人体は毛を正しい部位に配置できているか
脇毛は一体何を守っているのか。
医療脱毛でバチバチとレーザーを当ててもらいながらフと考えた。
今、毛を根絶やしにしてしまっているが大丈夫だろうか。
家に帰り、脇毛の活躍ぶりについて調べると、脇にあるリンパ節や大きな血管を守り、冷やし、摩擦を緩和する役割があった。
私はもう、1人では脇を冷やせない体になってしまった。
しかし、問題はそれだけではない。
大きな血管やリンパ節の集中する部位といえばもう一つある。鼠径だ。
人類よ、鼠径が剥き出しではないか。
人体は毛の配置を再考するフェーズに差し掛かったのだ。
例えば、耳。感覚器である目や鼻は毛によって守られており、目に至っては2種類の毛で安心安全の警備体制がしかれている。
しかし平衡感覚や聴覚ををつかさどる耳は剥き出しになっている。
たまに危機管理能力の高い紳士が耳毛を装備しているが、一般人には到底生やすことのできない代物だ。
また、ノーガードの急所として挙げられるのが首だ。
首には気道と食道、太い血管、神経、さらには脳の一部や脊髄まで通っている。しかし、それらを守っているのは心ばかりの頚椎とわずかな脂肪皮膚だけである。
骨で覆うことが第一希望ではあるがそれが叶わないのであれば、せめてフサフサの衝撃吸収剤を生やしておきたい。
また、腹も同様に腸という大切な臓器を秘めておきながら骨で覆われるわけでもなく、攻撃し放題プランとなっている。
首同様に毛ごときでは守れそうもないが、お腹が冷えると痛いので、せめて毛で温めたい。特に、肉の少ないガリガリ族の皆さんにはぜひフサフサの毛を生やしてあげたいところである。
そして、もう一つ私が日頃から危惧している場所がある。アキレス腱だ。
むき出しな上に、目立つので攻撃しやすい。オシャレオフィスにある踏板しかない階段を降りる場合には、踏板の隙間からアキレス腱を切られる可能性があるため注意が必要だ。
せめて毛をカーテンのように生やし、アキレス腱を隠してはどうか。そのカーテンはついでに靴づれまで防止してくれるだろう。
また、生えていると便利だと思うのは足の裏だ。汗を吸収し、インナーソール・靴下にもなる。危険な地面と接し、全ての体重を支えている足の裏があまりにも無防備である。
しかし感覚器であるため硬い骨で覆う、というわけにもいかないだろう。滑りやすくなる点が難点ではあるが、とりあえずは安全第一で毛を生やしておくとよいと思う。
このように毛を追加したい部分は沢山出てくる。しかし人間の毛のレパートリーは少ない。
ハリネズミやヤマアラシは硬い毛で体を隠しているし、サイのツノも毛だという。動物は様々な毛を使い分けて配置することによって防具としての機能を高めている。
しかし人間はどうか。たまにちぢれた毛が陰部に生えるくらいで、その他の毛はどれも同じようなものである。
指の根元には弱くて細い毛ではなく、ヤマアラシばりのケンケンな毛を生やしておけばメリケンサックいらずになるし、陰毛もただ縮れているのではなくポメラ二アンのようにふわふわであればもう少しかわいがってもらえただろう。
また、生えていることに疑問を覚える部位もある。
まずはひげだ。口は閉じていれば異物が侵入する事もないし、口を開けている時にはひげも無力である。つまりひげは特になにも守っていない。強いて言うならばちょい悪おやじのプライドを守っているくらいである。
次に、胸毛だ。皆に生えているわけでもないが、がっつり骨で守られている胸を毛ごときで覆っても特に恩恵はないだろう。よって不要ではないだろうか。
また、すね毛・腕毛に関しては特に急所でもない上にその中身は筋肉や骨であり、毛よりもよほど屈強なので毛が守る理由はない。
このように人体は毛を適切な部位に配置できておらず、今後は必要な部位に毛が配置されるよう進化していく必要がある。
以上が「人体は毛を正しい部位に配置できているか」という疑問への今日の私の見解である。
同テーマについて、「フジムラゼミ」用に作ったスライドも載せておく。
全体的にシンプルに仕上げた。しかし毛の分布について細かい説明が多くわかりにくかったかもしれない。
今回はこのテーマが好きすぎて話したいことが山ほどになったので、スライドを作った後にこの文章を作った次第である。