「この人から学びたい」上司の存在
10月8日の日経新聞で、「〈YOUTH FINANCE〉(3)「背中見て学べ」もう古い 20代で外資金融辞め転職 給料より自己成長が決め手」というタイトルの記事が掲載されました。外資金融といえば人気就職先の花形のようなイメージがありますが、外資金融を辞めて日系金融に転職した人材の例を紹介した内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
同記事からは、大きく2つのことを考えました。ひとつは、指導・育成の仕組み・取り組みは、必要で重要だということです。
外資系の企業は一般的に、日系企業ほどには新卒社員の一括採用・受け入れを日常的に行っていないところが多いと言われます。同記事の木村(仮称)さんも、そのことはある程度予想したうえで入社したはずだと思います。
また、同社のジョブに必要となる思考や行動特性を持ち合わせていて、活躍する見込みの高い感じの人材ではないかと、同記事からは見受けられます。その木村さんでさえ、自己成長できている実感がもてず、展望を描けなかったということだと想像します。
初の新卒社員受け入れということで、受け入れ側がどのようにかかわるか、指導のあり方をどうすればいいかなど、不慣れな面もあったことと想像します。そのうえで、組織として受け入れると決めた以上は、相応の受け入れ計画を立てて実行するべきなのだと、改めて感じます。
2つ目は、「この人から学びたい」と思える人が組織の中にいるのは、大切だということです。
管理職になりたがる人が年々減っているということが、各所で言われています。私も普段仕事で関わる企業の経営者や管理職者から、どうやったら若手人材が管理職を目指すようになるのだろうかと質問を受けることがあります。
そのような質問を受けたときに、私が真っ先に答えることにしている内容はシンプルです。それは、「皆さんのような管理職が張り切ってパフォーマンスの高い仕事をしていて、若手にとって「そういう人になりたい」と思える人になることです」です。
管理職者の様子が魅力的に見えない、管理職者自身が「割に合わない」という愚痴をはいているなどだと、若手人材がそうなりたいと思うはずもありません。それどころか、自分が勤続したあかつきに待ち受けている未来がそれだとすると、今のうちにやめて別の道を探したほうがよい、とさえ思う動機として十分です。
「今の会社で定年・引退まで働き続けたいのは2割どまり」とありますが、逆の見方をすれば、「終身雇用を望んでいる人材が全体の2割もいる」とも言えます。こうした人材を惹きつけ続けるには、「この人から学びたい」と思える人の存在が欠かせません。
10月7日の関連記事「仕事は生きがい、25歳ファンドマネージャーが映す若者像 YOUTH FINANCE④」には、次の内容の紹介がありました。(一部抜粋)
これらはひとつの調査結果にすぎず、どこまで網羅的に言い当てているかはわかりません。そのうえで、若手人材の中に、待遇志向よりも目的志向のほうが色濃い人材も一定数存在していそうだ、ということは言えるのかもしれません。
・組織として受け入れる以上は、相応の受け入れ体制をつくる
・目指したいと思える人が活躍できている
・入社を希望する側と受け入れる側とで、求めるものと提供できる環境とのマッチングを確認する
組織活動の原理原則は、時代に関係なく普遍なことも多いのだと思います。
<まとめ>
「この人から学びたい」と思える人がいることは大切。