![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/52851687/rectangle_large_type_2_fc7937a86e545fb391ff86e19a044476.png?width=1200)
「みんなゲーム化プロジェクト」の基本ルール
「みんなゲーム化プロジェクト」は、1990年〜2000年代に独創的で面白い作品が次々制作されていた、ゲーム制作現場の手法を会社に取り入れて、はたらくみんなが幸せに価値を生み出していく取り組みです。
「みんなゲーム化プロジェクト」には、10個の基本ルールがあります。
これらは、2019年にスタートしたときから少しずつアップデートしてきました。今回は、今まであまり詳しく説明してこなかった、これらの基本ルールについて書いてみたいと思います。
ルール1「みんなゲームにしてしまおう!」
このルールが、プロジェクトの考え方そのものです。
「みんなゲーム化プロジェクト」は、1990年代に開発されたゲームの『ぷよぷよ』や、最近では『はあって言うゲーム』の作者として知られる、米光一成さんの『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』を読んだことからスタートしました。
当時は会社を創造的にするために、デザイン思考や、濱口秀司さんのバイアスブレイク理論などを取り入れようとしていたのですが、みんなで共有するには少し難しく感じていました。
そんなとき出会ったのが、この本です。
帯にはこう書いてあります。
プロジェクトは冒険だ!
『ぷよぷよ』を生んだゲームクリエイターが
仕事を楽しくデザインする技術を初公開!
全ての仕事に応用できる!!
『ぷよぷよ』は、高校時代毎日100回やっていたゲームです。
あんなに夢中になれたゲームはどうやって生まれたのだろう?
純粋な好奇心と、大学時代に研究していた「遊び」とも関連するテーマだったこともあり、一気に読み切りました。
本の中で仕事のプロジェクトは、ロールプレイングゲームの冒険に例えられます。
そして主人公である自分=勇者は、王様(上司)やパーティーの仲間たち(同僚)と、それぞれの価値を互いに認め合いつつ、共通のクリア(目標の達成)を目指すしていきます。
Googleの心理的安全性を先取りしていた90年代のゲーム制作現場
この本を読んですぐに思い浮かんだのは、2016年にGoogleが良いチームに大切だと発表した「心理的安全性」でした。
心理的安全性は、チーム内で日頃から受容を基本ルールにすることで、メンバーが負担を感じず発言できるようにし、イノベーションや問題の早期発見につなげるマネージメント手法です。
そして本に書かれているプロジェクト攻略法は、大部分がGoogleがチームマネジメントで採用した手法と重なっていました。
本が書かれたのは、2007年。「ぷよぷよ」が開発されたのは1991年。
当時のゲーム業界で働いていた方々が、面白いものを生み出すために試行錯誤した手法が、20年時代を先取りしていたことがわかります。
心理的安全性の先にある、みんなの熱意へ!
では、なぜ心理的安全性がチームの創造性を高めるのか?
その答えも本の中に書かれています。その鍵が「自分のスタイルを見つけること」と「アイデアジャンプ」です。
「自分のスタイルを見つけること」は、自分の意見を言うこととは少し違います。それは、ゲームに例えるなら
「どんな冒険なら、自分はハッピーなのか?」
を知ることです。
創造性は、自分が熱意を感じられるものに対して強く発揮されます。
そしてそれを知ったうえで、否定や意見で返り討ちにされないチームメンバーに、自分がハッピーになれるアイデアを投げるのです。
そうすると、アイデアミーティングはとても熱意のあるものになります。
これが、「ルール2 イエスアンドの精神で対話」「ルール3 否定とアドバイスより肯定と共感を」と「ルール7 自分が何に価値をおくかを知ろう!」につながります。
スタイルの隙間を飛び越える「アイデアジャンプ」!
では、お互いのスタイルから生まれたアイデアがチームで共有され、否定もアドバイスもされないなら、どうやってアイデアをプロジェクトに活かしていくのでしょうか?
このとき大切になるのが「アイデアジャンプ」です。
アイデアを持ち寄るミーティングでは、参加メンバーはみんな平等です。
ですのでリーダーは作りません。
また面白いアイデアは、まとめることでは生まれないので、ミーティングの最後にアイデアをまとめることはしません。
では、どうするのか?
各人がメンバーのアイデアを持ち帰って、自分だけで整理し、みんなのスタイルに刺激を受けて生まれた新たなアイデアを、また次のミーティングで出します。
このとき大切なのが、折衷案を出すのではなく、アイデアを成長させる視点です。
メンバーのアイデアで面白いと思う部分に、自分のスタイルでフォーカスをあてて、その部分がもっと面白くなるアイデアを出してみる。
そうやって、連続してアイデアミーティングをしていると、あるときアイデアの化学反応が起きて、みんなのスタイルの隙間を飛び越える「超面白いアイデア」が生まれる。これが「アイデアジャンプ」です。
このアイデアが出れば、プロジェクトも加速度的に進んでいきます。
これが「ルール4 リーダーはつくらない」「ルール5 アイデアミーティングではまとめない」「ルール6 折衷案はNG!アイデアを成長させる」が生まれた理由です。
オードリー・タンさんの本から学んだ「みんなのルール」
ここまでは、メンバーそれぞれのためのルールでした。残りの3つは、メンバーみんなのためのルールになります。
これらは以前記事に書いたように、オードリー・タンさんの本の影響も受けています。
本の中でオードリー・タンさんは、「自発性」「相互理解」「共好」という3つの素養が、世界中につながるデジタル化社会を生きるうえで、大切だと語っています。
そして、その中の「相互理解」が「ルール8 みんなの考え方を聴いて共通の大きな課題を見つけよう!」に、「共好」が「ルール9 課題は小さく分けてみんなで同時に解決しよう!」につながっています。(詳しくは下のリンク記事をご参照ください)
またこれらの考え方は、『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』とも共通しています。
つまり「ゲームのように仕事をする」ことが、みんなが個性を発揮して、創造的で大きなプロジェクトを楽しみながら進めていける秘訣なのです。
これが「ルール10 ゲームのように楽しくプロジェクトを進めていこう!」です。
「ゲームにする」という「むちゃぶり」をクリアする!
以上が、「みんなゲーム化プロジェクト」の基本ルール10個の説明でした。
では、なぜ「みんなゲーム化プロジェクト」という名前になったのか?
それは、いろいろと行き詰まりを感じる日々の仕事や、日常自体をゲームにするという、ある種の「むちゃぶりゲーム」によって、今の仕事をもっと創造的で面白くできるのではないかという願いが込められています。
そしてこれが、ルール1「みんなゲームにしてしまおう!」の精神であり原点で、いつかクリアしたいゲームです!
いいなと思ったら応援しよう!
![藤井 聡📖発想力で紙モノづくり](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120034642/profile_bafffb669e2b2adebb5bad815a737143.png?width=600&crop=1:1,smart)