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車の運転をめぐる意見の違い

この年末は、自分の出身地である山口県への帰省を考えています。実家があるのは瀬戸内海寄りの小さな町なのですが、山口県の北部から南下してそこまで帰省しようと計画しました。その計画に対して、両親との間で予想外に衝突することになりました。

私は、山口県内にある萩市にまだ行ったことがありません。実家のある町から日本海に面した萩市へは、鉄道だと相当迂回してたどり着くイメージです。電車の接続にもよりますが、片道でほぼ1日がかりです。車であれば、慣れた人なら3時間程度のようです。私は18歳で山口県外に生活拠点を移しました。拠点を移すまで萩市に行く機会がなかったこともあり、そのまままだ行ったことがない状態です。

萩市は歴史的なスポットの豊富な場所です。一度は行っておきたいと前から思っていました。そこで今回、羽田から萩・石見空港(島根県益田市)に飛行機で移動し、そこからレンタカーで萩に立ち寄り観光しながら移動し、実家に帰省し、帰りはレンタカーを乗り捨てて広島に近い岩国空港から羽田に戻る計画を立てました。

これを知った両親から、この計画に反対する通達が届きます。
「そのようなレンタカー利用は認めない。萩市を観光したいなら、萩だけに泊まって実家には寄らず、萩・石見空港からまた羽田に戻るように。」というものでした。

理由は、私に車の運転をさせたくないからのようです。

私は自家用車を持っていません。どうやら、普段車を運転していないために、そのような長時間の車での移動は慣れていないので危ない、年末は交通量も多く路面が凍結するかもしれないなど条件が悪いのでなおさら、ということのようです。あまりに強い反対で、私も驚きました。

「早期割引で変更のきかない航空券のため、空路を変えると何十%ものキャンセル料もかかる」と言っても、「そのキャンセル料をこちらで負担するから、車の運転はやめるように」と言います。両親はこの手の支出をもったいないと考えて大変嫌うタイプなので、この発言にも驚きでした。

これに対して、冬用のスタッドレスタイヤというものがある、自家用車はないが仕事や観光の際には時々車を使っている、などの説明をしましたが、なかなか納得しないようです。結局、母親の実家があった徳山(今は周南市の一部)から実家までの、これまでに何十回と行き来して見てきたルートとその周辺のみならレンタカー可(それ以外は鉄道移動)、という話に落ち着いた次第です。

それにしても、なぜここまで強い反対にあうのか、不思議で仕方ありませんでした。そこで、その背景を自分なりに整理してみることにしました。

熊平美香氏著の書籍「リフレクション(REFLECTION)自分とチームの成長を加速させる内省の技術」には、次のように書かれています。その人がそのような意見を生み出している背景を把握しようというものです。大変シンプルですが、本質を端的に整理できると思います。

~~認知(知覚と判断)には、「過去の経験により形成された『ものの見方』を通して行われる」という法則があります。この認知のメカニズムを、アメリカの教育学者クリス・アージリス氏は「推論のはしご」を使い解説しています。推論のはしごを通して形成されたものの見方を、「メンタルモデル」と呼びます。「意見」「経験」「感情」「価値観」の「認知の4点セット」は、このメンタルモデルを可視化するツールです。

<Aさんの認知の枠(犬の事例)>
意見:犬が好き
経験:昔から自宅で犬を飼っている
感情:喜び・安心
価値観:犬はかわいくて、癒しをくれる

<Bさんの認知の枠(犬の事例)>
意見:犬が嫌い
経験:犬に噛まれてケガをしたことがある
感情:怖い
価値観:犬は近づくと危ない
~~

この「経験」に当てはまる物事はひとつではなく、無数にあります。あるテーマ(上記の例であれば犬)に関して体験した数多くの出来事、その中でもインパクトの大きな出来事を中心とした合わせ技で、経験→感情→価値観がつくられて、それを土台とした意見が出てくる、というわけです。

このフレームワークを両親に当てはめて考えてみることにします。
まずは、経験の棚卸しです。
私の車の運転に関して見聞きしている情報(=○○の情報を得ているという経験)は、次のような感じだとうと推察しました。

・私は自家用車を保有していない。
・普段私は車を運転していない。
・数年前に、私が車で急発進したのを見たことがある。

これらの経験から、感情、価値観、意見に展開してみます。こうしてみると、「私の運転に反対」という意見が出てくるまでの流れが、可視化されて見えやすくなります。

<両親の認知の枠①>
意見:私はなるべく運転しないほうがよい。
経験:私は自家用車を保有していない。普段私は車を運転していない。数年前に、私が車で急発進したのを見たことがある。
感情:不安
価値観:私の運転は危なっかしい。

他に、両親の側の運転に関する経験で、どのようなものがありそうか、考えてみました。すると、今回の場合は、上記私の運転に関する経験よりも、両親自身の運転に関する経験のほうが、より大きな影響を与えているであろうことに気が付いたのです。

続きは、次回の投稿でまとめてみます。

<まとめ>
意見は、その人の経験・感情・価値観を通してつくられる。


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