2024年のサプライズ
12月15日の日経新聞で「2024年、世界に10のサプライズを」というタイトルの記事が掲載されました。マネックスグループ グローバル・アンバサダーのイェスパー・コール氏によるもので、定量面、定性面、過去のトレンド、直感の観点から予測をしたとあります。日本と関連の深い事象をドイツ人の視点から冷静に捉えている、示唆に富む内容だと思います。
同記事の一部を抜粋してみます。
同記事による10のサプライズを通して、大きく2つのことを感じました。ひとつは、状況を多面的に捉えることの大切さです。
今現在に関しては、日本は先進諸国の中で全体的な傾向と違って景気の先行きに期待が持てる状況です。コロナ禍以降の経済拡張の度合いやそれに伴う金融政策などで、他国に後れをとるかのような動きだとも言われてきましたが、ここにきて、地に足着いた動きだという評価も聞かれるようになりました。
ここ数年の日本を取り巻く経済状況の推移は、後で振り返ってみたときに、比較的うまくいったほうだったと言うこともできるようになるのかもしれません。
日本企業が多様性実現というテーマのもとに、外国人の経営経験者を役員として登用する動きが加速してきましたが、同記事の言うように「日本のCEOが米大企業の役員に任命される」など逆のパターンは、あまり一般的なイメージとしてありませんでした。
しかしながら、これからはそれも一般的になるかもしれないという予測です。米国企業も「三方良し」の日本式統治から学ぶことが多いというのをその理由のひとつに挙げています。企業統治というテーマでは、米国流を日本へという流れで見ることが多いと思いますが、ドイツ人著者によると逆の流れで提供できる価値も日本企業に見てとれるというわけです。このあたりの冷静な物の見方は、参考になる視点だと思います。
もうひとつは、上記にも関連しますが、マクロの視点で事業機会をとらえることの大切さです。
今週は、日本製鉄が米鉄鋼大手のUSスチールを買収するという発表がありました。買収額は2兆円で、日本製鉄としては過去最大級のM&Aということです。同記事のサプライズ(2)などの現実化を彷彿させるような内容です。
(1)などを手がかりにすると、これから当面の間、日本が好景気とは言えないまでもそこそこの景気の状態だとして、厳しい状況に置かれそうな米国をはじめとする日本以外のエリアとの違いは際立ってくるということです。厳しい状況下のエリアにある企業などは、良い買い手がいれば積極的に応じやすくなります。これを事業機会ととらえることができる企業もあるはずです。
マクロに視点を移すと、周りとは違った景色が見えるかもしれない。同記事からはそのように感じました。
なお、外国人の家事手伝いの受け入れという外部リソースによる、家族への支援浸透を10のうち1つに挙げている点も印象的です。このことの浸透はハードルが高そうですが、他国の人から見ると現在の日本の就労環境・家事を含めた生活環境には難しさがあると映っているのではないかと推察します。
<まとめ>
日本と他国の景気循環が、当面の間大きく別の動きをとる可能性がある。
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