スキマバイト活用を考える
1月28日の日経新聞で、「介護にスキマバイト活用 送迎や清掃、アプリで人手確保 厚労省、利用を後押し」というタイトルの記事が掲載されました。アプリ活用による隙間時間バイトの募集で人材活用する事業所が広がっていますが、その中で介護事業所での活用について取り上げた内容です。
同記事を抜粋してみます。
介護職員数が対前年比で初めて減少したということを、同記事で初めて知ったのですが、個人的には驚きました。
厚労省の調べに基づくGD Freak!の記事「日本の要介護(要支援)認定者数の将来予測 (2024年~2050年)」によると、高齢者(65歳以上)のうち、要介護(要支援)者と認定される人数は、2024年の693.5万人から増えていき、2030年には924.7万人でピークを迎えるということです。今より3割以上増える見込みとなります。その後横ばいが続き、2050年で911.5万人と予想されているようです。
現時点で介護事業所の職員数が適正人数をちょうど満たしているというわけでもなく、営業活動や企画などを充実させるための本来ほしい人員数を下回った状態でなんとか現場をやりくりしている事業所も少なくないのではないかと想像します。現状の不足分を補って、かつ今後増加する需要に応えていこうとすると、感覚的ですが、倍増近くまで職員を増やす必要があるのではないかと考えます。
もちろん、業務のオペレーションやパフォーマンスは「人員数×1人当たりの活動量や付加価値」で決まります。人手を増やす以外のもうひとつの要素である生産性向上で補うのも、有力なアプローチです。
介護事業者の中にも、生産性向上を重要テーマと認識し、業務の省人化、省力化、付加価値の高い介護サービスを目指した改善に熱心に取り組んでいるところもあります。そのうえで、今すぐ目立った省人化が実現できるわけでもありません。
また、介護サービスは、人による対人コミュニケーションが重要な要素です。コンビニなどであれば場所によっては無人化できるかもしれませんが、介護事業所で省人化するにも限界があります。今後画期的に技術革新が進むかもしれませんが、少なくとも当面は人手をいかに集められるかが大きな課題テーマだと言えます。
同記事によると、アプリでのスキマバイト活用による人手確保による効果は、次のようにまとめられそうです。
・これまでに介護事業でのバイトには縁のなかった人材が、隙間バイトという形態で新たに戦力化できる。これにより、現場で必要な人工数を確保しやすくなる。
・隙間バイトを活用する人材は介護に必要な職能が限定的なため、、担える業務が限られてくる。また、就業時間も限られているため、多くの種類の業務を覚えてもらうより、なるべく種類を減らし単一の業務を覚えてこなすことに集中できると、より効率的である。このことは必然的に、既存人材が担当する役割の見直しにつながる。
・有資格者など介護の分野で高度なスキルや経験を有する専門人材は、その専門力を活かした業務、あるいは有資格者のみが担当することが必要な業務に、より集中できるようになる。
隙間バイトを導入するかどうかは別として、各人が担当している業務の棚卸しを行い、やり方を改善するという考え方は、介護事業所以外の領域でも応用できると思います。
5W2H(だれ、何、いつ、どこ、なぜ、どのように、いくら)のような切り口で、各人の1日や1週間の業務時間はどのような使われ方をしているのか、それは人工の観点から費用に換算するとどのように捉えられるのか。このような把握は、大切なことではありながら、なかなかできていないことだと思います(自戒も込めてですが)。
把握した結果を受けて、より省人化、省力化できるやり方に変えられることを変える。今の担当業務の一部を別の人材に移管し、より活躍できる他の業務を担当するほうがよいのではないか検討する。別の人材への移管先が隙間バイトではなくても、既存人材との間でのやり取りや業務委託などに変えれば、このことはどの職場でも当てはまります。
一見すると直接の効果が見えにくいことにあえて取り組むことで、新しい発想やイノベーションにつながることもあります。ですので、既に存在している業務プロセスの効率性を追求して無駄ゼロに感じられる状態を目指すのがよいとは限らないと思います。また、厳密には自分の担当領域に入っていないことにもお互いが首を突っ込むことで、組織が成り立つ面もあります。
そのうえで、明らかに仕組み自体を見直して業務分掌や各人の役割を再定義することが必要な環境もあるはずです。
就業者がよりよい形で活躍できる環境設定を考えるうえで、参考になる事例だと感じた次第です。
<まとめ>
各人が担当している業務の棚卸しを行い、やり方を改善する。