日本企業の投資活動を考える
1月10日の日経新聞で、「企業、今こそ攻めの好機」というタイトルの記事が掲載されました。日本への投資に対する魅力が高まっている中で、企業がその期待に応えるべきとしている内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
同記事からは2つのことを考えました。ひとつは、投資対象としての日本企業の見直しと価値の適正な評価の大切さです。
先日の投稿「現預金から投資へのシフト」では、日本の金融資産において現預金から投資資産へのシフトが起こっているということについて考えました。上記の記事は、その動きとなる環境の一端を説明している内容だと思います。
よく話題になる「PBR1倍割れ」(PBR=株価純資産倍率=株式の時価が1株あたりの純資産の何倍にあたるか)の状態は、株式価値よりも解散価値の方が高いという理論上の状態です。今後事業継続して得られる価値よりも、企業が解散して資産を株主に分配したほうが高い金額となると評価されてしまっていることになります。
企業活動を行うということは、ヒトモノカネの資産を使って付加価値を生み、それを必要としている買い手に提供し、結果として利益を出すことが基本的な構造です。そのことを前提にすると、PBRは最低でも1倍以上となることが基本だと言えます。実際に、他国ではPBR1倍以上が一般的な状態です。
89年バブル期のPBRは5倍以上あり、振り返ってみれば高すぎる水準だったと言われます。「PBR1倍=株価を帳簿上の価値に戻すだけで日経平均は3万6154円と試算できる」という説明からしても、今の株価がバブルとは異なり、史上最高値更新がリアリティのある事象だということが想定されます。そうなるのが時間的にいつなのかはわかりませんが。
時々「株価全体が30年以上前の水準すら超えていないところに、日本企業の低迷を感じる」と聞くこともありますが、当時の株価と今の株価の背景がまるで異なり、数値の単純比較は適切でないはずです。
2つ目は、企業活動での適切な投資の必要性です。
80~90年代の日本企業とひとくくりに言っても、個別には様々です。中には優れた戦略や取り組みで成果を上げ続けた企業もあるはずです。そのことはいったん置いておいて、全体的な傾向について、同記事に沿って無理もある言い方をすると、「当時の日本企業はお金の使い方を知らなかった」という示唆なのだと思います。
当時は今ほど聞き慣れなかったM&Aという言葉も、今では一般化しました。自社が投資すべき有形・無形資産を定義して投資する。
自社内で調達できない資産は買収などの方法で調達する。
同記事の示唆も手がかりに、自社なりの戦略的な投資を行っていく必要があるのだと思います。
<まとめ>
投資対象となるものを定義して、適切に投資する。
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