り、毎朝心理的安全性に注意しながらアイデアミーティングをしても、この安全な協創のスタイルが浸透するのには2年近くかかりました。
ゲーム制作の手法をゲーム化したい!
ちょうどこの時期にブランディングに関する講座を半年受講していて、その中で出てきたのが「ワークショップをゲーム的にした文具」というアイデアでした。
それは、有効な手法を社内に導入するために本を渡しても、一通り目を通したらあとは読み返されないという経験から、ゲームように楽しめる工夫を凝らした、創造性を高めるためのドリル練習帳のようなものが出来ないか?というコンセプトです。
そして「こんなコンセプトをカタチにしたい!」と思い切って、「仕事を100倍〜」の著者でパズルゲーム「ぷよぷよ」やカードゲーム「はぁって言うゲーム」の作者である米光一成先生に共同制作を打診し、幸運にも本当に完成したのが革新的創造ツール「むちゃぶりノート」です。
紙のアプリという新ジャンル
「むちゃぶりノート」完成後に社内で使いながら、ペンとノートがあればすぐに取り組める気軽さと、チームでムチャブリから飛び出す発想を笑いながらシェアできる楽しさは、当初のコンセプト以上の手応えを感じています。
他にも以下のような特長があります。
チュートリアル(取説)がノートと交互に入っていることで、ファシリテーターなしでも実施出来る
紙のノートとシール(台紙含む)はリサイクル可能な素材で、電源も不要なため環境にもやさしい
通信環境も不要なので部外秘のプロジェクトのセキュリティ対策も容易
zoomなどを使ったリモートミーティングでも参加者満足度が高い
デジタル化を思い切り推進してきた会社がたどり着いた究極のアプリケーションが、紙でつくったノートというのは何とも皮肉ですが、存外これはスゴいイノベーションなのではないかと思っています。
今後は、この紙のアプリという新ジャンルの可能性も「むちゃぶりノート」で深掘りしていきたいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
公式サイトでは、「むちゃぶりノート」のいろいろな使い方についても随時アップしています。
よろしければご覧ください。