社員イベントの参加対象拡大を考える
10月7日の日経新聞で、「職場参観、友人・恋人も JTBやリクルート、対象拡大 働きがい・信頼醸成」というタイトルの記事が掲載されました。家族も参加できる社員イベントを、家族以外の人も参加できるようにするという内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
ファミリーデーに限らず、社員旅行や忘年会などのイベントに、家族の参加を歓迎している企業も多いと思います。そうしたイベントで、家族の枠以外の人も招待できるようにするというわけです。
このことによってエンゲージメント向上にどれだけつながるのかはわかりませんが、直接的な効果として2つ考えてみます。ひとつは、社員の(満足感もさることながら)納得感の向上です。
「配偶者や子ども同伴も可」のような決まりだと、その権利を使える人と使えない人が出てきます。単身世帯の割合が38%ということは、全体の62%向けにしかならない決まりだと言えます。また、旧来の家制度に基づくような関係性とは異なるパートナーのような人の場合、対象になるのかならないのか悩ましいかもしれません。
「社員にとって大切な人」という定義であればシンプルで迷う必要もなく、あらゆる社員に対して公平になります。呼びたい人がいなければ、呼ばなければよいだけです。各人各様の状況を抱えているはずですので、いろいろな状況に対応している決まりのほうが社員としては納得感が高まるはずです。
もうひとつは、招待された人からの、本人や会社に対する理解の深まりです。
仕事関係の急用で、大切な人との予定の変更を余儀なくされたり、頼まれごとをされたりというのは、よくあることだと思います。例えば、保育園のお迎え当番を変わってもらえないか、明日会う予定だったのを別の日にしてもらえないか、などです。私たちは、一方的に予定の変更などを命令されたり頼まれたりすれば不満の要因になりますが、理由がわかっていれば納得もしやすくなります。
相手がどういう環境でどんな人とどういう目的で仕事をし、どういう状況で突発的な事情が発生しやすいかなどを、こうしたイベントなどを通して普段から理解しておけば、そうした場面でも心理的に協力がしやすくなるはずです。
また、会社の価値観や、会社が社業にかかわってくれる人材をどのように見ているかということについても、理解を深める機会になるはずです。人材獲得などは直接的な目的にはならないものだと思いますが、社会に向けて自社の考え方を発信することによる間接的な効果としてプラスの影響はありそうです。
ファミリーデーという、事業活動・組織活動全体の中では小さなイベントではありますが、小さなことだからこそ少しの工夫ややり方を変えるだけですぐに実行可能なことだとも言えます。身のまわりで参考にできる視点だと思います。
<まとめ>
小さなイベントの中にも、見直してよいルールがあるかもしれない。