ポケットはカバン・相棒は、肥後の守
山で見つけた木の実はポケットに
川で採れた魚もポケットに
カバンなんて持ってなかった、ポケットがカバン。
山でみつけた食べられそうな物は口に入れてみる。
旨ければ当たり、もちろん失敗だってあった。
学校から家までの道のりは、決まって距離の数倍。
学校を出たら、ひょいと曲がって山へ入る、日が落ちるまで。
年がら年中それが、決まりだった。
小さな子供に野菜を収穫させる。
まだハサミはおろか、物を掴むことですら、おぼつかない年齢の子供。
"この草のここをこうやって切るのだ!"と、手を添えて手伝い、
パチンとひとつ。
それだけで子供は満面の笑みを浮かべて、飛び上がるように喜ぶ!
"自分でやった! 自分で出来た! " その喜びを全身から溢れさせるように。
木工小屋の時間は楽しい。とても大変だけれど、それでも楽しい。
ああかな?こうかな? 頭を使い工夫をこらし、望んだものになってゆく。
それには、えもいわれぬうれしさがある。
この気持ちの土壌は、子供の頃に野山を駆けずりまわって、
相棒の肥後の守、それひとつを使って、欲しいものをひとつひとつ
コツコツと手を動かして作っていた、それが由来なのかもしれないな。
小さな子供たちに、出来るだけ小さな内から
その喜びを知ってもらえたら、とそう思って、実演披露もしている。
キラキラと輝くようにまっすぐな目をして、製作実演を見る子供たち。
自分もそうだった、家を建てているところ、左官屋さんの作業風景
そういうものをじっと何時間もみつめている子供だった。
"作るって楽しいよ! "って、知って欲しいな。