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調達ルール変更検討の例を考える
先日、ある会社様での会議に参加する機会がありました。その際、同社様の属する企業グループ内の会社から商材を仕入れることについて話題になりました。
会議では、次のような話がありました。
・グループ内の会社から仕入れることのできる商材があるのだが、そこからの仕入れ率があまり高くない。同商材でグループ外の一般の会社から仕入れている量が相当数ある。
・これをグループ内の会社からなるべく仕入れるようにすることで、その会社の収益性も、自社を含めたグループ全体の収益性も高まるはず。
・グループとしての収益性の視点と、商材をグループ内で調達することの意識を高めてもらい、そうなるための行動を増やしてもらうべきではないか。
その場面で、私からも問いかけて論点にしたのは、「グループ内調達に変えることで、お客さまにより良いものが提供できるようになるかという視点で考える」ということです。
その商材をグループ内の会社から仕入れた後に、同社様がその商材を使ってお客さまに最終的な商品・サービスを届けることになります。ということは、お客様視点で考えると、切り替えるのであれば本来は以下のメリットのいずれかがあるべきです。
・品質・機能など、商材の中身で大切な何らかの要素が、従来仕入れていたものより良い
⇒仮に切り替えることで価格が上がったとしても、価格以上の付加価値を見出せる(最終的にお客さまにどこまで価格転嫁するかは別として)
・従来仕入れていたものより価格が低い
⇒商材の中身が同等ならもちろん、仮に何らかの要素が従来品より劣るとしても、それ以上に価格が下がる意義を見出せる
・商材の中身や価格以外の何らかの要素が、従来仕入れていたものより良い
⇒迅速な対応やアフターサービス、信頼感など。良い最終商材を安定的に提供しやすくなる
あるいは、上記のいずれにも当てはまらないとしても、従来仕入れていたものとまったく条件が同じであれば、「同じことならグループ内で調達する」(お客さまに対する提供価値も、経費面など社内で形となって現れる影響もまったく同じなら、今後の意思疎通のしやすさなども考慮して)という検討はありえます。
ここで大切なのは、収益性向上のためにグループ内での調達率を高めるといった方針を打ち出す前に、上記のような「それをすることでお客さまに対するより良い価値の提供につながるのか」という視点で考えられているか、だと思います。
グループ内で商材を調達できるにもかかわらず調達していないとすれば、メンバーが収益性の視点をもてていないこと以外に、背景として次の要因が考えられます。
1.その商材をグループ内で調達できること自体を十分に認識していない
2.その商材の特徴(良さ)を十分に認識していない
3.その商材の特徴を十分に認識していて、あえてグループ外の調達先を選んでいる
グループ内で調達する商材が、外から買うより高いため、仕入れ担当者が不満に思っているという話を、以前別の企業様から聞いたことがあります。
「価格が高いとしても、物が良い、迅速に納入してくれるなど何か光る要素があれば、仕入れるに値する。しかし、他でも売っているものとほぼ同じもので、これといったメリットもないのに価格が明らかに高いため、ここから買い続ける必要はあるのかという話になる」というわけです。
もっともな意見です。この状態が続けば、今は仕入れているものの、いずれ上記の3.になってしまうというアラートです。
冒頭の会議では、「実際に仕入れ先を変えるとしても、お客さまに対する価値を考えたうえで決めるはずだが、その判断軸が真っ先に出てくるべきであった」という振り返りに至った次第です。
お客様に提供したいベストなものをグループ内で作れていると自負する、だからグループ内で調達する、と自負をもってそうしているのが理想だと思います。もしそうではなく、3.のような傾向があるのならば、問題要素を具体的に改善して、自負をもって調達できるレベルに引き上げるべきだと言えます。
意外と、抜け落ちがちな視点かもしれないと思います。
<まとめ>
「それをすることでお客さまにより良いものが提供できるようになるか」が上位に来るべき判断軸。