「ねじの豆知識」 ナットの基礎知識2 「六角ナット」の「規格」
ねじの豆知識 「ナット」の基礎知識』の第二回は「六角ナットの規格」についてです。
日本では、ISO規格に合致させたJIS本体規格品と、以前から使われてきた規格によるJIS規格付属書品の2種類の六角ナットが流通しています。
六角ナット
ナットとして、最もポピュラーな製品はおそらく「六角ナット (JIS B 1181:2014)」でしょう。皆さんも一度は目にしたことがあるかと思います。正六角柱の部品の真ん中の貫通穴にめねじがタップ加工されています。
同じような六角形の形状を持つ「六角袋ナット(JIS B 1183)」や「フランジ付き六角ナット(JIS B 1190)」も目にする機会が多いかもしれません。袋ナットはねじ締結後のボルト先端を袋が覆うことで、安全性を向上させたり、ボルトを錆から保護したりします。一方、フランジナットは広い着座面を持つため、ナットの陥没を防ぎ、緩みにくくなります。
六角ナットのJIS本体規格と付属書
「六角ナット」は、ISO規格を基にして「日本産業規格」JIS B 1181:2014で鋼製、ステンレス製及び非鉄金属製の六角ナットの特性が規定されています。さらに、日本国内の生産・使用の実態を反映した六角ナットの特性が「附属書」として定められています。
新しい規格(本体規格)において、ねじ山のせん断破壊に対する抵抗力を向上させるため、ナットの高さが増加されました。
そして、本体規格の強度区分は5、6、8、9、10、12と、数字のみで示されます。附属書の強度区分は4T、5T、6T、8T、10Tと、数字にTが付けられます。同じ数字の比較において、本体規格の強度がアップしています。
六角ボルトの本体規格と付属書について詳しくはこちらのブログをご覧ください。
六角ナットの種類 本体規格
六角ナットの種類(本体規格品)は、外観によってスタイル1、スタイル2、C、六角低ナット-両面取り、六角低ナット-面取り無しの分類されています。また、ねじ山の細かさの違いが並目と細目があります。従来品(付属書品)と異なり、基本的には両面取りが推奨されています。
六角ナット-スタイル1
高さ(m)が呼び径の約9割(0.9D)となっており、両面取り 特別な指定が無い限り座付きとはなりません。
六角ナット-スタイル2
高さ(m)が呼び径とほぼ同じ(1.0D)となっており、両面取りで、特別な指定が無い限り座付きとはなりません。
六角ナット-C
高さ(m)が呼び径とほぼ同じ(1.0D)となっており、両面取りで、座は設けません。
六角低ナット-両面取り
高さ(m)が呼び径の約5割(0.5D)となっており、両面取りです。
六角低ナット-面取り無し
高さ(m)が呼び径の5割(0.5D )となっており、面取りはありません。
部品等級
仕上げ程度
A:上 B:中 C:並
公差クラスは六角ナットCのみ7H、他は6H
ボルト・ナットの組み合わせ
本体規格では六角ボルト・ナットの組み合わせが次のように規格として決められています。
付属書品による六角ナットの種類
付属書品の六角ナットは4種類です。
1種
高さが呼び径の約8割で、片面が面取りされており(片面取り)、もう一面はフラットです。
2種
高さが呼び径の約8割で、両面とも面取り(両面取り)されています。
3種
高さが呼び径の約6割で、両面取りが施されています。
4種
1種の面取りの無い面に座が付いたものです。
さらに、二面幅の狭い小型六角ナットも、1種から4種までの規格が存在します。
これまで、付属書品のボルト・ナットは日本国内で長らく使用されてきました。ですがら、すでに普及している製品のメンテナンス需要等を含めて、現在(2023年)でも国内での付属書品ナットの流通量は少なくありません。
本体規格への移行について詳しくはこちらをご覧ください。