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長期投資の視点で「貯蓄から投資」に向き合う(2)
前回の投稿では、会社員などの一般投資家が、投資に対して向き合うことについてテーマにしました。短期売買ではなく長期投資の視点で行うべきことが基本原則のひとつではないかということを考えました。
長期投資は、短期売買の投機と違って、経済の成長を前提とした投資活動と言えます。経済成長に伴って企業の利益が増えていき、配当金が支払われたり株価が上昇したりすることから、個人も利益を受け取るためです。
逆の視点も成り立ちます。有望な企業に資金が向かうことで、企業の成長を後押しして経済が成長するとも言えます。会社員などの一般投資家が投資に臨む姿勢として、王道だと言えるのではないでしょうか。
7月29日の日経新聞記事「「新しい資本主義」の視点 下」を参照すると、株価と1年先の営業利益の相関係数は高く、0.59だと説明されています。要は、株価が少し先の企業利益を予想して変動する指標だと捉えることができるというわけです。よって、株価が伸びていきそうな企業に投資する、というのは、理にかなっていると考えられます。
基本原則のもうひとつは、自分なりに投資すべき企業や商品を選ぶということです。
日経平均株価などに連動する上場投資信託(ETF)=インデックスファンドは、一般投資家にとってはありがたい存在です。企業群全体に投資をしますので、大きな当たりはずれがなく、国全体の経済成長に合わせてリターンが得られるからです。
しかし、別の角度から考えると、将来性あふれるチャレンジングな取り組みをしている企業に投資しながら、経営に疑問符のつく企業にも等分に投資していることになります。これでは、投資活動の本質そのものだとは言いきれないでしょう。
ですので、例えば投資信託の中でも、何らかの選定基準で選んだ企業群に投資しているような商品で、自分が納得できるものを選ぶというほうが、全体的な指数連動型の商品よりもより投資活動の本質に近いと思います。あるいは、自分なりの選定基準をもったうえで、(投資信託ではなく)それに見合う個別銘柄を選んで長期投資することも、本質的だと思います。
はじめから短期目線では売らないつもりで長期投資する姿勢で、短期の売買益より含み益や配当収入を重視し長期保有するのが、一般投資家にとっては王道ではないでしょうか。
そして、前回投稿から今回にかけて考えてきた視点は、企業活動にも当てはまるのではないかと考えます。すなわち、次の通りです。
・短期の時間軸ではなく長期の時間軸で投資判断をする。
・損失回避バイアスの制御:事業の撤退基準を決めておき、傷口を抑える。
・ハーディング現象から離れる:「これがブームだから」「他社がうまくいっていると聞くから」と、安易に周囲に追随したり同調したりしない。
・事業活動全体に満遍なく投資する。そのうえで、将来性、収益性が見込める領域やプロジェクトには重点的に個別投資する。
経済・社会の成長に資する投資、かつ自らの安全性と収益性も同時に満たしていく投資、という観点で考えた場合、個人も企業組織も行きつくところは同じなのではないか。そのように考えた次第です。
<まとめ>
投資活動は長期の時間軸を基本とし、全体と個別のバランスをとる。