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「四住期」を考える

先日、私が参加している「知心会」の10月の定例講に出席しました。「知心会」では、ありのままの己の心を観ながら仲間と共に研鑽する機会の一環として定例講があります。

定例講では「四住期」という考え方について取り上げられました。四住期(しじゅうき)とは、人生を4つに区切ってとらえる古代インドの人生論です。五木寛之氏が『林住期』という本を出版したことでも知られています。

ウィキペディアでは、「四住期(アーシュラマ)とはヒンドゥー教独特の概念で、最終目標の解脱に向かって人生を4つの住期に分け、それぞれの段階ごとに異なる目標と義務を設定したもの」と説明されています。

定例講では、人生を100年に見立てた場合の「四住期」について説明がありました。

学生期(がくしょうき):生きるための術を学ぶ時期
家住期(かじゅうき):社会人としての力を備え、お役目を担う時期
林住期(りんじゅうき):お役目を終えて、本当にやりたいことへ進む時期
遊行期(ゆぎょうき):人生の終焉に向けて準備をする時期

そして、各期について、相当する年齢と、どのような「命」が主なテーマになるのかが次の通りです。漢字というのは、本当によくできていると思います。

学生期: ~25歳頃 「宿命」
家住期:25歳~50歳頃 「運命」
林住期:50歳~75歳頃 「使命」
遊行期:75歳頃~ 「寿命」

各期に沿った命の紡ぎ方があるというわけです。

自分の宿命について、問いかけても論理的な解答は得られません。例えば、自分はなぜ日本で生まれたのか。なぜ自分の両親のもとで生まれたのか。こうした問いに対しては、「そのようになっていたから」としか言いようがありません。宿命は、受け入れる以外ないわけです。しかしながら、そのような宿命になっていることに、必ず何かの意味があるというわけです。

この時期は、親の庇護のもと、自らを育んでいくことが主なテーマの時期です。自分のために命がある時期と言えるかもしれません。自分の宿命に感謝しながら、勉学や武芸に励み、生きるための術を増やし深める。

運命は、命を運ぶ。どこで何の仕事をするか、付き合う仲間をどうするか、誰と結婚するかなど、自分で決めて自分の命を運びます。学生期で身に付けた知識や技術を使い、さらに経験を積んで学びを重ねながら、充実した日々を目指します。

林住期は、宿命、運命で育んできた命を使う時期です。人生のクライマックスです。何にどう使っていくために自分の命があるのか、使命を見出して社会に還元します。

遊行期は、自分の人生を振り返って、「自分もよく頑張ったな」と終活を考え始める時期です。喜ばしいことで、寿という字をあてるわけです。寿命。

年齢は目安であって、絶対的な基準はないと思います。人によっては、40歳ぐらいで使命が見つかっているかもしれません。

孔子の思想をまとめた論語に「五十にして天命を知る」などの言葉がありますが、四住期とほぼ同じ内容だと感じます。人生の要諦として時代を超えて残っている思想・考え方は、国を超えて共通しているのではないかと思います。

四住期の考え方と当日聞いたお話から、印象に残ったことを3点挙げてみます。ひとつは、特に家住期までは、目の前にあることに集中することの大切さです。

学校で学ぶ学科に対して、多くの子どもは「これを学んで何の意味があるのか」と疑問に思うはずです。私自身もそうでした。もちろん、今の学校教育の内容ややり方に改善の余地があることも確かですが、他方で、まったく意味がないものであればその学科自体が存在していないはずです。

リベラルアーツ(「人文科学」「社会科学」「自然科学」などの一般教養)が、グローバル社会に対応できる人材の育成に必要不可欠と言われ始めていますが、学校教育で行われている程度の知識の土台なくしてリベラルアーツも何もない、という一面もあるのではないでしょうか。

家住期では一点突破を勧める」というお話がありました。その一点には、いろいろなあり様があってよいと思います。例えば、この研究領域で研究を極める、営業という職種で成果を上げることにこだわる、今所属している会社での仕事に集中してみる、家業を継ぐことを前提に修行に励むなどです。何かに取り組み始めた後に「自分の居場所はこれではないかもしれない」と集中力を切らしてすぐに次を転々と探し続けるだけになってしまうと、命を運ぶことにつながらないかもしれません。

若くして自分の人生の目的である使命が明確に見つかる人もいますが、多くの人はそうでもないでしょう。何かのきっかけ、あるいは本能的に選んだ仕事を練り上げていくうちに、命が運ばれていき、自分の使命が見えてくるという一面もあると考えます。

逆に言うと、家住期を怠けてしまうとよい林住期にならないということです。私たちは、家住期を真剣に生きた人に何かを頼みたいと思います。林住期に本当にやりたいことに取り組もうとしても、家住期を怠けて何も蓄積がなければ、どこからもお呼びがかからないということになりかねません。

続きは、次回以降取り上げてみます。

<まとめ>
人生には大きく4つの時期があり、それぞれに命のテーマがある。

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