午前十時の映画祭14「シャイン(1996年の映画)町山智浩氏 解説映像付き上映会」を見てきました
「安らぎ」って?
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午前十時の映画祭というのは、2024年4月5日(金)~2025年3月27日(木)の全51週間をかけて、過去の傑作27作品を、全国65か所の映画館で、午前中に上映するという催しのことです。
この映画祭で上映されていたのが「シャイン」という映画、この作品は1996年に公開されたオーストラリアの実在の人物デイビッド・ヘルフゴットをモデルとした伝記映画です。今回、私は新宿の映画館で見てきました。
映画祭なので、本編の上映前後に町山智浩氏が解説してくださるというおまけ付きです。
映画の内容は、
厳しい父のいる家庭で育った主人公がピアノの英才教育を受け、子供の頃からラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾くことに憧れ、父からの虐待、反対を押し切っての留学などを経て、憧れの曲を弾くことに成功するものの無理がたたり精神を病み、時がたち、病は回復するのか?
主人公に安らぎは訪れるのか?
というストーリー。
「シャイン」を映画館で見るというのもよかったのですが、何よりも町山智浩氏の解説がよかったです。どうしてそんなこと知ってるの?とか、そういう映画の見方があったのか!と、関心しきりでした。
そんな町山智浩氏の解説からほんの少しだけお伝えしますと。
きびしい父親は、かつて独裁者による戦争の被害に苦しみ、そこから逃れてきたはずなのに、自分以外全部敵という思考となり、家族を敵から守るために、なんと、家族の中での独裁者になってしまい、見ようによっては姿まで似てくるという矛盾があり、
さらに、父親自身が叶えられなかった夢を、息子へ押し付け、ピアノで縛り付け、力ずくで息子を罰してから抱きしめるという不気味な行動へと発展します。(この辺りは事実と違うと、家族からの抗議もあったとか)
そして、見どころのピアノの演奏場面はこの映画のモデルとなったデイビッド・ヘルフゴット自身が演奏し、俳優がそれに合わせて演じています。監督はミュージックビデオの制作経験が豊富で、かつ、1927年の映画「ジャズシンガー」や1956年の映画「愛情物語」などの名作を参考にした上で、この映画が制作されているので、このように素晴らしい演奏シーンとなっているそうです。次の動画は20秒ほど(全部見ると約3分)。
最後に、
映画のエンディングで流れるこの曲がジーンときます。動画は歌の部分を20秒ほど再生します(全部見ると約8分)。
曲はヴィヴァルディ(1678-1741)のモテット、
「まことの安らぎはこの世にはなく」。
読んでいただき、ありがとうございます。