頭痛キャラメル 第十五話【胃ガンの末期】
母方のおばあちゃんは、長い長い入院生活をしていた。
おばあちゃんには、知らされていなかった。
おばあちゃんが、胃ガンの末期だったことを。
周りの大人は知っていた。
そして、高校生の僕も知っていた。
おばあちゃんのガンは、もう治らない。
長い長い入院生活に、おばあちゃんは不安を感じていた。
おばあちゃんは、仕事帰りにお見舞いできるように、僕の実家近くの病院に再入院していた。
毎日仕事帰りに、僕の母親は、おばあちゃんのところに寄っていた。
母親が、病室によると、おばあちゃんは、着替えをしていたそうだ。
母親「どうしたの、着替えて。」
おばあちゃん「いや、今から退院するんよ」
母親「おばあちゃん、退院はできんよ」
おばあちゃん「うん」「いつ、退院できるん?」
母親と、おばあちゃんとのこのようなやり取りは、しばらく続いた。
僕は、おばあちゃんのことが、とても切なくなった。かわいそうになった。
おばあちゃんは、なんのために、病室にひとりでいるの?
治らないと断言された、末期の胃ガンなのに。
僕は、母親からおばあちゃんの話を聞くのが辛くなった。
「おばあちゃんは、家に来ればいいじゃん」
そして、おばあちゃんは、僕の家に来た。
そして、僕の部屋にベットをおいて、おばあちゃんの部屋にしてもらった。
僕は、別の部屋に移った。
おばあちゃんは、とっても明るい表情になった。
僕たち家族もみんな、笑顔。
みんな、おばあちゃんの笑顔が大好きだ。
第16話につづく