コネヒトーク3rd 「ここでしか聞けない!ブランド化するサービスの裏側を大公開」のレポ
ママリで有名なコネヒト/Connehito Inc.さんの開催する、コネヒトーク3rdに運よく当たることができました!せっかくなので内容まとめます。
「サービスのブランドづくり」をテーマに、以下のテーマでのディスカッション。
ブランドづくりを考えはじめるタイミングはいつが良いのかどのようにブランドづくりを行っていくのかブランドづくりにおいて気をつけないといけないポイントは何か
登壇者は以下の方々です。
コネヒト株式会社 代表取締役社長 大湯俊介氏
TKY+N LAB & DESIGN inc. 代表 タカヤ・オオタ氏
株式会社Hotspring 代表取締役 有川鴻哉氏
「CI」のお話 (タカヤ・オオタさん)
CIとは何か?
コーポレートアイデンティティのことで、企業の顔つきを作る仕事だと思っている。3つの構成要素がある。
1.Mind Identity(どんな思想なのか)2.Behavior Identity(Appleストアの接客はAppleらしい接客をする)3.Visual Identity(会社としてどのような装いをするのか)
スタートアップで仕事をしている人は自分の原体験から課題感を持つことが多い。ストーリーは創作することができるけど、思想は模倣することが難しい。そのため、師匠をストーリーへと変換できるCI設計との相性が良い。
最近はUIの体系化が進んできており、アップルのガイドラインなどを読めば誰でもある程度までは作れるようになった。そして、似たような機能を持つアプリもたくさん出てきている(mediumやnoteなどは機能面ではほぼ同じ)なぜそのサービスを使うのか?という部分はすでにブランド化が進んでいると思う。
ブランドをどのように作っていくのか?(有川鴻哉さん)
私が考えるブランディング。
・サービスを主観ではなく、第三者の目線として捉えること・物事を考えるときの主語を必ず「ユーザー」「社会」に・そのサービスが生まれることによって人、社会がどうなるかを徹底的に考えて表現すること
特に、サービスを主観ではなく、第三者の目線として捉えることがとても大事。
私が今やっているズボラ旅はLineだけで完結するサービス。ブランドを伝えることができるのは、唯一LPくらい。UIが存在しないので、ブランドがとても大事になってくる。ブランディングは見た目ではなく、サービスをコミュニケーションをデザインすることだと思っている。
ブランディングドリブンなサービス作りをするためにしていること。
・全てはプレスリリースから・「ひとりよがりな」コミュニケーションをしていませんか?・応援される、愛されるためのひと手間を加える
サービスを作るときにはまず、このようなプレスリリースのようなものを作っています。
サービス:一言で表せるもの。概要:どんなことが変わるのかを書きます。背景:なぜこのサービスが必要なのか、今課題があるからこういうものを作りました、こういうことをやります。
「ひとりよがり」なコミュニケーションだなぁ、と思うものは、
「XX億円、資金調達しました!」「XX機能を追加しました!」
みんな、そんなに関心を持ってくれないので、それで何が社会が変わるのかを伝えた方が伝わるんじゃないかと思ってます。
ここまでのルールを守れば、大きく道を踏み外すことはないと思うのですが、最後のほんの一手間でユーザーに応援されるサービスになれると思ってます。
それは、ほんの少しの引っかかり(ちょっとクスッとするような言い回しや人間らしさ。サービスの中には絶対に人がいるので、その人らしさを感じられる仕掛けを用意しましょう。
また、正直であること。サービスや機能は失敗することもあります。恥ずかしがらずに失敗であったことを正直に伝えて、どうしてうまくいかなかったのかをユーザーに直接問いかけてみましょう。
ズボラ旅で、キャンペーンを始めたけど、盛り上がらない時がありました。応募のハードルが高いのでは...と社内的に考えました。
その後、Twitterでユーザーにアンケートをとってみました。
「今日発表したキャンペーン、もしかして応募ハードル高い...?」・そんなことないよ!・ハードル高い!・キャンペーンてなに?
ただのアンケートに見せかけて....
・どれくらいの比率で応募できるハードルなのか・キャンペーンは知ってるけど参加してない人にもアクションを取らせる(キャンペーンへの関心が上がる)・キャンペーンを知らない人には知ってもらうきっかけ
参加してない人に、何かしらのアクションをしてもらうことが大事です。
次のTweetで「ハードル高い!が多いのでキャンペーン内容を緩くしました!」という見せ方をすることで、自分の意見が反映されたんだ、といった気持ちにもさせることができます。この結果、Twitterのトレンド入りすることもできました。
何より、第三者の目線で行動しましょう。
ママリのリブランディング(大湯俊介氏)
すでに世の中に出たサービスのリブランディングについてお話します。
ママリは3人に一人のママが使うくらいの大きなサービスになったのに、明確なブランドの軸がない...
