ビーフの一強
"beef or chicken?"こう聞かれることに、そこそこの憧れを抱いている。そして、食い気味に"beef!"と答えるも決めている。それほどまでに、なぜかビーフへの敬意を持っている。
そもそも、カレーでも「チキンカレー」や「ポークカレー」のように、「ビーフ」が大前提で、「チキン」と「ポーク」に関しては"余所者"として扱われているように感じる。お肉三銃士、お肉御三家的な顔をして並んでいる「ビーフ」と「チキン」と「ポーク」。けど、その中で"俺はまぁ別格なんで"的な雰囲気を醸し出しているビーフにムカつく。
こういう奴とは大概ソリが合わないことが多い。というか、ソリを合わせにもかからない。ああいう、ふんぞり返っている態度も気に食わないが、それと同じかそれ以上に私の性格もなかなかの反り返り・ひねくれを見せていることが要因だと思われる。
それにしても、まぁビーフの美味しさからすれば、多少のふんぞり返りは認めざるを得ない。しかし、だ。チキンとポークに関しても少し腹立たしい。あいつらはビーフの性格の悪さを隠れ蓑にしているが、あいつらからもそこそこの意地汚さを感じる。
なぜなら、ジンギスカン、ジビエ、ボタン、魚肉、こうした「その他肉類ズ」とは一線を画したような佇まいを見せているからだ。ビーフの前ではヘコへコし、ビーフのいないところでビーフの悪口を言い散らかす。こんな風に、ビーフはふんぞり返り、チキンとポークは身を翻しまくっている。
人類の歴史やドラマでは、こうした2、3番手の悪者は革命で倒されるオチなのだ。そして、本当に実力のある「ビーフ」のような奴だけが生き残り、その他肉類ズを従え続ける。そうすると、傘下に入れてもらった「元・その他肉類ズ」は、また手のひらを返しで「現・その他肉類ズ」をディスり出す。こうして社会も肉も腐っていくのだろう。
だから、もう少し、人間も肉も謙虚で素直にいこう。何より私が言いたいのは、"お肉さん、予め切り込みを入れないでも、加熱と共に反り返るのをやめてくれ。"