ダイナミックプライシングの今後(2)
1月29日の日経新聞で、「柔軟な運賃で需要の分散を」というタイトルの記事が掲載されました。
ダイナミックプライシング(需給状況に応じて価格を変動させることによって需要の調整を図る手法)は、航空運賃やホテルの宿泊費では、以前から当然のように導入されています。一方で、同じ移動という手段でありながら、鉄道やバスなどは、自由な価格設定が認められていませんでした。
ダイナミックプライシングについて、以前も考えたことがありますが、今回改めてテーマにしてみます。
同記事の一部を抜粋してみます。
設定価格はシミュレーションなどを行った結果でしょうし、どれぐらいの差ならオフピーク定期券を買おうと思うかも個人差があると思いますので、価格の妥当性は分かりませんが、興味深い取り組みだと思います。
ダイナミックプライシングが、鉄道やバスなどに導入されてこなかったのは、「より生活に密着した移動手段は、だれでも公平に利用できるべきだ」という考え方が強いからだと想像します。
一方で、都市圏の鉄道やバスの混雑時は、非常に利用しづらい環境です。ダイヤが乱れたり、事故が起こりやすくなったりする要因にもなります。結果として利用者全体に不利益が及びます。集中的な利用が分散されることで、観光地の人手不足による供給制約が平準化されたり、それによって観光収入が年間通じて増えたりなど、他の面での社会貢献にもつながります。
オフピークの利用を積極的に引き受けて協力し、利用者全体の利益に資する行動をとってくれる人に形をもって報いるというのは、あっていい考えだと言えるのではないでしょうか。これも、公平の観点だと言えます。
このことは、会社組織などでの評価の考え方にも通じます。
ちょっとした行動での働きや貢献など、なんでもかんでも評価やお金に換算する(そうしなければ行動しない)のは、いかがなものかと思います。
一方で、貢献に見合った本質的な評価・処遇を実現することや、社員の行動を組織の新しい方針や望ましい方向へ大きく転換を促す場面では、すべてを各人の自発的な善意に期待するのも無理があります。やはり、「この領域で積極的にこんな貢献をしてくれたら、こういうリターンがある」という、必要不可欠なレベルでの評価・処遇の決め事は、必要と言えるでしょう。
そして、どの程度決め事として設定するかは、バランスの問題だと思います。
今までなかったものが存在するようになる、0から1になることは大きな変化だと思います。これをきっかけに、エネルギーなども含め、公共インフラでのダイナミックプライシングの動きは、今後これまで以上にますます広まっていくのではないかと思います。
<まとめ>
ダイナミックプライシングの動きは、公共部門含めて今後ますます広まると予想される。