軸がないことで色々なズレが発生し始めました。コンテンツも、ペルソナもぶれていたため、「医療系の記事などは単価が高いけど、それってうちのブランド的に載せていいんだっけ?(こちらは例えです)」
判断の軸がないことが大きな問題になっていました。
このままではブランドとして成長できないと思い、リブランディングをすることを決定しました。
今一度、ママリの使命を考え始めました。2016年にプロジェクトスタート。社内アンケートやユーザーインタビューなどを行い、ユーザーも社員も巻き込んで作っていきました。
そうして、「ママの一歩を支える」というミッションが出来上がり、ブランドの輪郭をはっきりさせることができました。
一歩を支えるというミッションも
・自ら選ぶための知識を提供する
・一歩を踏み出す自信を育む
・行動したママを受け入れる社会を作る
リブランディングをしたおかげで、ママの一歩を支えるという起点で考えられるようになった。3つ目の指針は社員から出てきた声なのだが、その実施を行うために厚生労働省のプロジェクトに関わり始めたりしている。
リブランディングはサービスの使命を組織内に浸透させる絶好の機会です。
Q&A
Q1.ブランディングのkpi/振り返り時の指標を教えて欲しい。
A. 振り返りは難しい。基本ブランドを元に戻すとかできないし。
どうやって評価するかでいうと数字でやってるものはないけど、対内的に意識が改めて言語化できたかどうか、会社のシンボルとして理解して咀嚼して形に落とせか。内側の話が大きいと思う。外でいうと、世の中に出したときにどれくらい長く使えるんだっけ?外に出たときにクリエイティブとして使えるんだっけというところが指標になるかと。
A2. 数字でブランドは難しい。UIは数字が出るけど、ブランドで数字が大きく変わるはあまり良くない(変わるということは踏襲できてないはずなので)
社内での判断軸が早くなったかとか軸ができるかどうか、定性的にするのがいいかと思う。よくあると落とし穴としては、
1.内輪的にしらける。なんかダサいね、前の方が良かったってなる。
2.発信に使いづらい。
Q2.ミッションをどのように現場に落としているのか施策を知りたい。
A1. 雇用形態問わず、社内ワークショップを月一くらいでやってる。必ず。
毎回テーマを決めて、ママリの好きなところどこ?とかアイデアください!とか。アプリを全員10分でいいから触ろうとか、ユーザーと触れ合いをするインタビューを毎週やるとか。設定頻度を上げる、情報の角度を上げることが大事なのかと思ってる。
A2. プレスリリース化してみる、ビジョンに直結するって難しいので。
局所で繋がりを感じられるようにする。
Q3.人っぽさを出すコミュニケーション。いい事例あれば教えて欲しい
A. 今うまいなと思う会社は。ペイミーくん。企業PRだと、SNSって面白くない。砕けすぎると難しいし、カジュアルでありながら発信したいことをどのように発信するか。ズボラ旅アカウントとか。どこかかっこ悪いところもある、カッコつけないとか、素晴らしくあり過ぎないとか。シャープとかタニタは、人感を出して、人間らしさを出してみても許される土台を作るのが大事。どんなアイコンとかにするかとかで影響を受ける。機械的な対応に対しては厳しい。人っ気があるのが大事。
Q4.リブランディング外に出す目的って何でなんでしょう(内側の認識合わせでもいいのでは?)
A. 巻き込んだ方が得だなー。ユーザーと作ったんだよ感を出していくのが大事。ちょっと入ったことで自分がサービスをよくしたみたいな体験をさせるのが大事。仲間を増やす。私の声生かされてるっぽいと思わせると良い。社内だと閉じてしまう。自分たちがどのような目線でやってるのかを表明する必要あるんじゃない?
Q5.プロダクトが先なのかブランドが先なのか。
A1. サービスがあるからプロダクトから入るかなと思う。ただ、それを作る上で効率的に社会に伝えるということで、並行して走らせるのが相乗効果高いのでは。
A2. 設計先にするべき。そのあとブランドはついてくる。ナポレオンは自分の描かれる絵を一定方向しか許さなかったらしい。(ブランディングだよねこれも。
Q6.次に来る大きな流れって何だと思いますか?
A1. VRめちゃくちゃはやると思うんだけど、その結果スマホが横型で使われ始めるんじゃないかなー。5Gはでかい変化。
A2. 動画がめちゃくちゃ増えて、写真が動かないのが不思議ってなると思う。
A3. 今はUIという概念がデバイス依存が激しい。そろそろデバイスから解き放たれるのでは。サービスが概念化する、リアルに根付いてオンライン完結しなかったりするものが増えるのでは。メルカリのロゴ新しくなりましたが、旧ロゴはオフラインで見るとスマホから出てきたな、みたいな感覚があったけど、今回はリアルで見てもその感じが減っている。オンラインとオフラインが曖昧に混じると思います。
------
以上です!聴き入りながらメモ取ってたので、間違いがあったり、ここ違うよ!などあれば教えていただけますと幸いです。