二つの違和感
僕は兵庫県加古川市の街なかで月一回、学びの場を主催している。
MANABIYA Kakogawa
僕が加古川に生み出したイベント。
なぜ始めたのか。自分の振り返りも兼ねて少しづつ書いていこうと思う。
考えながら書き、書きながら考える。毎日、揺らぎながら書いてます。
お時間あれば、どうぞご笑覧ください。
#18 //////////
仕事終わり、大阪、姫路、加古川などいろいろなところの勉強会に参加する日々が続いていた。
・会は概ね2時間で前半の一時間がその日の情報提供者によるプレゼン。そして、後半は主催者や司会者の主導による質疑応答。前半の熱量そのままに意見の交換がされているケースもあるが、意見が出てこないことがままある。そんなとき、進行役の人が頑張って質問したり、他の人を指名したり。なかなか自発的な質問が出てくることはない。また、内容が専門的すぎると、その手の分野の人同士で盛り上がっている。なかなか、そこに入り込むのは難しかった。
セミナー、勉強会といった類いはある程度専門的な分野を取り扱うので、質疑応答が専門的になりやすいのは否めないが、そればっかりだと結局は内輪の集まりで終わってしまうのでは無いかと思った。土木の分野で育った僕はまちの人の声を聞かない閉鎖的な部分が嫌になってまちに出た。でも、まちに出る中で、違う分野でも多かれ少なかれムラ的な部分があることを知った。
その人たちは広く意見を聞きたいと思っていると思うが、ついついそうなってしまうのだろうと思う。また、参加者の多くは下手な質問をして恥をかくのが怖いのだろうと思う。現に僕はいつもそう思っていた。色んなシチュエーションでこれはどうなんだろう?これはどう考えているのだろう?みたいなことは浮かんでくる。でも、僕はめちゃくちゃ小心者だから言わなくなってしまう。人一倍、小心者の僕は何かに対し躊躇する気持ちが人一倍良く分かると思っている。
用は、質疑応答で広く意見をください、って言っているのに広く意見を聞く環境に無い状態をよく見かけるというコトだ。経験豊富なファシリテーターなら、その場を和やかにしながら意見を言いやすい環境に作ることが出来ると思うが、みんながみんなそんなに能力あるわけではない。
ディスカッション・質疑応答、ホスピタリティが高いように聞こえる言葉も環境が整わなければ、それは実現しないと思った。そして、主催者・発表者・参加者のエッジをどうぼやかしていくのかが大切だと思った。
もう一つの違和感。
それは加古川のまちなかで開催されていたイベント。
以前書いた「00」のオープニングをきっかけに、さまざまなイベントがまちなかで行われていた、大きなものから小さなものまで。「まちを楽しくしたい」という熱量に溢れた人たちが、自分の「したい」を表現していた。ゲリラ的にその場その場で沸き起こる熱を形にするように、複数のイベントがまちなかで開催されていた。まるで、それは熱湯が沸き返っている時のグツグツとした泡のようだった。でも、僕は少し気になっていた。
東京の研修で知った「まちづくり」では民間と行政との関係性が非常に重要だった。ここでは民間、しかも一般市民がボランティア的にイベントを開催している。これでは持続的なまちづくりにならないのではないのか?と思った。熱量あふれた人たち、それは「志」を持った人たちだ。でも、「算盤」がない。まちづくりには「志と算盤」が必要だ。そして、熱量は温め続けないといつかは冷める。まちの人たちの熱量を消費者として使い捨てするのではなく、持続的に活動してもらうように熱を与え続ける受け皿を作る必要があると思った。
生産者と消費者、講師と受講者、主催者と参加者、色々なイベントや活動で立場の異なる人がいる。それはそのイベントに関わる立場の違いであって熱量の違いではないし、発言権が異なってはいけないと思う。「つかう人の見になってまちを作る」と言うのは、生産者と消費者のエッジを無くすことだと思う。
僕は生産者と消費者という対比に違和感を覚える。生産者は与える人で消費者は与えられる人?消費者は絶えず受け手で主体的な関りは出来ないのだろうか?
「マス:mass」マスコミなどで使われる言葉。マスとは大衆と言う意味があると同時に塊という意味もある。僕たちは塊では無いし、心を持った市民である。
顔の見えない”マス(大衆)mass”ではなく、お互いの顔を見合わせて話し合える、”シビル(市民)civile”でありたいと思った。
セミナーは主催者や発表者だけのものでは無いし、まちづくりは「なにかしたい」というプレイヤーだけのものでは無い。立場の違う人たちが、よりよく交わり高めあう。そして、そんな仕組みがセミナーにもまちづくりにも必要だと思いながら、日々のイベントに相変わらず参加していた。顔を出していた。
(つづく)
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