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【無料記事】観光地で出張専門施術サービスをやりながらホテル出張を断り続けている理由

これは一回、改めて書きたかった内容でございます。
私は富良野市で出張専門の鍼灸/整体の施術サービスを行なっているため、ホテル専門&ホテルメインのように誤解されることもありますが、宿泊施設への出張施術は原則お断り+googleマップにも電話番号を載せていません。

観光地における治療院経営は、一見すると多くの潜在顧客に恵まれた環境に思われがちですが、実際には、その特性ゆえの課題が数多く存在します。
今回は愚痴が8割を超える内容を冷静かつ客観的に、合理的な判断をした背景を愚痴っぽくならないようにまとめます(笑)

ホテル出張対応の課題

観光地におけるホテル出張対応には、いくつかの顕著な課題があります。
まず、時間の集中とキャパオーバーの問題です。
施術予約は観光客のスケジュールに合わせた対応を求められることが多く、夕食後の特定の時間帯に集中する傾向です。
事前に予約があればまだ動きやすいのですが、その大半は急な呼び出しの上、ワンオペのためどんなに問い合わせが増えても1件しか枠はありません。
このため、効率的な時間管理が難しい…どころか実質無理ゲーな話でした。

次に、電話問い合わせや急な変更による施術中断のリスクが挙げられます。
観光客は気分次第で予定が流動的になるため、頻繁に問い合わせが発生します。
電話もお構いなしに出るまで何度もかけてくるので、施術の集中が途切れ、全体の生産性が低下しました。
さらに、気分次第で流動的な予約は、ドタキャンや不在のリスクが伴います。
体調不良などが原因で突然キャンセル…ならまだしも「まだ食事中だから待ってて」「先に風呂いってくる」などで到着後に時間変更を要求されたことも少なくありません。
さらに「忘れてた」と言って泥酔していた人に、呼ばれて行ったにも関わらず怒鳴られて帰ったこともありました(フロントに言ってもキャンセル料は拒否された)
この場合、移動時間や準備コストが無駄になるだけでなく、他の顧客を受け入れる機会も失います。

加えて、セクハラや暴力行為のリスクも無視できません。
旅行中は高揚感やアルコール摂取が引き金となり、不適切な行動が起こりやすい状況があります。(詳細は控えますが実際に被害を受けています)
これに対応するためには、本来はホテル側と提携して厳重なリスク管理や追加のコストが必要です…が、管理費は徴収されてもそこまでフォローをしてくれるホテルはなく、全てこちらでの対応処理となります。

こうした理由から、ホテル出張対応を断ることは、短期的な収益よりも長期的な経営安定を優先する合理的な判断でした。
特に、富良野は夏と冬に観光客が集中し、その時期だけ予約枠を増やす…ということもできません。
観光客は短期間の滞在が基本であり、リピーターの育成が難しいことや、個人経営のワンオペではリソースが限られており、全ての顧客対応を行うには効率性が求められます。
この環境で事業を継続するには、リスクと利益のバランスを見極めた判断=ホテル出張お断り…という判断に至りました。

戦略的な思考法と基本的なマーケティングアプローチ

経営判断を支える理論として、兵法を参考にした戦略的な思考法と、基本的なマーケティングアプローチが活用できます。

戦略的な思考法では、リスクを最小限に抑え、柔軟に対応する戦略が役立ちます。
また、不要な要素を切り離し、本質的な価値に集中する姿勢が重要です。
時には無理をせず撤退も選択肢とする柔軟な判断は、富良野の観光需要特有の課題に対応するための有効な方法です。

一方、基本的なマーケティングアプローチは、ターゲットを明確化し、自分にとって最も価値のある顧客に集中することで、安定した成果を生む方法です。
観光客を主要ターゲットにするのではなく、高いリピート率が見込め、長期的な関係構築が可能な地元住民に注力することで、収益基盤を強化してきました。

棘のある言い方ですが、お問い合わせの電話口で「お客様がお待ちなんです!」と声高に叫ばれても、それはホテル側のお客様であって、こちらのお客様ではありません。(そっちの手配ミスなのに、ゴリ押しでこっちの先約を退かすの気?w)
もちろん、協力体制は取ることはできますが、こちらは御社の下請けではなく。
あくまでも”協力体制”がとれる宿泊事業所となら話はするスタンスです。

戦略的経営の必要性+Googleマップ非表示の合理性

ホテル出張対応を断ると同時に「Googleマップを非表示にする」という、現代の経営手法からすると非常識な選択をしました。
結局、ホテル出張を断っても、Google検索で「出張専門」という文字を見た観光客がホームページを見ないで電話をしてくるという事例が後を絶ちませんでした。

そこで、Googleマップ非表示にすることで、飛び込み需要を排除。
地元のお客様のリピートを予測していれば、計画的な予約運営が可能になります。
また、問い合わせ対応の削減により、施術に集中できる環境が整います。
これにより、お互いに高い信頼性を築ける顧客層を対象にした、効率的かつ持続可能なビジネスモデルが構築できました。
同時に、迷惑電話も9割以上減に繋がり、電話に対するストレスを極限まで減らせています。

なお、数字で判断をすると、ホテル出張をお断りするようになってからの売上に大きな変化はありませんでした。
わずかながら増えたかな?というぐらいですが(繰り返しますが売上は“微増”)ロスやリスクが激減し待機時間なども無くなり。
稼働率で考えると利益率は大幅にアップしました(笑)

10年を振り返ってみて

本音を言えば観光客を嫌っているわけではなく、開業当時はホテル出張も対応しており、それなりにやりがいもあり楽しい仕事ではありました。
元々は私自身も観光客であり、富良野に来ていただいた方に心身ともにリラックスができるサービスを提供したい気持ちはあります。

一方で、繁忙期と閑散期の格差や、リスクマネジメント、予約/問い合わせ対応を考えると、砕けた言い方になりますが「割に合わない」と言わざる得ません。
ホテルによってシステムが違うため、そこに合わせるのも限界があります。

で、このまま断り続けても良いのですが、せっかく旅行業も始めたし、先述の通り観光客を嫌っているわけではなく。
開業当時は「中長期滞在が可能な入浴施設を併設した鍼灸院の経営」なんて目標があったのも本音なので。

その辺の問題を解決した新事業形態を模索し続けて、やっと実現の目処が立ってきました(笑)
具体的に稼働開始したら、またお知らせいたしますm(_)m


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鍼灸師:フジモトミノル
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