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転勤制度は選択肢(4)

先日、『転勤制度は選択肢』というタイトルで3回投稿しました。テーマや内容について、コメントやご意見もいろいろいただきました(ご意見くださった方、ありがとうございます)。

例えば次のようなコメントをいただきました。

「転勤を断るという発想がないのだが。」
「辞令によって家族帯同や単身赴任の転勤を繰り返してきた。(私の投稿で触れた)『転勤を個人の自己決定にもとづくことを基本にする』という具体的な方法がイメージできない。機会があれば、このことについて取り上げてみてほしい。」

上記も踏まえ、改めて、「個人の観点からの選択肢」と「自己決定」の観点から、転勤というテーマに向き合ってみたいと思います。

就業について、個人の観点からの選択肢としては、例えば以下のような分類ができるのではないかと思います。

1.全国転勤ありを公言している組織で働く
2.エリア限定(例:関東地方のみなど)での転勤ありを公言している組織で働く
3.転勤なしを公言している組織で働く
4.転勤する・しないを選べる制度を公言している組織で働く
5.拠点が1つしかないなどで、転勤という事象が存在しない組織で働く
6.制度上は転勤ありとなっているが転勤を断ることができる例があったり、転勤なしのはずだったのが発生する例があったりして、方針がはっきりしない組織で働く
7.(3.に近いが)居住地と勤務地が関係ない環境の組織で働く
8.組織に属さずフリーランスとして働く(起業を含む)

7.は、ヤフーが全国どこでも自由に居住できる制度を導入したり、最近でもNTTが3万人をテレワーク化したり、急速に仕組み化の動きが広がっています。

以前の社会では、今よりも選択肢が限られていました。7.は10年前までほぼ存在しない選択肢だったはずです。ITインフラが整って、コロナ禍による移動制約も重なって、ここ数年で急速に発達した選択肢と言えます(それでも、業種・職種によっては、選ぶことに無理もありますが)。

3.についても、そのような考え方で経営や人事を行われている会社が少なく、選択肢としてはあまり存在しなかっただろうと思われます。

8.についても、以前は「脱サラ」と称して、そのような願望と特殊技能などを持ち合わせた、ごく限られた人のみがチャレンジできる選択肢でした。これもITインフラが整って、オンラインで事業ができる環境になったことで、可能性の高い選択肢のひとつに格上げされたと言えます。

ですので、イメージとしては、以前の社会でも(3.7.を除く)各選択肢は存在した。そのうえで数の割合としては1.と5.に偏り、他は限られた数が存在するのみであった、という感じだったものと思われます。

今であれば、各選択肢が相応に存在します。加えて、国としては、業務や勤務地の範囲の明示を義務化するように労働基準法や関係省令の改正を視野に入れるなど、なるべく6.の状態をつくらないように企業に働きかける動きをしています。その結果、以前は6.だった企業が1.~4.のいずれかに明確になることも増えてくることと想定されます。

以上のように整理してみると、個人にとっての選択肢は明らかに増えているというのが改めて確認できます。

どの選択肢が良い・悪いというわけでもないと思います。例えば、(6.は微妙かもしれませんが)1.や2.も「居住地がどうなるかわからず、流れに身を任せてその結果の経験から学ぶことでもよい」という人には、合っているかもしれません。いずれにしても、どれにするかは個人が自由に選べばよいことで、その選択肢は多いほどよいはずです。

「自己決定」に関する続きは、次回以降取り上げてみます。

<まとめ>
転勤について、個人が選べる選択肢は増えた。


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