ハワイ渡航での雑感
先週後半から日曜日までハワイに行ってきました。所属先の会社から、私を含む長期勤続の社員数人と褒賞旅行に招待され、行ってきたものです。とてもよい体験、気分転換になりました。
個人的にハワイには数回目の渡航になりますが、何度行っても飽きないし楽しいと言われるとおり、今回も楽しさを満喫できる旅となりました。海の美しさなど自然をはじめとした観光資源が相変わらず豊かで、皆が一体となって地域をつくりあげているかのような雰囲気や人々のフレンドリーさも、変わらずでした。
そのうえで、今回個人的に印象に残ったことをここでは4つほど挙げてみます。まず、日本の存在感の縮小です。
以前に渡航したときには、大型連休などの繁忙期以外でも相当数の日本人を見かけましたが、今回は少なかった印象です。日本の航空会社のハワイ行き減便、日本資本の現地ホテルの売却なども少し前から聞いているところです。日本からの旅行者数も、23年12月が6万7405人で、19年同月比で50.7%減となっています(ハワイ州産業経済開発観光局とハワイ・ツーリズム・オーソリティ調べより)。コロナ前とコロナ後で約半減ということになります。
実際に現地のツアーガイドに聞いてみたところ、「5年前と比べて今は、半分まではいかないまでも、肌感としては3~4割減」という回答でした。おおむね統計通りという感じです。
渡航者数の減少の大きな要因は、物価差の拡大だと想定されます。
例えば、自販機のペットボトルはだいたい3ドル程度、アイスクリームは5ドル、観光客向けTシャツは30ドル、ちょっとした昼食は20ドル程度など、でした。1米ドル=150円だとして、それぞれ、450円、750円、4500円、3000円です。それ以外のものも含め、およそ日本国内で同じものを買うときの2~3倍のイメージでしょうか。
しかしながら、それほどインフレしているわけでもありません。以前もペットボトル3ドルに近い値段で売られていましたし、米国経済活動の巡航速度として平均2~3%のインフレの範囲内の値段という印象です。
日本人にとって負担が大きいのは、為替変動です。上記はそれぞれ、1米ドル100円なら300円、500円、3000円、2000円です。これでも日本人にとっては安くありませんが、負荷がやはり違ってきます。ディナークルーズで居合わせた人たち(100人ほど?)の中に、新婚旅行中の日本人が数組いましたが、ハワイに限らず米国が気軽に観光に行くエリアというよりここぞというときに計画して行くエリアという位置づけに変わっていそうです。
そして何より、ものを買うのに2~3倍の負荷の違いがあるということは、一般的な所得もそれぐらいの金額差があるということです。
次に、ヒルトン・ハワイアン・ビレッジでのストライキです。
ヒルトン界隈でのシュプレヒコールが目立ちました。聞いた話では、50日間のストを目指して取り組み中なのだそうです。米国企業ではストライキによる交渉も日本より一般的だと聞きますが、そのことを肌で感じた場面でした。私たちの感覚だとかなり計画的に、かつ強硬な主張をしているような印象ですが、経営側がこのような事象への対応に苦慮する一方で、解雇も一般的ですので、労使ともに緊張感が高いであろうことが改めて想像されます。
前回の投稿で労働組合についてテーマにしましたが、労使間の生産的な関係づくりと発展は、とても有意義なことではないかと改めて感じた次第です。それにしても、金曜日の夜には何もないかのように、ヒルトン界隈で恒例の花火が上がっていました。
3つ目は、行列です。
入国時の審査では、なんと2時間近くの待ち。同じタイミングで極端に多くの入国者がいたわけでもなく、日本の空港ならおそらく10分程度で終わるであろう数です。しかも、ブースが8つ程度ありながら審査官が2~3名程度で、しかも途中でいなくなったり交代したりして、数十人の列に対し審査官が1人だけで対応する時間帯もありました。
レンタカーの受付&配車も2時間待ち。8時~の利用で予約して8時に到着しても、その前に何十人の列。そして受付になぜか時間がかかっていて車を運転できたのは10時になってからでした。しかも、利用直前のタイミングで車の洗車をはじめ、借りた車はカーナビ搭載なし。日本ではクレームになりそうなサービスレベルでしたが、現地では当たり前なのか、他の利用者も似たような状況ながらあまり問題視されていないようでした。
4つ目は、ウーバー/タクシーです。
遅ればせながらの感もありますが、今回はじめてウーバーを体験しました(日本での配車タクシーサービスは何度も利用していますが)。運転手は中国人(中国語のアプリを見ていたので、おそらく)、予約した時間前には指定場所に到着。予約時に目的地と値段も表示され決済も自動で行われるため、一言も発することなく乗車・下車。終了後にはドライバーが乗客に対し、乗客もドライバーに対してアプリで評価。この評価があるため、お互いに不躾な対応はしないという仕組みです(乗客の側も、低評価がつくと、予約したくてもドライバーに避けられるようになってしまう)。
タクシーもウーバー同様に利用できますが、ウーバーのほうがスムーズで便利な印象です。印象的だったのは、タクシーで領収書の紙印刷がないこと。「メールアドレスを入力せよ」とドライバーに指示され、入力すると下車後にすぐ電子領収書がメールで届きます。情報の電子化が進んでいるのかなと感じます。
以上、ランダムに取り上げてみましたが、行列の例に見る、日本に優位性があるであろうオペレーションの工夫や、逆にウーバーや領収書の例に見る米国のインフラの先進性。何より、日本の今のインフレや賃上げでようやく世界の上昇レベルと釣り合う水準だということ。現地現物を見るからこそわかること、実感できることがやはりあると思った次第です。
日常と異なる風景を見ると、発想も変わり、広がります。
コロナ禍ということもあり、国外渡航自体ここ数年あまりしませんでした。その中でも一昨年からアジア圏には2回渡航しましたが、アジア圏以外の渡航は前回が何年前だったか思い出せないぐらい前のことです。やはり、時にはスケジュールを工夫し、国内に比べて費用もかかりますが予算も工面し、普段行っていないところに行くことも大切だと思った次第です。
<まとめ>
日常と異なる風景を見て、発想を変える。