6月15日の日経新聞で、「年75万人の外国人 いまの人口規模を維持するなら」というタイトルの記事が掲載されました。日本が今の1億2000万人程度の人口を維持するなら、毎年75万人程度の人口流入が必要ということを説明しているものです。
同記事の一部を抜粋してみます。
移民受け入れ大国として実績があるのはカナダです。「移民・難民・市民権大臣」という専任のポストがあることにも表れています。6月5日の日経新聞記事「カナダ移民相「大量の移民受け入れ継続」 労働力補う」では、カナダのショーン・フレーザー移民・難民・市民権大臣への取材記事が紹介されています。(一部抜粋)
カナダの人口4000万人で年間50万人移民受け入れということは、人口1億2000万人の日本で当てはめると150万人相当ということになります。イメージとしては、カナダの半分ぐらいの取り組みが必要ということですが、カナダと受け入れ基盤が雲泥の差の日本では相当高いハードルとなります。
カナダは、移民からの選ばれやすさとして公用語が英語であることが挙げられますが、それ以外にも相応の賃金が期待できることや差別が少ないこと(局所的にはいろいろあるのかもしれませんが)があると言われます。上記の出身国構成を見ても、そのことが感じられます。
上記記事にあるようなカナダの取り組み例を企業活動という単位の組織に置き換えて考えた場合、例えば以下のように参考になる考え方が得られると思います。
・自社が今後必要な採用者数の見積もりを、会社の存続を左右する一大プロジェクトとして取り組み、計画的な採用を目指す。
・(最終的に採用の決定は会社が熟考し行うとしても)採用過程の判断で事業部責任者を巻き込んだり一定の裁量を持たせたりする。
・中途採用に慣れていなかった会社が中途採用をはじめるのであれば、社内でそれに不安を感じる保守層が存在する。そうした保守層に対して、中途人材が社内の問題を軽減させるのに役立ち、利益をもたらすことを示す。
・いろいろな属性をもった社員を色眼鏡で見ないようにし、機会公平に受け入れる。
・採用した人材を、いい意味で「自社化」する。すなわち、企業理念の浸透や求められる能力の開発を行い、社風をつくる。
・(英語を社内の公用語とした一部の企業のように)日本語以外を公用語にすることは多くの企業で難しいが、それでも会社として日本語以外の言語で対応できることも増やすようにして、外国人採用も積極的に進める。
国という最も大きな単位の組織で人員規模拡大の成果を上げている例は、参考になる視点がいろいろあると思います。
<まとめ>
人材の流入を実現するには、流入が必然となる取り組みが必要。