星空観光を考える
10月26日の日経新聞で、「星空観光、輝き増す 環境省の協議会加入最多 香川・さぬき市、廃校に望遠鏡博物館」というタイトルの記事が掲載されました。星空を観光に活用するというテーマで、事例を交えながら紹介している内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
「日本一の星空の村」をキャッチフレーズにした長野県阿智村のことは聞いたことがありましたが、「星空の街・あおぞらの街」全国協議会の存在は初めて知りました。同協議会への加入自治体数の半分が香川県で、同県が星空観測に適した環境だということも新たな気づきでした。
上記記事の内容は、2つの観点から興味を持ちました。ひとつは、既にある観光資源を有効活用している点です。
先日の投稿「訪日客消費を考える」で、各地の観光資源を活かして娯楽などのサービス費への支出を喚起することが課題ではないかと考えました。上記記事の例は、娯楽などのサービス費への支出の喚起につながる好例だと感じます。
しかも、星空というのは、他の地域には模倣がしにくい資源です。天体望遠鏡など多少の投資は必要ですが、大規模で新たな投資はあまり必要としないと思われます。加えて、同記事の事例のように廃校などの既存の遊休資産をうまく活用すれば、初期投資を抑えることができます。
星空を、美しい自然ということに加えて、観光資源という視点からとらえると、新たな価値が出てきます。廃校となった校舎も、視点を変えれば活用できる遊休資産かもしれません。視点を変えて新たな付加価値を生み出すという取り組みは、星空や観光に限らず、他のことにも転用できると思います。
もうひとつは、観光客分散化の可能性です。
訪日客の増加を受けて、一部の観光地が過密になることの弊害が指摘されています。この先受け入れインフラが整っていけばいずれ緩和されるのかもしれませんが、少なくとも現時点ではいろいろな問題を抱えたままです。その要因のひとつが、日本人の国内旅行者と外国人の訪日旅行者が、同じ観光目的地目当てで重なることです。
新たな観光資源が開拓されれば、国内旅行者の一部で優先したい目的地が変わり、目的地が分散するかもしれません。星空観光やそれに関連する新たな観光資源の開拓は、その一助となる可能性があります。
このことは、訪日観光客にも当てはまるかもしれません。
外国の星空事情について私はわかっておらず、私が国外旅行をしたことのある範囲内での経験になりますが、国やエリアによっては排気ガス等の問題で星空などとても望めない環境のところもあります。
そうした国やエリアでも、国内で田舎に行けば星空は見えると思いますので、日本に来ている間に星空を見に行きたいニーズがどれぐらいあるのかは不明です。それでも、ある程度の需要は掘り起こせるかもしれません。
いずれにしても、既存の資源を、付加価値を生み出す資産として明確に認識し活用していくことは、事業領域を問わず様々な企業活動において取り組んでいきたい視点だと思います。
<まとめ>
既存の資源を、付加価値を生み出す資産として明確に認識し活用する。