先日、2023年1月に単月での日本の経常赤字が、比較可能な1985年以降で過去最大の1.9兆円となったことについて考えました。2月は、2.2兆円の黒字となったようです。
4月11日の日経新聞記事「2月の旅行収支、コロナ前超え 訪日客回復で黒字に」を一部抜粋してみます。
経常収支=貿易収支(財貨の輸出入)+サービス収支(知的財産権等使用料、旅行など)+第一次所得収支(対外投資で得られる収益)+第二次所得収支(他国への援助など)です。
日本の貿易収支が恒常的に赤字の体質になっていることは変わっていませんが、旅行収支の黒字拡大も寄与して、2月は経常収支全体では黒字を伸ばしたようです。通年で経常収支が赤字になると日本国債等への信認が下がって大変なことになると予想されますが、今のところ通年では黒字のペースに戻してきたようです。
訪日外国人旅行者は、今後拡大が予想されます。
内閣府が10日発表した3月の景気ウオッチャー調査(街角景気)でも、3カ月前と比べての足元の景気を聞いた現状判断指数が1.3ポイント上昇の53.3で、2カ月連続で改善しています。家計、企業、雇用のすべてで、好不況の分かれ目となる50を上回りました。景気関連の指標は強弱入り乱れるものが出ており、しばらく神経質な展開が続きそうですが、前向きなものも見られます。
そのような中、同日付の記事「ウォール街、瀬踏みの来日」は、外国人投資家が日本へ再注目し始める中で、日本企業の動きの加速を促そうという内容です。(一部抜粋)
輸入価格の高止まりや賃上げによる人件費の上昇など、経営を圧迫するコスト増加の要因はいろいろあります。そのうえで、前述の景況感改善の動きもある中で、外国人投資家が日本に投資機会を見ているという状況もあります。賃上げをしながらも最高益を出している企業などは、さらに踏み込んで自社の成長領域への投資拡大を考えるべきだと言えるのかもしれません。
そのことが、経済全体の動きを底上げし、コスト増で苦慮する企業にもよい影響をもたらすことにつながるはずです。
以前は「ジャパンパッシング」(日本を素通り)と呼ばれていた状況もありましたが、外資による日本での半導体工場の建設など、以前とは異なる向きも見られ始めました。日本国内にいる私たちが、今が好機だということをもっと認識するべきなのかもしれません。
<まとめ>
外国人投資家は、日本に今投資機会を見ている。