陽だまりの縁側が好きだった
こんにちは。平山美代子です。
小さい頃にすんでいた昔の6DK家には、縁側があった。田舎の一軒家で、壁は砂壁、襖つづきで二間あり広間にもなる家で、親戚があつまると、テーブル2台3台出して宴会が始まる。
窓は磨りガラスで、台風がくるとミシミシ壊れそうになる。それを器用な父が戸袋を作って、ガラスが壊れるのを防いでくれたこともあった。
父のそんな姿を思い出すと、ああ、家族を守っていたんだなぁと、今さらだけど思う。愛だなぁって。
実家には来客も結構あったので、親戚のおばちゃんと母と、縁側でお茶を楽しみながらおしゃべりするのを見ていた時期がたくさんあった。
先日、美容院のスタッフさんと昔の家の話題になったとき、そういえば父が戸袋を…という話で盛り上がったので、今こうして書いている。
今、大人になり、嫁にきて離婚し、震災にあい、シングルマザーでまた新たな出発地点に立ったこの家には、もちろん縁側はない。その実家の家も新しく建て直したから、もちろんそこにもない。
だが、遠い記憶の中には、鮮明に縁側とあのシチュエーションを覚えてしまっている。
寒い冬の時期に、こうして陽だまりを見つけると、ぬくぬくとお茶を楽しみたくなるのは、そのせいなんだ。カラダが覚えている。私はゆったりした時間がとても好きだと知った。
ベージュのスツールにもたれかかり目を閉じると、なんにも考えなくてよかったあの頃の幸せが、じんわりとよみがえってくる。
読者さんたちに還元していきたいと思います。